表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/17

9話 町を守る猫様?

町への襲撃はまだ続いていた。

 ウーーーーーーー!!


 ルカは姿勢を低くして、相手を威嚇していた。

 その相手は、ルカと比べるのがおかしくなるくらい大型の魔物、オーガだ。


 全長2.5Mほどあるその巨体の右腕にはこん棒が握られていて、一撃でも食らえば子猫など肉片も残らないだろう。

 全身が筋肉の鎧と化したオーガ相手には、低レベルの冒険者の剣では傷ひとつ付かない事だろう。


 だが、実際にはそのオーガの全身には無数の切り傷が付けられていた。

 そこから大量を血を流すオーガは、ルカを完全に敵と認めていた。


 怒りを顕わにし、恐ろしい速度で振り下ろされるこん棒。

 ぎりぎりまで引き付け、ひょいっと回避するルカ。

 勢い余ったこん棒が地面に蜘蛛の巣状の地割れを起こし、そこから破片が無数に飛び散る。


 ルカはそれを隠れ蓑にして、オーガの視界に飛び込んだ。

 小さな体はオーガからすればただでさえ見つけるのが困難なのに、それが高速であちこちに飛び回るので追い切れていない。

 しかも、今自分が飛散させた瓦礫が邪魔で全く何処にいったのか分からなくなったオーガは、あたりをキョロキョロと探し始める。

 しかし、それはすぐに終わった。


 オーガの首から上がずるりとズレて、胴体から落ちた。

 そして数秒後に派手に血飛沫を上げて残った胴体もズドーーンと地響きを起こしながら倒れたのだった。


(はぁはぁ、これはかなりキツイかもしれないよ。本当は逃げるつもりだったんだけどな…)


 ルカは、ゴブリン達と戦った後、あたりの魔物が居なくなったら何処かに隠れて冒険者達がすべて討伐してくれるのを待とうと思っていた。


 しかし、その後すぐに近くの隔壁が壊されてそこからオーガがやって来たのだ。

 一匹でも凄まじい攻撃力をもつオーガは、単体でも脅威度が高いが、西門に冒険者が固まったしまったためここに来ている冒険者が殆どいない。


 近くにいた衛兵が果敢にも立ち向かうが、瞬殺されてしまった。

 それを見た逃げ遅れている住民が悲鳴をあげ、辺りは混乱に陥った。


 ルカはそれでも、こちら側に来ないのであればやり過ごそうと思っていた。

 だが…。


「おい!子供が捕まったぞ!オーガに喰われちまう!」


「誰か助けてやってくれ!」


「お前が助けてやれよ!」


「無理だ、あんな化け物誰が叶うんだよ!!」


 小さな子供が一人、オーガに捕まってしまい、大きく口を開けたオーガに正に食われようとしていた。


(ん~~~!!)


 一瞬、アーニャの姿がその子に重なった。

 別に似ているわけでもなかったが、もしアーニャだったらと思うとなぜか放っておけなくなっていた。


(こうなったら、ボクがやってやる!)


 しかし、いつもなら頭の中で危険を知らせる警鐘がなり響くのに、今は全く聞こえない。

 それなら十分勝機があると思えたルカは、『潜伏』を発動しつつオーガの背後から飛び掛かった。


 狙うのは少女を掴んでいる左手首。

 『爪強化』と『急所狙い』が自然に発動し、最適化されたその鋭い爪でオーガに切り付けた。


 グオオオオオオオオオオオ!!


 突然襲って来た痛みに、雄たけびを上げるオーガ。

 ふと見ると自分の左手首から先がない。

 ふと地面を見ると、そこには自分の左手を思しきものが転がっている。


 ドオオン!ドオオン!ドオオン!っと怒りのあまり地団太を踏むオーガ。

 右手に持った極太のこん棒を滅茶苦茶に振り回した。


 ルカはその隙を突いて、空中でキャッチした少女を近くで呆然と見ていた人間に放り投げた。


「え、ええ!?こ、子供?降って来たのか?」


「おい、お前何をぼさっとしているんだ!ここにいたら下敷きだぞ!その子を抱えて一緒に逃げるぞ!」


 突然の事に混乱していた男を、隣にいた男が正気に戻し二人で子供をかばう様にしながら走って逃げていくのが見えた。

 あっちには魔物の気配がしないから、今はあっちの方が安全だろう。


 そこまで確認してから、ルカはオーガの前にわざと姿を見せてから全身を駆け上がりつつ爪で切り付けていく。


 ガアアアアアアアアアア!?


 おおよそ子猫とは思えない爪の鋭さに驚くも、魔物の世界ではあり得ない事ではないのですぐにルカを敵と認識する。


 もはや、他の人間など目に入らなくなったようだった。


 そうして、オーガとルカの激戦が始まるのだったが…。



 結果は先ほどの通りであった。

 オーガはその首を落とし、ルカに負けたのだった。


【ルカは、経験値を獲得しレベルが11になりました。更に、スキル"技量強化"を覚えました。】

【ルカは、経験値を獲得しレベルが12になりました。更に、スキル"精神強化"を覚えました。…条件を満たしました。スキルが統合されてエクストラスキル”全能力強化”を覚えました。】

【ルカは、経験値を獲得しレベルが13になりました。更に、スキル"強運"を覚えました。】

【ルカは、経験値を獲得しレベルが14になりました。更に、スキル"精神耐性"を覚えました。】

【ルカは、経験値を獲得しレベルが15になりました。更に、スキル"魔力感知"を覚えました。】


 レベルで言えば遥か上の存在を倒したルカは、ここでもまた一気にレベルアップを果たすのだった。


 ちなみにオーガ肉だったが、味見してみたが硬くて美味しくは無かった。

 でもせっかくの獲物だったので、空腹を満たすくらいは食べておくのだった。



 その後は、西門に向かった冒険者達がしっかりと討伐を果たし、町の中に散らばっていた魔物達も瞬く間に討伐されていった。

 住民にかなりの被害が出てしまったようだが、それでも冒険者達がいなければ遥かに多くの被害が出ていただろうこともあり、難癖をつけるものなどは皆無であったようだ。


 ただ、この日町ではある噂が流れた。


 聖銀色の毛皮を持つ小さな猫が、様々な所に現れては魔物を倒し人々を守ってくれたと。

 中には、オーガを倒したところを見たという住民までいたのだった。


「そんなバカな話があるかよ」


「きっとあれは神様の使いだったんだよ!俺の娘も助けられたって言ってた。オーガに喰われそうになったところを助けてくれたって!」


 ただ、素早すぎて誰もはっきりと姿を見た者が居なかったので、何かを見間違えたのだろうという事になった。


 ただ一人だけ見たという少女がこう言っていた。


「アーニャちゃんのとこにいる猫にそっくりだったよ?」


 いつの間にかその話が広がっていき、助けられたという人々がルカの寝床の近くにお供えとして焼いたお魚を置いていくという習慣が出来上がったのは余談である。


(ん~、最近おいしいお魚が沢山食べれて幸せだな~)


 今日もルカは美味しいい食べ物を食べれて幸せそうにするのだった。

気ままに更新中!



面白いと思った方は是非ブックマークをお願いします!


あとは、広告の下の評価ボタンも宜しくお願いします~!


~~~~~~~~~~~~

これにて第1部は完了です。

次回から少し育ったルカの話が始まります。

これからルカに仲間が増えたりしますので新しい展開を楽しみにしてください。

~~~~~~~~~~~~

ルカ:L15

種族:霊猫 職業:野良猫

ステータス:

 力:75(+50) 魔力:45(+50)

 体力:45(+50) 精神:45(+50)

 速度:150(+50) 技量:90(+50)

 運:30(+50)

所持スキル:

【危険察知】【高位成長促進】【言語理解】【知識強化】

【急所狙い】【爪強化】【牙強化】【大喰い】【潜伏】

【全能力強化】【強運】【精神耐性】【魔力感知】



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ