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2話 スライムは美味しくない?

 ルカは人の言葉が聞き取れるようになってから、人間の会話を良く聞くようになった。


 定位置はいつもご飯をくれる少女の店の前だ。


 少女が"オカミサン"と呼んでいる人物が、少女の事を”アーニャ”と呼んでいたので、この少女がアーニャだと理解した。


 あの日、変な木の実を食べてから色々理解したことがある。


 自分が”ルカ”という名前を付けれらた事。


 ここは人間のテリトリーで、思った以上に多くの人間がいる事。


 そして、自分が猫という種族な事も。


 最初は言葉一つ理解するまでが大変だったが、それも慣れてくると人間達が何を言っているのかまで理解出来るようになっていた。


 あの知恵の実のお陰で、ルカは人間以上の知能を手に入れたのだ。

 だからといって、これといって特別な事をするわけでは無かったが。


 餌の上手な取り方や、人間への上手な甘え方、安全な場所がどこか等を把握するくらいで正直宝の持ち腐れだ。


 だから特に生活するスタイルが変わるでもなく、なんとなく日々を過ごしていた。



 ある時、地下道に潜り込んで餌を探しに来た時だった。

 いつもなら、ネズミを数匹捕まえる事が出来たのだが今日に至っては何も取れない。


 変だなと考えていると、奥から異様なモノが現れた。


 俗にいうスライムだ。


 通常は町中では出現しないのだが、何かの理由で迷いこんだのであろう。


 そんな事を知らないルカは、目の前のモノが敵意をもって襲って来た事で反撃せざる状況に追い込まれた。


(なんて気持ち悪いヤツ!)


 と、人間の様な事を考えているが本人はそれに気が付いていない。


(一先ず、あれを仕留めて食べれるか試してみるかな?)


 そう考えると、自然と相手の急所らしき赤い核のようなものが見えた。


(あれを狙えばいい?)


 考えると同時に体が動くルカ。

 次の瞬間には、その鋭くなってきた爪でひっかくと、いくつかの破片を残して飛び散るのだった。


(!!?お、美味しくないぃ~)


 破片が口に入ってしまい、そのゼリー状の物体を食べてしまうルカ。

 すると、頭の中で変な声がした。


【ルカは、経験値を獲得しレベルが2になりました。更に、スキル"急所狙い"を覚えました。】


(なんだろ、この声? 前にも聞いた事あるような気がするけど…)


 良く分からないが、何かを覚えたらしいという事だけ理解するルカ。


 ひとまずスライムは食べれないが、人間たちが素材がどうたら言ってた気がする。

 咥えてもっていってみようかと考えた。


 ご褒美に何か貰えればいいなくらいの考えで美味しくないスライムを口に咥えて地上に戻った。


 ちょうど少女がいたので、ゴキゲンで近づくと少女が悲鳴をあげた。


「きゃ~!ルカッ!なんてものを捕まえてきたの!?そんなの食べれないからダメだよ!ぺっしなさい!」


 スライムが怖くて近づけないアーニャだが、ルカが心配で建物に逃げ込むわけにもいかず困り果てる。

 そんなアーニャを目聡く見つけるオカミサンだったが。


「アーニャなんて声出しているんだい!まだお客さんいるんだよ!…おや、どうしたんだ青い顔して…」


 オカミサンは、こちらを見てぎょっとした顔をした。

 だけどすぐに平静を保つ。


「なるほど、あの野良猫がスライムを捕まえちまったんかい。しかし、よーく見てみな。あれはもう死んでる」


 ピクリとも動かないスライムを見て、スライムの死体を拾って来たと考えた女将さんは、建物の中からウインナーを1本持ってきた。

 

「ほらお前、これをやるからそいつを置いていきな!そんなもん食っても旨くないからね!」


 豪快な女将さんは、ウインナーをルカの元に投げるとさっきまで咥えていたスライムの死体を回収した。

 ちゃんと死んでる事を確認して布袋にしまい込んだ。


「まぁ低レベルモンスターだけど、換金したら小銭程度にはなるかね。ウィンナー一本なら上等だろ?」


 ルカが言葉が分からないと思っているのに、そう話しかける女将さん。

 そんな女将さんにルカもすり寄って敵意が無いことを表現するのだった。


 そんなルカを撫でる女将さん。


「女将さん、猫が嫌いなんじゃないんですか?」


「はぁ?いつ私がそんな事を言った。野良猫に変に手を出して引っ掻かれると病気になったりするからね。アーニャがそうならないように注意しただけだよ。それにうちは食堂!猫の毛でも入ったらお客さんにどやされるよ!」


 目を丸くしながらも、実は猫に好意的なのを知って嬉しそうなアーニャだった。


(そーか、中にさえ入らなければオカミサンに怒られない? でも、さっきのウニョウニョを咥えてくるのはダメっぽいな~)


 などと考えながらもゴロゴロと喉を鳴らすルカであった。



 次の日からの仮は順調だった。

 それまで仕留めるどころか、こちらがやられそうなくらい強かった大きなネズミも一撃で息の根を止めれる。


 味の方はイマイチだったが、仕留めてぼりぼり食べる毎に自分が強くなっていくのが分かった。


 途中また昨日と同じ良く分からない言葉が聞こえてきた。


【ルカは、経験値を獲得しレベルが3になりました。更に、スキル"爪強化"を覚えました。】


 お腹は満たされるし、狩りは楽になっていくしで、しばらくは地下の大ネズミと稀に現れるはぐれスライムを仕留めるのが日課になったルカなのであった。

あとがきは独り言です。


以下は、メモ要素があります。

ルカ:L3

種族:猫(?)

ステータス:不明

所持スキル:

【XけXさっX】【XX成長XX】【知識強化】

【急所狙い】【爪強化】


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― 新着の感想 ―
[良い点] 1話と2話読みました! 知恵の実を食べたルカくんが人間の言葉を理解できるようになったのがすごいですね!アーニャちゃんだけでなく、女将さんとも仲良くなれて良かったですね!僕も「店長はこねこち…
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