アナタの不安。
もしもしって声も聞かずに電話に出た瞬間に私は話し出す
「ねぇ、聞いて」
「どうしたのさ」
「さっき?今?いまさっき!」
思い出しただけでイライラ
「どうした、どうした」
「ピンポーンって人が来てはーいって出ていくでしょ?」
興奮して早口になってしまう
「うん」
だけども、聞いて聞いて!
「そしたらね、リフォーム会社の営業の人で、何て言われたと思う?」
「リフォームしませんか?」
「ちがう!」
ちがうの!もっとひどいこと言われたの!
「お父様かお母様はご在宅ですか??ですって!!!」
どう思う?失礼極まりないでしょ!?
「え?」
「本当にありえないでしょ?絶対にあの営業の人私より年下に見えるのに!!!」
私の見立てではあの営業の人20代前半だよ!そんな人に親居ますかって聞かれたの!
「え?」
普段から主語と述語がうまく使えない私。興奮してる分余計にわけわからない話になってしまってるみたいで…
ふーっと一息ついて気持ちを落ち着かせてからゆっくりと話す
「私よりも断然若いリフォーム営業の人に言われたの」
「男の人?」
「男の子!」
「お父様かお母様いますかって?」
よかった!会話できてたみたい
「そう!だから、言ってやったの!
ここは私の家ですけどって!」
どーだ。私は、やれば出来る子なんだぞ!
「どや顔でやったでしょ」
「え?なんでわかったの?」
きっと今も少しどや顔ですけども…
「なんか、キミらしくって想像がつく」
なっ!!!私ってどんな子だと思われてるの?
「なんで笑うのさ」
ちょっと拗ねてきちゃった
「キミはかわいいからね」
「いきなりなに!?」
怒ったり拗ねたり照れたり忙しいじゃん
「俺は不安だよ」
不安?なにが?
「どうして?」
「キミに変な虫が付かないかとか、どこぞの馬の骨に奪われないかとかさ」
変な虫ってどんな虫ですか。
馬の骨に奪われるってなんですか。
私は
「好きよ」
他なんかいらない。
「アナタが好き」
「ありがとう」
嫌なことあってイライラしたけどこんなふうに言われるなんて思ってなかったからすっごくうれしい。
寝るまでニヤニヤが止まらなかった。