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12話 冬支度って何するの?

 ルカが狩りをしている間、先ほど食べた肉である程度体力を回復したテトは、廃屋の中を綺麗にしていた。


 こう見えて、掃除は得意なんだよね!と誰に言うわけでも独り言を言いつつも、古びたほうきを使って溜まりに溜まった埃を掃き出していく。


 ぶあっと舞う埃に咽るも、すぐに窓を開けて空気を入れ変えつつ続けるのだった。


 テトは、暫く一か所に落ち着いて生活をしていなかったのでどこか楽しみにしている自分がいるのに気が付いた。


(まさか、一緒に生活するのが言葉が分かる猫の魔獣とは思ってなかったけどね…)


 テトも不思議な縁だと感じた。

 あの猫は、見た目は普通の猫だった。


 最初に見たときは、誰かが残していった肉を見つけて食べようとしてる猫なんだろうと思っていた。

 だが、近づいていくと猫には無い魔力を持っている事に気が付いて、魔獣であると分かったのだ。


 ただ、本当に体が限界だったため、何とかその肉を奪う事だけを考えていたので思考を読むまで考えてなかったが、いつの間にか会話が成立していることに驚いた。


 会話をさらにしてみると、かなり高度な知識を持っているようだ。

 それに気のいい猫のようだし、自分の事を生かしてくれたという事だけでもかなりイイ奴に勝手に認定していた。


 どちらにしろ、頼る相手も信頼できる相手もいない。

 さっきのがルカでなく、違う魔獣であればあの場で死んでいたかもしれない。


 そう思うと、ルカとしばらく一緒に居てみるのも悪くないなと思うのであった。


(そういえば、さっきの肉は綺麗に加工されていたけど、あれをルカがやったのであれば相当強いはずだにゃ。一体どれだけの魔物を相手にすれば小さな猫があそこまで強くなれるにゃ?!)


 自分だって、村では訓練とかさせられていたし、魔物と戦ったりもしていた。


 だが、ルカの強さは底が見えない感じがした。


(うん、今は味方してくれるはずだし、気にしても仕方ないにゃ)


 と元来の能天気さもあり、気にしない事にしたテトだった。


 考え事をしながらも、テキパキ掃除しつつ、廃屋の中を調べるテト。

 生活に必要なものはある程度揃ってそうだ。

 壊れている物もあるが、消耗品以外は特に買い足す必要もないだろう。


 ベッドもある。

 干し草を入れ替えればちゃんと使える。

 あとは、毛布を手に入れたいけど人間の町に入るのはハードルが高い。


 ならば毛皮を加工したほうがいいかも知れない。

 今度ルカと一緒に毛皮になりそうな動物を狩りしにいこう。


 そうこうしている内にルカが帰って来た。

 にゃ~。

 ドスン。


「えーと、そいつは今取ったのかにゃ?」


「(そうだよ、沢山お肉ありそうだから仕留めてきたんだ)」


 ルカが捕って来たのは大型の猪の魔物だ。

 頭はもう落としてあった。

 一体、どうやったらあの小さな体でこの大きさを運んでくるのか理解が出来なかった。


 だが次の瞬間更に目を疑う。


「(じゃあ、肉を採ろうか)」


 シュパパパ、ザンッ、ザンッ!


 ルカが小さな手を見えない速度でブンブン振るだけで、猪の魔物が解体されていく。

 ただ、皮を剥いだりは流石に出来ないみたいで主に柔らかい部分の肉だけが切り出され、皮に近い部分の肉はそのままごっそり残っている。


「流石ルカだにゃ。こんな大物を仕留めてくるなんて、テトには出来ないにゃ。でも、皮を使いたいからそっち側はテトが処理しておくにゃ」


 そういうと、毛皮部分をナイフを使って綺麗に剥いでいく。

 そして窯に薪をくべてから、呪文を唱える。


「火の精霊サラマンダーの尻尾よ、火の粉を起こせ」


 ぶあっと火の粉が舞うと、薪に火が付く。

 ルカは間近で魔法を初めて見たので、全身の毛を逆立てつつも興味津々にその様子を見ていた。


 窯の上に大きな鍋を置いて温める。

 汲んできておいた水をそこに流し込み、暫くすると水が温まりお湯に変わってくる。


 鍋から湯けむりがあがってきたら、そこに先ほどの肉を剥いだ毛皮を通して虫を落とす。

 茹ですぎると毛が落ちてしまうので、ぐつぐつ煮てはいけない。


 そこから頭から脳を取り出して、すりつぶして水に溶かして、毛皮をそれに漬けて…。


 そうやって毛皮を鞣して広げたら、外で燻しながら乾かしておくだ。


 毛皮はこうやって作るのだ。


「(何をしてるの?それを使うの?)」


「そうだにゃ、これから冬が来るにゃ。その前にこうやって毛皮を蓄えておけば、毛布代わりにしたり、コートにしたりして寒さ対策になるんだにゃ」


「(なるほど~、じゃあ毎日毛皮になりそうな獲物を捕まえてくるよ)」


「それは助かるにゃ!お肉も取れて一石二鳥だにゃ!」


 こうして、テトとルカの冬支度が始まるのだった。



 それから1週間ほど経った。


 ルカは狩りが終わると、2日に一回は町に戻ってアーニャに顔を見せに行っていた。


 野良猫がふらっと居なくなることは普通なのだが、アーニャが心配しないようにとの配慮だった。

 ついでにオカミサンのご飯も貰うのを忘れない。


 一部をお土産に持って帰りテトに分けたりもしたが。


『美味しいけど、少ないにゃ…』と涙目だったが、自分のご飯を上げたのだ感謝して欲しいと思うのだった。


 テトは生肉のままだと腐ってしまうという事で、ある程度薄く切ってから干し肉を作っていた。

 燻製にする事でより長持ちするらしい。


 木の香りがする、香ばしい干し肉が沢山出来上がっていく。

 ついでに、川で採れた魚も一緒に燻製にしてどんどん保存食が溜まってくる。


「ふ~、これだけあればかなりもつ筈だにゃー。しかし、ルカはすごいのにゃ。毎日こんな量の獲物を獲れる奴はそんなにいないにゃ」


「(へへへ、そうかな?結構慣れてきたし、レベルも上がってるからね)」


「レベル?ルカはレベルが何か分かってるのかにゃ?」


「(ん?そうだよ。ヒトの会話を聞いて、どう言うものなのか理解しているつもりだよ。スキルについても学習したし、最近はどうやったら使えるのかも分かってきたんだ)」


 レベルや、スキルの概念が理解できる魔獣。

 そんなの聞いたことが無い。

 知性がある魔物、それも上位の者達は理解するだろうが、こんな普通の猫のような魔獣がそんな事可能なんだろか?


「ちなみにレベルはいくつだにゃ?」


「(ええとね、今はレベル15だよ。結構前に上がったんだけど、それから全然上がらないんだよ~)」


 ルカが残念そうにそう話す。

 え?レベル15?

 猫が?


 全然上がらないですって?

 そりゃそうだ、レベル15といえばオーガよりもレベルが高いことになるんだから。


 テトは、ますますルカに興味が湧くのだった。




気ままに更新中!


面白いと思った方は是非ブックマークをお願いします!

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~~~~~~~~~~~~

二人(一人と一匹)の生活が始まります。

この先も、テトによってルカが特異な存在であると判明していきます。


~~~~~~~~~~~~

ルカ:L15

種族:霊猫 職業:野良猫

ステータス:

 力:75(+50) 魔力:45(+50)

 体力:45(+50) 精神:45(+50)

 速度:150(+50) 技量:90(+50)

 運:30(+50)

所持スキル:

【危険察知】【高位成長促進】【言語理解】【知識強化】

【急所狙い】【爪強化】【牙強化】【大喰い】【潜伏】

【全能力強化】【強運】【精神耐性】【魔力感知】


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