表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

「3人の尼さん」 three nuns 本当は怖い日本昔話Tales of old Japan fearful in fact 果たして尼さんは何を食べたのか?

作者: 舜風人

むかーしのことじゃッた。


ある秋晴れの日。


3人の尼さんが、奥深い山の森へ修行のため入って行ったそうな。


一人は年長の穏やかなまるで観音様の化身のような人じゃッたそうな。

二人目は年のころ30過ぎの気の強そうな人じゃッたそうな。

そして3人目はというとまだ歳は18くらいの若い尼さんだったそうな。


3人は山深く入り、粗末な庵を作り、それこそ木の根草の葉で飢えをしのいで修行に励んでいたそうな。


山に来るのはふもとのきこり達と猟師くらい、あとは誰も来ない。


きこりたちは「尼さんたち飢え死にしないか」といつも気にしていたが、

修行の妨げになってはと、あえて、近づかなかったという。


ある日のこと、きこりが山に行くと、奥深い空き地に

山鳥の羽が散乱し、食い散らかした跡があったそうな。

さては尼さんたち空腹で、山鳥を食ったなと、きこりは思ったそうな。


そういえば尼さんたちが来てから2ヶ月、尼さんの空腹も頂点に達していたろうて。

修行のためとはいえ、さてさて何を食って飢えをしのいでいるやら、


きこりたちはそれとなく、誰言うとなく、山仕事に行くとは、むすび(おにぎり)をそっと、

尼さんたちの庵の近くの切り株においていったんじゃと、


そして次の日行くとむすびはなくなっておった。


ある日のこと、一人の猟師が山を歩いておった。

すると真新しい土まんじゅうを発見したそうな。


そして通りかかった尼さんはなんと一番とし若い尼さんがいなくて、二人きりだったそうな。


聞くと一番年若い尼さんは亡くなったのだそうな。


二人の尼さんはその土饅頭に振り向きもせずいってしまったそうな。

さらに月日は過ぎて山はもう秋も終わり初冬だった。


ある日きこりが山へ入ると、なんと一番年長の尼さんしかおらんかったそうな。


聞いてみると中年の尼さんもなくなったそうで、

二つの土饅頭が並んでおったそうな。


そして山はいつしか冬となり猟師もきこりももう、山へは行かんかった。


あの最後の年長の尼さんどうなったかしらと村人は皆思ったが、

恐らく冬の山で飢え死にしたんだろうよと皆思ったそうな。


だが、冬の山へいってまで調べる勇気はだれも無かった。

そして春3月が来て、村で春一番にある日一人の猟師が山へ入った。


そして尼さんたちの庵に行ってみると、

中になんとあの年長の尼さんが服はぼろぼろ、髪は茫茫で

まるで山姥のようになって生きていたんだと。


いったい尼さん何をこの冬の山で食って生きていたんだろうか。

村人は皆いぶかったそうな。

だがその謎はすぐに解けたそうな。


次の日聞きつけた村人たちが山へ入り、

亡くなった二人の尼さんの墓を見に行くと、

そこには、

あの、二つの土饅頭は明らかに掘り返されて、

白骨は散乱して、肉はすっかりなめ取るように、

しゃぶりつくされていたんだそうな。


皮ひとつ髪の毛一筋も残されていなかったそうな。



終わり




★これは昔話でありフィクションです。









いらずもがなのあとがき




「自ら求めて、あえて限界状況へ飛び込むことなかれ。それは人の本性をあらわにしてしまうのだから。」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 山之内先生、昔話、読ませてもらいました。初めまして、午雲と申す者です。前回も読ませてもらいましたが、今回は、また、一層、雰囲気がありますね!これは、いける、と個人的に、思います。 顔色が好い…
2009/07/01 19:56 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ