14話 住処に訪問してきたのは誰かな?
住処の小屋の前にいた人物の正体とは?
久々の狩りの後、住処に戻ると見知らぬ男が扉の前に居た。
中の様子を見ているみたいだけど、何の様だろう?
まさか、中にある肉とか毛皮とかを盗みに来たとか…!?
「(テト、もしかして泥棒かな?)」
「ん~、その割にはおどおどしていないし、しきりに中を見てノックもしているみたいだにゃ。…うん、本人に聞くのが早いにゃ。ルカ、何かあったら助けてくれにゃ」
「(うん、分かったよ。十分に気を付けてね)」
そんな遣り取りをした後、テトはゆっくりとその男に近づいていく。
雪を踏みしめる音をわざと立てながら、自分の存在を知らせつつ近づいていくと、すぐにこちらに気が付いたようだ。
こちらから声を掛ける前に、男から声を掛けてきた。
「やあぁっ、君。もしかして、ここに住んでいるのは君か?」
「うん、そうだにゃ。あなたは何をしに来たにゃ?」
「にゃ?どこかの訛りか?ああ、いきなり済まないな。俺は近くの町に住むトーマスという者だ。ここの小屋を管理していた爺様の孫なんだが、この小屋が倒壊してないか年に数回確認しに来ているんだ。そしたら、なんかあちこち修復されているし、人が住んでる気配がしたから、誰が住んでるのかと思ってな」
「なるほどにゃ。あ、えっと語尾は口癖だにゃ。ええと、誰も住んでないみたいだから、秋頃からここに住ましてもらってたにゃ。…ダメかにゃ?」
獣人であるとバレると別な問題があるため、フードで顔を隠しながらもなるべく可愛く聞こえるように声を作って話すテト。
普段の声色を知っているルカからすると違和感満載だが、相手の男、トーマスには効果があったようだ。
「ああ、いやいやいいんだ。誰も使っていないし、こんなボロイ小屋で良かったら使ってくれて構わない。ただ、崩れたりして人が下敷きになったりしてたら困るから、爺さんの代わりに見に来てただけさ。好きに使っていいよ。ああ、ただ火事とかだけは気を付けてくれ。俺らの責任になるから、それだけは困る」
「ありがとうだにゃ!助かるにゃ。冬の今追い出されたら、凍え死ぬところだにゃ」
「まぁ、こんなボロ小屋でも役に立つなら好きに使うといいさ。たまに様子を見には来るから、何か困った事があれば言ってくれ。金のかからん事なら相談に乗るよ」
まさかここの持ち主がいるとは思っていなかったが、あっさりと使っていいと言ってくれたので、ラッキーと思っておく。
警戒する必要が無くなったので、僕も出て行って『にゃ~ん』と足元にすり寄っておいた。
「おや、猫も一緒かい?…ん?この猫…どこかで見た気が…」
「その猫もここに通ってくるんだにゃ。町にも行ってみるみたいだから、そこで見たのかもにゃ」
「なるほどな。ああ!思い出した、この猫はね町では守り神様って言われてるんだ。数か月前にオーガやホブゴブリン達の襲撃があった時に魔物を退治してくれた猫って。まぁ、本当かどうか分らないけど、そんな縁起のいい猫が使ってくれているんなら歓迎だよ」
「そうなんだにゃ?確かに狩りとかとても上手だけど…」
そう言えば、そんな話をしてたなと思い出すテト。
オーガを倒したと言っていたけど、正直冗談かと思っていた。
しかし、ルカがいう今のレベルとこのトーマスの話を合わせるとあながち嘘じゃないのかもしれない。
「そうなのかい?じゃあ、噂は本当なのかな。まぁ、流石にオーガを倒したは大袈裟だけどな!そういや、声からしてお嬢ちゃんでいいかい?君のその恰好、もしや猛獣使いかい?」
猛獣使いとは、動物や魔物を調教して操り戦わせる事が出来る職業である。
専用のスキルを使い相棒となる魔獣や動物の能力を向上させ、より優位に戦う事が出来る特殊職らしい。
トーマスが指摘したのは、テトの恰好が主に動物の皮を繋ぎ合わせて作ってあり、猛獣使いに多い恰好なのだとあとでテトに教えて貰った。
スラム子供が棲みついたよりはいいだろうとその言葉に乗っかる事にしたらしい。
「えっと、うんそうなんだにゃ。だけど、まだ駆け出しの見習いなんだにゃ」
「そうかそうか。相棒捕まえる為に命を落とす奴も珍しくないらしいから、命を大事に頑張るんだぞ?」
「ありがとうだにゃ、トーマスさん!じゃ、ここは綺麗に使わせてもらうんだにゃ!お爺さんにもよろしくだにゃ」
「ああ、そうしてくれ。…そうだな、爺さんにもあとで墓前で伝えておくさ。そこは、爺さんの形見みたいなもんだから、使ってくれた方が嬉しいだろさ。じゃあ、またな!」
そう言い残して去っていくトーマス。
こうして、正式に自由に使わせてもらう許可を得るのだった。
「これで、ここはテトとルカのもんだにゃ!」
「(いや、別に貰ったわけじゃ無いと思うけどね。でも、これで冬の間に追い出されたりする心配は無くなったね!)」
「うんうん、これで安心してゴロゴロ出来るんだにゃぁ」
「(テトは働き者なのか、怠け者なのか分からないね…。でも、ゴロゴロするのにはさんせ~い)」
テトとルカは、トーマスが去った後に隠していた獲物の肉を住処の保存用樽にしまい込むと、戸締りをしっかりしてから、毛皮と毛布でふかふかのベッドにダイブするのだった。
「うにゃ~!このふかふかが最高だにゃ~」
「(うんうん、きもちいいね~。って、こらくすぐったい!)」
「うにゃ~、ルカももふもふできもちいいにゃ~」
テトはルカを抱きしめると、そのふわふわの毛並みに顔をうずめてもふもふするのだった。
最初は嫌がってたルカも、次第に眠くなりテトとルカは幸せそうに眠りに就くのだった。
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今回で、テトがトーマスと知り合いになり、町に顔を出しやすくなります。
また、見習いのビーストマスターという仮の身分を手に入れる事により、テトとルカは一緒に行動しやすくなっていきます。
次回より、ふたりが新たな行動を開始します!
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ルカ:L15
種族:霊猫 職業:野良猫
ステータス:
力:75(+50) 魔力:45(+50)
体力:45(+50) 精神:45(+50)
速度:150(+50) 技量:90(+50)
運:30(+50)
所持スキル:
【危険察知】【高位成長促進】【言語理解】【知識強化】
【急所狙い】【爪強化】【牙強化】【大喰い】【潜伏】
【全能力強化】【強運】【精神耐性】【魔力感知】
テト:??
種族:半獣人 職業:猛獣使い(見習い)
力:?? 魔力:??
体力:?? 精神:??
速度:?? 技量:??
運:??
所持スキル:
????




