1話 女子高生のツムギ
私はツムギ、17歳。俗にいうJKだ。JKとは楽なものでない。最高の青春が遅れると思っていたのだけど、まったくそれが見えない。
今日は数学の小テストだ。それも確率の。最悪だ。私は確率がどうも得意になれない。A君があたりを引く確率だとか、n個のボールを何個かの箱に入れたりだとか、私はまったく気にしないし気にもならないことをわざわざ手を動かして考えるだなんてばかばかしくなるからだ
それに、数学の教師がいまいち好きになれないのだ。目が死んでいるというか、何を考えているのかわからないだとか、そんな些細な理由ではあるが、好きになれない理由としては十分すぎるものだと思っている。
そんなことを考えながら、今日もカギを開け、ドアを開けてカギを閉める。そこから10分ほど歩き、踏切が近づいてきた。
残念だけど、ここで電車にはねられたりなんてしない。どこかで私が死んで異世界転生することを期待している輩がいるかもしれないから言っておこう。だが、ここの踏切にはいろいろなうわさがある。
たまに以上に背の高い女性が見えたとか、幼い女の子の泣き声がするだとか。たかが噂、されど噂。
でも私には関係ない。何を隠そう、私は幽霊だとか、魔法だとかの類のものは絶対に信じないタイプの人間なのだ。そんな私にとって、そのような噂はおもしろ話にしか聞こえない。でも、怖い映画を見た後のトイレは別だ。自分の家の中といえど、怖いものは怖い。さて、こんなことをしているうちに電車は通り過ぎてしまった。異世界には転生しないし、神様とお話ししたりなんてしない。