第四話 すくすくと育つ聖女
パールを森で拾って3年の月日が経った。できる執事フェルナンデスと、なんだかんだ面倒見がいいアリアのおかげで子育てにそれほど苦労もしていない。
何よりパールはかわいい。うん、かわいいは正義。
3歳になったパールは毎日元気に屋敷の外を走り回っている。とは言ってもここはAランクの魔物が跋扈する魔物の森。
普段は私の魔力に恐れて魔物が屋敷に近づくことはないが、何事にも絶対はない。そのため、万が一を考えて屋敷の周辺を取り囲むように結界を張っている。
「マーーーマーーーー!」
テラスで読書をしていた私のもとへ、パールが駆けてきた。トテトテと一生懸命に走る姿は何とも愛らしい。
「どうしたの、パール?」
「アリアお姉ちゃんと一緒に作ったの!」
そう言って、パールは花で作った冠を手渡してきた。やだかわいい。
「そうなの。ありがとうね、パール」
微笑みながら頭をなでてあげると、パールは目を細めて喜ぶ。
そうこうしていると、息を切らしながらアリアがやってきた。少し疲れているように見える。
「ハァ、ハァ……、元気よすぎよパール……」
どうやら、パールは花冠をすぐにでも私にプレゼントしたくて猛ダッシュでやってきたらしい。
いや、それでも3歳児を追いかけて息切れするヴァンパイアってどうなのよ、とツッコミたい気持ちをアンジェリカはグッと押さえ込んだ。
「パール、そろそろお勉強の時間じゃないかしら?」
パールがこの先私たちとともに生きるにしても、人間の世界で暮らすにしても、身につけるべき知識はたくさんある。
そのため、3歳になったのをきっかけにフェルナンデスが家庭教師となり指導を始めたのだ。
フェルナンデスは、もともと真祖一族で一軍を率いていた将軍であり、人間界の一般常識から魔法まで、あらゆる知識に精通した知識人でもある。
「うん!今からお勉強してくる!ママまたあとでね!」
「ウフフ、ええ、頑張ってね」
手を振りながら元気よくフェルナンデスのもとへ向かうパール。子どもって元気だなぁ、と思いつつ見送っていると、アリアが何か言いたげな顔をしているのに気づいた。
「アリア、どうしたの?」
「お嬢様、実はお見せしたいものが……」
少々深刻そうな表情を浮かべるアリアの後ろについて、先ほどまで彼女とパールが遊んでいた場所へ案内してもらう。
「こちらをご覧ください」