11話 混血児ってなんだろう?
突然に現れたケモミミ少女の正体は?
「うう…、お腹すいたにゃぁ~、そのお肉ちょーだい」
そう言うとそのままバタンと倒れてしまった頭に獣の耳を付けた不思議な少女は、不思議な魔力の持ち主だった。
取り敢えず弱っているだけで、死んではいなさそうだ。
結構汚れていて、美味しそうな匂いもしないし、肉も少なそうだ。
ゴブリンよりは大きいけど、人間の大人よりは随分小さい。
それに頭には獣の耳と、お尻にはルカと同じようなふさふさの尻尾が生えていた。
(うーん、ニンゲンでも魔物でもなさそうだけど…。めんどくさいから放っておこうかな…)
とそのまま放置しようとした時だった。
目を離した隙にルカの肉を奪い取った。
(ななななな~~~っ!?)
肉をいきなり取られて唖然とするルカ。
ここ最近は自分よりも早く動ける動物を見ていなかったせいもあって、まさか掠め取られるだなんて思ってもいなかった。
我に返り、凄い勢いで食べ始めた少女を威嚇する。
ウ~~~~~~~~~~!!!
「ま、待つんだにゃ!話せばわかるむぐむぐんだにゃっ!」
そう言いながらも食べるの止めない少女。
そして、肉を食べたせいかさっきまでの弱々しさが嘘のように機敏に飛びずさった。
(ボクのご飯を取るだなんて、なんてやつだ!ぼっこぼこにしてやるっ!)
凄まじい気迫で飛び掛かるルカ。
少女に向って強烈な猫パンチを繰り出した。
「話をきくにゃ!話せば、ぶほっ・・分かるっ、ぐひっ・・にゃあっ、あぶうっ」
どう見てもそんな威力になりえない猫パンチよって、ボコボコに殴られていく少女。
最後にみぞおちに入ってしまい、その場に沈んだ。
にゃーにゃにゃにゃっ!(どうだまいったか!)
「うう…、ごめんなさいぃぃぃ。あまりにもお腹が空いて…。お詫びに美味しい魚がいる場所を教えるから許してにゃぁ」
にゃにゃ~!?(本当!?)
「本当だにゃ~。ってあれ、言葉通じてる?」
にゃにゃ~にゃにゃ~にゃ~にゃ~?(そっちこそ、こっちの言っている事分かっているの?)
「これは驚きだにゃ。言葉を理解する魔獣なんて、初めてみたにゃ。私は動物とも意思疎通が出来る『意識共有』っていうスキルがあるから、特定の相手の思っている事を聞く事が出来るんだにゃ!…そのおかげでこんな辺境まで逃げる羽目になったのだけどにゃ」
(じゃあ、これでも言葉伝わるの?)
「うんうん、わかるにゃ!って、言葉の理解度が人間並みだにゃ…。本当に君は猫の魔獣なのかにゃ?」
(魔獣じゃなくて、普通の猫だよ?)
「普通の猫は、言葉なんか理解しないにゃ…。しかも、私よりも強い猫なんて存在しないにゃ…」
ルカは好奇心に負けて、すっかり敵愾心を忘れてしまっていた。
元々殺す気は無かったので、猫パンチしかしていなかったのだが。
本気で戦えば最初の一撃で、少女の体と頭が今生の別れをしていただろう。
ルカの事はさておき、少女の話を聞くことにした。
取り敢えず、肉のお詫びは後で必ずという約束だけして、なんでこんなところにいるのかと何者なのかを聞くことにした。
「ええと、私の名前はテトというにゃ。ハーフリングと獣人の混血児なのだにゃ。あまり接点の無い種族同士の結婚で親は苦労したみたいで、私が気が付いたら両親は死んでしまってたにゃ。なのでこの間まで獣人族のある村に住んでたんだけど、いきなりおっかない奴らが村を襲って来たんだにゃ…」
テトはその襲撃からなんとか逃れる事に成功したが、追手がかかりずっとここまで逃げてきたらしい。
なんとか追っては振り払ったが、ろくな食事にもありつけなかったので、つい肉の匂いに我慢が出来ずにルカの肉を奪って食べてしまったらしい。
テトを追いかけて来ていた者を一人なんとか撃退したとき、目的を聞くことが出来たらしい。
なんでも、獣人族の中に相手の意識を読む事が出来る異能を持つ者が現れた。
その者を捕らえて、敵国に送りこみスパイにしようという事らしい。
スパイとして利用するため、一度死んだことにする必要もあるため、その村ごと滅ぼそうとしたという事だった。
実際に、生き残ったのはテトだけらしく、捕まった村人はスキルが無いと判断されてすべて処分されたらしい。
もちろんこれは相手が口を割って説明してくれたわけではなく、テトのスキルによって意識を聞いて確認したことなので、間違いはないらしい。
(それって、僕が考えた事が全部分かっちゃうという事?)
「意識した相手の意識しか聞けないから、すべてが筒抜けるわけではないにゃ。逆に言えば常に意識すれば、ちょっと離れても聞く事も出来るにゃ」
ルカはそれがどれだけ凄いことなのかいまいちピンとこなかったが、自分の代わりに人間と話をして貰うとかが出来そうなのは便利かもと思った。
ルカの場合は、相手の話は聞けるが言葉を話す事は出来ないので、それがもどかしいと思う事もあるのだった。
「(じゃあ、代わりに喋って貰う事も出来るよね。オカミサンにどんなお土産がいいかとか聞いたり出来るかも。あ、そうだ本は読めるの?)」
「ん~、人間の文字は読めないにゃ。ただ、君が文字を読めるなら代わりにめくってあげるのは出来るかにゃ?あ、そういえば君は名前を持ってるのかにゃ?」
「(僕は、ルカ。そう名付けてくれた子がいるから、僕の名前はルカだよ)」
「なるほど、ルカだにゃ?じゃあ、ルカこれからよろしくにゃ!」
「(あれ、勝手に付いてくる事になった!?)」
「もちろんついて行くにゃ。今日からルカは、テトの親分なんだにゃ!」
いつの間にか親分扱いになってしまったルカ。
但し、動物の世界では弱肉強食で力関係は絶対に近い。
なので、今の力関係でいえば妥当なのでそれ以上気にしない事にした。
「(そう言えばさ、混血児って何?)」
ルカは色んな言葉を人間の会話から学習しているが、聞いたことない言葉は理解出来ない。
ましてや自分で本を読めないので、自己学習も出来ないので当然初めて聞く言葉は意味が分からない。
「えっと混血児というのは、別々の種族から生まれた子を言うんだにゃ。ハーフって呼んだり、混血児と呼んだり色々だにゃ。ただ混血児はあんまり皆に歓迎されないのだにゃ。その理由は…わかんないにゃ!」
「(なんだか、大変なんだね。そう言えば、ハーフリングも獣人も森の住人って事だけど、ニンゲンと仲良かったの?)」
「!!?そうだにゃ、ニンゲンはどっちとも仲が悪かったにゃ…。しかも、特に獣人は魔族扱いだったから敵対している気が…。」
色々話を聞いた結果、テトを町の中に入れるのは危険という結論になった。
ついこの間に魔物の襲撃があったので、バレたら大変な事になりそうだ。
魔族と言うのは見た事無かったけど、人間の敵という認識らしいし、魔族側も人間は敵という認識が強いらしい。
但し獣人やハーフリング等の森に住む種族は、敵というよりは森を荒す厄介な者達くらいの認識らしいが、嫌われているという認識では同じらしい。
いくら肉泥棒されたからと言って、それが原因で死なれたら嫌な気分になりそうだなとニンゲンみたいな事を考えたルカは、何かいい所が無いかを探していた。
ついでに自分も冬の間に避難できる場所が欲しいと思っていたので、言うなればついでではあるんだけど。
暫くふたりで探し回っていると、森の中に昔木こりが住んでいたのであろう廃屋を見つけた。
あちこちボロボロで、中は蜘蛛の巣だらけであったが、設備はしっかりしている。
生活するのには困らなそう、とテトが言っているのでここを使わせて貰う事にした。
近くには川もあるし、水も確保出来るみたい。
冬というのが来れば凍ってしまうけど、それでも水を汲みとれない訳じゃないと言っていた。
小屋の壊れている所や、中の掃除などは自分でやると言うのでテトに任せる。
どっちにしろ、猫の手では何も出来ないのでルカは見てるだけしか出来ないのだから。
「その代わりにゃんだけど…。ご飯を取ってきて欲しいにゃ!ルカは私の何倍も狩りが上手だし、お願いだにゃ!」
親分だといいつつ、ちゃっかりお願い出来ちゃう所はテトの強かな所である。
ただ元々プライドだのと無縁なルカは素直に狩りに出掛けるのだった。
(テトのお陰で冬の間の住処が確保出来そうで良かった〜!仕留めないで良かったよ)
と、結局ルカも手伝ってくれているテトを利用しているに過ぎなかったが。
そうして、お互いの利害が一致した猫と半獣人の奇妙なコンビが生まれたのであった。
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ついにお仲間登場です!
今後どういうふたりになるのか?
この出会いがルカの運命を大きく変えていく・・・
予定です!
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ルカ:L15
種族:霊猫 職業:野良猫
ステータス:
力:75(+50) 魔力:45(+50)
体力:45(+50) 精神:45(+50)
速度:150(+50) 技量:90(+50)
運:30(+50)
所持スキル:
【危険察知】【高位成長促進】【言語理解】【知識強化】
【急所狙い】【爪強化】【牙強化】【大喰い】【潜伏】
【全能力強化】【強運】【精神耐性】【魔力感知】




