記憶を失くした魔女
《出演者》
魔女(若い女)、姫、王、王妃、医者、家来、魔女の姉、パーティーの来場者たち
とある国での、王家での話し
透けるような青空
姫は、足取りも軽く
森を散歩している
姫「あら?あれは、人かしら?」
森で倒れている若い女
姫「この子を城へ!」
家来「かしこまりました」
城に連れて帰られ、医者の診断で
記憶喪失と発覚
若い女「ここは?」
姫「わたしの城よ」
若い女「城?なんで???あっ、頭が痛い!」
自分が誰なのか?
何をしていたのか?
家は何処なのか?
全く分からない
記憶が戻るまでと、若い女は、城で姫と暮らし始める
2人の間に「友情」が芽生え「愛」を知っていく
若い女が着ていた、ボロボロの服を捨てようとしたところ
ポケットから、薬が発見される
医者「王様、大変なことが。あの。。。これは、毒物かと。。。」
王妃「はい?」
王「なんだ?どうゆうことか?」
医者「もしかするとですが。あの助けた女の子は。。。魔女の子ではないかと推測されます。薬の分析をすると、人間が手に入れることができない成分が入っているのです。」
家来を呼びつけ
王「気を抜かぬよう、しっかり見張っていろ!少しでもおかしい動きがあれば、即、報告するように」
家来「かしこまりました」
愛情を受け、すっかり、元気になり、笑顔も絶えない、少しおっちょこちょいな
助けられた女の子、改め「魔女」
ある日、彼女が森を散歩していると
魔女の姉に発見される
家来も見張ってはいるが
魔女姉の姿は見えてないので、家来たちは立ち話をしながらたいぎそうに木の陰で突っ立っている
魔女姉「あんた!時間かかりすぎよ!殺ったの?!ん?何よっ?!その服!汚らわしい!!」(姫のような服装を着ていることに気付く)
魔女「貴方は誰ですか?」
魔女姉「はぁ?」
魔女「あ・な・た・は、誰ですか?」
魔女姉「何を言ってるんだい?それより、姫に例の薬を飲ませたのか?」
魔女「薬って??」
魔女姉「そーかい。お前は記憶を失くしているね。森で、あんたのホウキだけが木の上に忘れられていた訳が分かったよ」
魔女「えっ?ホウキ?」
魔女姉「飛ぶことも忘れたのかい?可愛そうに。まだ若いあんたに姫の毒殺を頼んだのが悪かったようだね。さぁ、帰ろう!」
魔女「嫌です!待って下さい!分からないですっ!!」
大声を聞いた家来たちが
気でも狂ったかと、駆けつけ城に連れて帰ろうとする。
魔女姉「チッ!大切な魔女の血だ。なんとか記憶を戻して、連れ帰るまでさ!」と、言いながら去る
城に帰った魔女は、姫と遊んでいる
家来「王様、本日あの子が森で散歩中。おかしな様子でしたので、あわてて連れ帰りました。」
王「どうゆうことだ?」
家来「独りで、叫んだのです」
王妃「なんと???」
家来「嫌です!待って下さい!とかなんとか。。。」
王「確かに独りだったのか?」
家来「はい!確かに独りでありました!」
王「そうか。。。下がってよろしい」
王「おい!医者!これをどう思う?」
医者「あの子にしか見えない「何か」がいたのではないかと。。。」
王妃「何か。とは?」
医者「あくまで、推測ですが。魔女は、姿を消すことも出来ると聞いております。ソレと会話をしたのではないかと。。。」
王「何!?」
王妃「あなた!まさか!!もしも、そうだとしたら。。。あの子を城に置いていて良いのですか?」
王「いや、ダメだ。」
家来を呼びつけ
王「しばらくあの子を牢に入れておくように」
家来「はい!」
姫と遊んでいた魔女を牢へ連れて行こうとする
姫「何をやっているのっ!!どうして、この子を連れて行くの!」
家来「王の命令です」
姫「いや!!連れて行かないで!私の初めての友達なのよっ!!」
家来「ダメです。王の命令ですので。」
姫泣き叫ぶ
姫「連れて行かないでー!!」
牢に入れられて泣いている魔女
そこへ、魔女の姉が現れる
魔女姉「やっと、ゆっくり話ができるようだ。」
魔女「えっ!?あの時の???」
魔女姉「本当に分からないのかい??この薬を飲むんだよ。すぐに悲しみが無くなるさ。そして、私が誰か思い出せる。ほら」
薬を飲む
魔女「・・・姉さん?」
魔女姉「よしよし。治ったようだね。あんたが、ここにいるのは都合がいい。この王家を皆殺しにするんだよ。あたしたちは、この王家に絶滅させられかけたんだ!生かしておく訳にはいかない。」
魔女「皆殺し。。。絶滅。。。そうだ!あたしは魔女。思い出したわ!姉さん!!あたし、きっと殺る!」
魔女姉「そうこないとね。さぁ、これが毒薬だよ。明日、この城で姫の誕生パーティーがある。王子候補を決めるパーティーでもあるんだ。決まってしまえば、めんどくさいことになる。だから、明日ちゃんと飲み物にコレを入れるんだよ。ここから出ることなんて、簡単だろ?ちゃんと、姿は消すんだよ!!」
魔女「分かった!姉さん!」
翌日、パーティーの準備中
魔女「今日のパーティーで、王子が決まってしまえば、王家の血筋を切ることができない。でも、この薬をビンに入れれば、何もかも終わる!簡単♪簡単♪」
乾杯用の飲み物のボトルに薬を入れる
人間に姿は見えないので、堂々と玉座の横で様子を見る
姫は、浮かない顔
姫「あの子、淋しくないかな?ちゃんと、ご飯食べたのかなぁ。お話したい」
魔女「えっ?私の心配をしているの?人間って、分からない生き物」
姫「王子候補なんていらない。あの子は、私の初めての友達。それよりも、あの子に会いたい!」
魔女、「何か」が自分に目覚めていることを悟る。。。
王妃「皆様!本日はお祝いに駆けつけて下さって感謝いたします。姫の結婚相手。次の王を決める大切な日でもあります。皆さま、ゆるりとお楽しみ下さい。それでは、乾杯!」
姫以外は、嬉しそうに飲み物を飲み干す
姫は、浮かない顔でグラスを手に持ったまま
王妃「どうしたの?あなたのお祝いよ。飲みなさい」
魔女「飲んじゃダメっ!!!」
姿を現し
グラスを叩き落とす
同時に、姫以外の全員が苦しみ出す
毒が回って、次々と死んでゆく
辺りはまるで、地獄絵図。。。
姫「何!何が起こっているの!」
魔女「私がやったの」
姫「えっ!?どうゆうことなの?あなた牢から出てこれたのね!」
魔女「魔女として未熟な私は、あの日飛んでいたホウキから落ちて頭を打ったせいで記憶をなくした。だけど、牢にいた時に、全部思い出したの!私たち魔女は、王家に全滅させられかけた。だから、王家を全滅させるの。でも、なんだろう?この気持ち。。。あなただけは、死んで欲しくない」
姫「あなた、魔女だったのね。でも、そんなの関係ないわ!私の生まれて初めての友達なの。きっとあなたが感じたものは、友情という名の「愛」」
魔女「愛???」
姫「愛は、たくさんあるの。友達、父上、母上、お付きの者たちへも。愛があるから「死んで欲しくない。一緒にいたい」って、感じるものよ。」
魔女「私が感じたのは。。。愛。そんなものがあるのね。」
姫「みんなに毒を盛ったのね。。。私たち王家が、魔女を全滅させようとしたからなのね。ごめんなさいね。分かるわ。仲間としての愛だもの。私にも。。。その毒を飲ませて!」
グラスに毒入りワインを注ぐ
魔女「どうしてっ!!あたし、あなたには死んで欲しくないの!!」
姫「私は、父上や母上、そして、あなたを愛しているから飲むの。私が生きていたら、あなたの役目は果たせない。。。」
さっと飲んで
そして王家の命は絶える
魔女「なんでーー!なんでなのーーーー!」