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森で聖女を拾った最強の吸血姫〜娘のためなら国でもあっさり滅ぼします!〜  作者: 瀧川 蓮
第一章 滅びゆくジルジャン王国
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第五話 顕現する聖女の力

 

アリアに案内されてやってきたのは、先ほどまで彼女とパールが一緒に花冠を作っていた場所であった。


「こちらをご覧ください」


アリアが指し示す先には、美しく咲き誇る花があった。


「綺麗に咲いているわね」


私は正直にそう答えた。


「……先ほどまでは枯れていたんです」


「……どういうこと?」


彼女が言うには、もともとその一帯の花は枯れていたという。だが、パールがしゃがみこんで枯れた花に触れると、みるみるうちに瑞々しい状態に戻ったのだとか。


「……聖女がもつ癒しの力がもう顕現したというの……?」


聖女が癒しの力を宿して生まれてくることは知られている。だが、まだ3歳のパールがすでに癒しの力を行使できるとは……。


それに、一度枯れた花をもとに戻せるほどの癒しの力とは、あまり聞いたことがない。もしかすると、パールは歴代聖女のなかでも格別の力をもっているのではないか……。


それが意味するところはつまり…………。





「……さすが私のかわいい娘ね」


予想外の斜め上な発言に思わずずっこけそうになるアリア。


まさに親バカここに極まれりである。


「もう、お嬢様ぁ……」


ジト目で静かに抗議してくるアリアに対し、ニコニコ顔のアンジェリカ。


いやいや、だってすごくない?私の娘。そろそろ魔法を教えてもいいかもね、なんて考えてみる。


「お嬢様……。パールの本当の親はどこにいるのでしょうか・・・?」


「さあね。魔の森で魔物に食べられたか、それともどこかで普通に暮らしているかじゃない?」


そもそも、なぜ危険を冒して魔の森にパールを置き去りにしたのか、聖女と分かったうえで捨てたのかなど、疑問はいくつもある。


ただ一つだけ言えるのは、今は私がパールの母親であるということ。パールが望むならともかく、人間の勝手な都合で返せと言われたところで絶対に返すつもりはない。


「とりあえず、パールの力に関してはあなたが近くで監視してちょうだい。力の使いすぎは精神と体への負担が大きいかもしれない。そのあたりは気をつけてあげてね」


「かしこまりました。お嬢様」


もう少ししたらあの子にも私が真祖であることや、本当の親子じゃないことを話さなきゃいけないな、と考えつつ読みかけの本を読むべくテラスへと戻るアンジェリカであった。


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