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第9話、落胆

 クリスティーナがアレクシスと別れて、家に着いたある日、玄関扉を開ければ、ペギーが仁王立ちで待ちかまえていた。

 その表情は悪鬼の如く目元がつり上がっていて、いつもの比ではなかった。


「もう許しません!! 貴族のご令嬢が伴もつけず、お独りで!! 変な噂がたったらどうなさるおつもりですか! いくら言っても聞かないようですから、次無断で家を抜け出したら、お部屋に鍵をつけます! そうなったら、食事の時と御不浄の時以外は部屋を出させませんからね! お勉強の時も私か家庭教師の方が常についてますから! 覚悟してくださいませ」


「そんな……」


 クリスティーナは絶望の声をあげたが、今のペギーには何を言っても、通用する気がしなかった。ペギーは鼻息荒く踵を返す。その背中はクリスティーナの言い分を一切遮断するかのような怒りと冷たさに溢れていた。

 クリスティーナは恨めしそうな表情で見送るも、どうすることもできない。とぼとぼと、自分の部屋に行くべく階段を上った。


(鍵をかけられたらどうすることもできないわ。2階から飛び落ちたら、怪我をしてしまうし)


 せめて自分の部屋が一階だったら良かったのに。虚しい溜め息を吐いて、クリスティーナはアレクシスのことを考えた。

 

(さよならを言わなくちゃ)


 次に抜け出せば、もう次回はない。さよならを告げる機会が与えられただけ良かった。あと一度会ったら、あの輝くような眩しい髪をもう二度と目にすることは叶わない。楽しげに煌めく瞳にもう二度と自分が映ることも叶わない。クリスティーナはしくしく痛む心を抱えて、自分の部屋に入ると、扉をそっと閉め、しばらく静かに佇んだのだった。



 

 

  

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