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1話 不審者の到来は大体物語の始まり

ふと思いつたものを勢いで書いてしまった。

公開したことに後悔はない……その発言には後悔しています。

 アパートに帰ると不審者と思わしき少年がいた。


 仏ノ宮誠(ふつのみやまこと)。十六歳。鷹末たかまつ高校の二年生である。

 彼がどんな人間であるかと言う問いにどこにでもいる高校生である……と言ってしまえばやや語弊があるだろう。確かに彼はスペックとしては天才や異常な部類には属さない。成績表で言うのならオール3。可もなく不可もない、特出するべきものを持っていない少年だ。ただ、彼は少々厄介な『立場』に属しており、それが特異だと言えばそういうことになる。

 悩み事はどうしようもなくクセのある茶髪の天然パーマ。アフロ一歩手間なその髪型のせいでよく大○洋とか言われるのはもはや慣れてしまっている。

 それについては置いておくとして、次に彼の趣味についての話をしたい。小説を書く事。それが彼の趣味だ。小説を読むことではないのであしからず。

 今日もいつものようにネタ探しのために放課後という学生特有の時間を使って色々な場所を歩き回っていたのだが、結局のところ収穫はゼロ。落胆しながら帰路についた。

 そして、この現状である。


(……どうみても怪しいよな、アレ)


 不審者らしき少年を見ながら、仏ノ宮は心の中で呟く

 人は見かけで判断してはいけない、と誰が言った言葉だろうか。

 確かにその通りだと仏ノ宮も思うが、しかし上から下まで真っ黒で背中には棺桶を背負っており、腰には日本刀を携えている人間を怪しくないと言えるほど、彼の常識は広くなかった。しかも困った事に少年はアパートの玄関前に立っている。まるで門番だ。

 さて、と仏ノ宮は考える。

 見るからに怪しい少年はアパートの玄関前にいる。それはつまり、アパートに住んでいる人間に用がある、ということだろう。それが仏ノ宮である可能性はあるだろうか。いや、ない。何故なら少年は仏ノ宮にとって知らない人間だからだ。見ず知らずの人間が自分のところにやって来るなんてあるはずがない。あったとしてもそんな低い確率がこのタイミングで起こるわけがない。そう信じよう。信じさせてくれ神様。

 などと思いながら少年の隣を通り過ぎようとした瞬間。


「……アンタが仏ノ宮誠か?」


 仏ノ宮誠の願いは簡単に打ち消された。



 少年の名前はナギサというらしい。

 何とも女の子っぽい名前である。彼の顔をよく見てみると童顔であり、女に見えなくもない。それどころかそこら辺の女性よりも整った顔立ちをしている。

 もしかしたら女なのでは? という疑問に。


「俺は歴とした男だ」


 とキッとした目つきで仏ノ宮は睨まれた。あまりにも殺気立った様子だったことからどうやら禁句らしい。

 取り敢えず自分を訪ねて来た人間を無視するわけにもいかないため、部屋の中に招いた仏ノ宮は「粗茶ですが」などと言いながら茶を出す。しかし、ナギサは全く手をつけず微動だにしない。そしてそのまま時間は無駄に過ぎていく。

 このままでは流石にまずいと思い仏ノ宮は話を振る。


「……で、ウチに何の用?」

「用心棒として、ここに住まわせて欲しい」


 さらに状況が悪化した。

 今、彼はなんと言っただろうか? 住まわせて欲しい? ここに? なんと巫山戯たジョークだ、と考えていると。


「藤堂からアンタに頼めば何とかしてくれると言われた」


 仏ノ宮にとって聞きたくない名前ナンバー1の名前が彼の口から出てきた。

 藤堂、と彼は言った。そう珍しい名前ではない。全国的にみればどこにでもあるような名前だ。もしかすれば仏ノ宮が知っている人物とは違った人かもしれない。

 そんな淡い希望を胸に問いを投げかける。


「すまないが……そいつのフルネームは? あと、特徴は?」

「フルネームは藤堂康友とうどうやすとも。特徴は……いつもスーツを来たいけ好かない印象を持った男だ」


 どう考えても仏ノ宮が知っている人物だった。

 藤堂康友。仏ノ宮の古い知り合いであり、彼を毎度の如く厄介事に巻き込む男。そして困っている仏ノ宮を見て愉悦を感じるトンデモナイ変態である。

 最近はその名前を聞かず、平穏な日々を送っていたのだが、ここにきてまた面倒事を押し付けようとしているようだ。


「手紙を預かっている。アンタ宛だ」


 と懐から出てきた手紙を受け取り、中身を確認する。



『拝啓、なんて言葉を使う間柄じゃないからフランクにいこう。久しぶりだね、仏ノ宮君。元気にしているだろうか? こっちは《管理部》の仕事で相変わらず手一杯さ。まぁそんな世間話はまた今度にしよう。今、君の前には棺桶を背負った黒づくめの少年がいるはずだ。君には彼らを保護して欲しい。というか、面倒を見て欲しいというのが本音かな? 彼らはちょっとした重要人物でね。なら、お前達が面倒みろよ、と言いたいだろうけど色々と訳ありでね。その理由は今は教えられない。無論、ただでとは言わない。ナギサ君には君の『新しい』用心棒をしてもらうことになっている。色々言いたいことがあるだろうが、君にとっては悪い話じゃあないだろう? とにかく君に彼らを任せる。金のことなら心配無用だ。必要経費プラス迷惑料は銀行に振り込んでおくよ。それじゃ。

 ps いくら可愛いからって手を出しちゃダメだよ?     』



 ふぅ、とため息を吐くと仏ノ宮は立ち上がり、窓を開けた。

 そして。


「ふっっっざけんなあああああああ、あんのクソ野郎がぁぁぁぁあああああああああああああっ!!」


 恨みつらみが篭った怒声は木霊しながら町の端まで響いていく。近所迷惑も甚だしいが今の彼にはそんな余裕はない。

 全身黒服、しかも腰には日本刀、背中には棺桶をしょっているどう見ても怪しさ満点の人間をいきなり家へと送り込み、挙句は「面倒よろしく、てへっ」的な手紙を読ませられれば怒り浸透で大声を上げたくなるのは自明の理だろう。

 しかもだ。


「可愛いからって手を出すな? オメェの中でいつからおれは同性愛者になってんだ!! 人を舐めんのも大概にしろぉぉぉぉぉおおおおお」


 一般的にホモやゲイと呼ばれている人を馬鹿にしているわけではないが、自分がそう思われているのはやはり心外である。いや確かに目の前にいる少年はどうみても女顔でそこら辺にいる女に比べれば綺麗な顔はしているけれど。女装とかさせたら絶対女の子と見間違ってしまう自信があるけれども!

 ……いや待て、と仏ノ宮はここで気づく。そもそもにしてこの手紙には少し妙な部分があることを。


「彼、ら……?」


 仏ノ宮はもう一度手紙を読む。彼らを保護して欲しい。確かに手紙にはそう書いてあった。その部分以外にもいくつか『彼ら』という単語が出てきている。ただの書き間違い、とは考えられない。それもあの藤堂がここまで書き間違いをするとは到底思えない。

 ということは……と思っていると。


『煩いぞ……誰だ、私の眠りを妨げるのは』


 瞬間凛とした、しかして幼さが未だ残っている少女の声が耳に入ってきた。どこから? という疑問についてはすぐに解決できる。それは玄関からでも窓の外からでも、はたまた押入れの中からでもない。黒服少年、ナギサが背負っている棺桶の中からだ。

 いや、でも、まさか……などという思考はここに来て不要だということは仏ノ宮も既に理解していた。

 謎の少女の声にナギサは首を少し横に向けて話し返す。


「シオン、起きたのか」

『あれだけ外で大声を出されれば誰だって起きる。というわけで、ここから早く出してくれ。何故か先程から息苦しくて仕方がない』

「分かった」


 言うとナギサは背負っていた棺桶を狭い床にゆっくりと降ろした。そして何重にも掛けていた棺桶の鍵を外していく。鍵を外すのは構わないが、せめてその鍵はちゃんと片付けて欲しい、ただでさえ狭いのだから……などと心の中で呟くも当然のようにそれは聞き入れられない。

 そして棺桶の全ての鍵が解除されると同時に、蓋が開かれる。

『それ』を最初に見た時の感想としては白い、ということだろうか。

 揺れる白髪。しかしそれは老化の結晶ではなく、雪のようなもの。触れれば溶けて消えてしまいそうな儚さを感じさせる。肌もまた、汚れを知らないと言わんばかりの白さを保っており、背丈の小ささとこれまた白いゴシックワンピースなどが混じり合い、まるで人形だ。線も細く、より一掃脆さを醸し出している。

 可愛い、という言葉よりも綺麗だ、という言葉がしっくりくる。その病的なまでの白さは見るもの全てを魅了してしまうだろう。そんなことさえ考えてしまうほど、その少女は美しかった、というのは些か言い過ぎというものか。


「ふぁ~」


 眠気が抜けきっていないのか、少女は欠伸をかきながら背伸びをする。


「おはよう。と言ってももう夜だけれど」

「何をいうか。私にとってそれは当然のことだ。夜に起きて昼間は棺桶で寝る。私達はそういう存在だ。何もおかしなことはない。それで……」


 シオン、と呼ばれた白い少女は仏ノ宮を指差しながら問いを投げかける。


「そこにいる、見るからにして平凡にして凡庸な、取るに足らない小僧は誰だ?」

「……それは、もしかしなくてもおれのことか?」

「他に誰がいる? もしや脳みそが虫以下なのか? ならば言い方を変えようか。そこにいる虫けらのようなお前は誰だ?」


 ……訂正。確かに見た目は綺麗だが、中身がダメなパターンであったと仏ノ宮は理解する。

 女性は見た目が良ければ後は別に構わないという輩がいるが、仏ノ宮はその考えに賛同できない。いや、そもそもにして彼の人生経験上、見た目が良い女程ロクな者はいなかった。自分はどうやらそういう星の下で生まれたのだろうと思いながらも彼はシオンの言葉に返答する。


「よくある常套句で悪いんだがよ、そういうのはまず自分から名乗るのが礼儀ってもんじゃねぇのか?」

「何故貴様のような奴に私が礼儀を示さねばならんのだ?」


 ああ言えばこう言う、というのは正しくこのことだろうか。かなりイラつくがここは我慢だ、と仏ノ宮は耐える。怒鳴り散らすのは簡単だが、それでは自分が堪え性がない奴だと言ってしまうようなもの。それはいただけない。相手はどう見たって自分よりも年下。そんな相手に怒声を浴びせるなどといった姿を晒すほど仏ノ宮も子供ではない。

 そういうわけで、仏ノ宮は少女に問われたように自分の名前を答える。


「おれの名前は仏ノ宮誠。この部屋の主だ」

「そうか。では虫けら、さっさとこの部屋から出て行け」


 ……。

 ……。

 ……は?

 一瞬、何を言われたのか理解できなかった。いや、その言葉の意味は分かるが、どうしてそれがこのタイミングで言われるのかが分からなかった。

 困惑する仏ノ宮を見たシオンは念押しのように続けて言う。


「だからここからさっさと出て行けと行っているのだ。ここはみすぼらしくて狭い。私とナギサだけで住むにしてもあまり広いとは言えない。全く、藤堂の奴め。私達をこんなところに送りおって。しかしまぁ、状況が状況だ。致し方ないと言えばそうなるな」


 何やら一人ぶつぶつと独り言を呟いた後、シオンは纏めるように言った。


「そういうわけで、貴様がいるととても迷惑、というか邪魔なのだ。なのでさっさと出て行け。なに、身支度を整える時間くらいはやるさ」


 思考が少しの間停止したが、要約するとこういうことだ。

 お前邪魔だからさっさとどっか行け、と。あまりに完結且つわかり易すぎて逆に清々しい。

 その言葉に驚いているのは何も仏ノ宮だけではなかった。


「シオン。それはダメだ。この人の用心棒をすることが藤堂との契約だ。それにここはこの人の部屋だ。俺達が追い出すなんてことはしちゃいけない」

「ふん、そんな契約どうでも良いではないか。というか、私もここまで狭苦しいところだとは思っていなかったのだ。ここで三人で暮らせだと? 馬鹿馬鹿しい。ナギサはともかく、こんなどこの馬とも知れない虫けらと共に暮らすなど私は御免こうむる。むしろ、今ここで殺さないでやることに感謝して欲しいものだ」


 その台詞はまるで「こんなにも譲歩するなど私は寛大だろう?」という意味にも聞こえた。実際、彼女はそういう意味で言っているつもりだろう。言われた本人の気持ちとやらは一切無視ではあるが。

 要するに仏ノ宮はこの見た目はとんでもなく綺麗だが、中身が超上から目線の少女から命令をされている。言い回しや口調から考えて彼女はそれが当たり前であり、何の疑問ももつ必要性がないと思っているわけで、それはつまり、仏ノ宮はシオンという白い少女に既に嘗められているということだ。

 仏ノ宮は考える。いきなり知らない奴らがやってきて、それが自分が嫌いな奴の紹介で、しかも二人のうち一人はさっさと出て行けという始末。

 ああ。ここまで来ればもういいだろう。


「さぁ、命が惜しかったらさっさと身支度を整え……ろ……?」


 シオンの言葉が疑問形になったのは、仏ノ宮が立ち上がったのと同時だった。

 この時、シオンはようやく出て行く決心をしたか、と思っただろう。しかし、仏ノ宮が彼女の隣に立ったことによってその考えは変わる。

 何をしているのだ? そんな疑問を考えているのが丸分かりな彼女に対して。



 次の瞬間、怒りの鉄槌ゲンコツが叩き込まれた。



「―――――いぎっ!?」


 唐突の一撃。そのせいか、彼女は仏ノ宮の拳をまともに喰らってしまい、奇妙な声を上げてしまう。正直な話、そのゲンコツの音は男が女の子にしていいものではなかった。

 痛い、と同時にやってきたのは呆然。先程まで仏ノ宮を数々の暴言によって驚かせていた彼女だが、しかし今は彼女の方が驚きを隠せないでいる。


「なっ、き、貴様、何を……!?」

「何を、だと? ふざけたことを抜かすガキにお仕置きをしてやっただけだが?」

「が、ガキだと……それは私のことか!!」

「は? それ以外誰がいるだよ。お前、もしかして視力悪いのか? それともこの中で一番ガキなのが誰か、本気でわからないとか言わないよな?」


 さっきまでとは打って変わって今度は仏ノ宮がシオンを挑発する。先程怒り散らすのがどうのこうの考えていた彼はもはや存在しない。


「無礼者が!! 貴様、誰に対してそのような口を……ぎゃっ!?」


 シオンが何やらぎゃんぎゃんと喚いていたところに再び仏ノ宮の鉄拳が入る。


「貴様……また殴ったな。私に対してまた殴ったな!!」

「ああ殴った。殴ったぞ。だからどうした? お前、まさかコケにされて何も言わずおれがはいそうですかって言うとでも思ってたのか? あそこまで言われてただ黙っている腑抜けだと? ふざけるなよオイ。人を馬鹿にするのもいい加減にしろよ、ガキ。てめぇがどこの誰かなんてことは知ったこっちゃないし、別にどうでもいい。だがな、人ん家に来て勝手やって出て行けとか言って喧嘩売ったんだ。だったら殴られる覚悟くらいしとけ、ボケ」


 もはや沸点が低いだの、子供相手に大人気ないだの、そんな一般論は仏ノ宮には通用しない。彼女の言動によって彼はぷっつんしてしまったのだ。そもそもにして礼儀知らずで図々しい、常識知らずの子供に対して何もせずに従えという方が無理な話である。

 ……だからと言って少女を殴る行為が正当化されるわけではないが。


「……そうか。なるほど。どうやら貴様、状況が理解できていないようだな。それとも命が惜しくないのか……まぁどちらでも良い」


 シオンは顔を伏せながら立ち上がる。その小さな体全体から何やらただならぬ雰囲気が滲み出ているのは気のせいだろうか。

 何だ……? そんな疑問を持った仏ノ宮の心を読んだかのようにシオンが口を開く。


「先程の問いに答えてやろう」


 ゆっくりと上げられる右腕。しかし、そこにはそれ以上の意味があるように思えた。

 先程から仏ノ宮に対して送られるひしひしとしたもの。それは彼が時折感じるある感情。そう、殺気というものだった。

 こんな年端もいかない小さな少女が殺気を放つなど普通ではありえない。いや、そもそもにしておかしいのは最初からであった。彼女は何故棺桶などに入っていた? 眠っていた、と言っていたが棺桶で眠るもの好きがどこにいる? そして先程の夜に起きて昼間は棺桶で寝る、私達はそういう存在だ、という彼女の台詞。聞きようによってはまるで自分達が人間ではないような言い方。それが、まるで、ではなくその通りであったならば、どうだろうか。

 仏ノ宮も理解はしていた。藤堂という、あのロクでもないことを持ち込んでくるトラブルメーカーが押し付けてきた奴が普通なわけがない、と。分かってはいたが……これは予想外である。

 昼間は眠り、闇夜に活動する夜行性で、棺桶で眠る存在。

 それは仏ノ宮が知る中で一つしか思い当たらなかあった。

 そして、シオンは自らの名を名乗り上げる。


「私の名はシオン・グラハム・ハーカー。偉大なる夜の一族にして『混血』の名を持つ者。そして……貴様を殺す者の名だ。冥府に行っても覚えておくがいい」


 そして、死刑宣告である右腕が振り下ろされた。

 ……振り下ろされたのだが。


「……で?」


 仏ノ宮は首を傾げながら真顔で問いかける。

 シオンの右腕が振り下ろされた後、何が起こったかというと静寂が空間を支配しただけだった。言い換えれば、何も起こらなかった。

 シオンの殺気は本物だった。そして、彼女が仏ノ宮を殺すために何かをしようとしたのも事実だろう。これはただ、その何かが起こせなかっただけに過ぎない。


「な、何故……!?」

「はっ、状況を理解していないだぁ? 理解できてねぇのはお前のほうじゃねぇか。ええ? 吸血鬼のお嬢ちゃん」


 あっけからんと仏ノ宮はその単語を口にする。

 吸血鬼。血を吸う鬼。西洋に伝わる怪物であり、夜に生きる人間とは違う生物。いや、生物と呼んでいいのかも分からない存在だ。それは空想のものであり、実在するわけがない。少なくとも世界中のほとんどの人はそう信じているに違いない。吸血鬼が実際存在し、人間の血を吸いながら生きているなど誰も知りえない。

 だが、仏ノ宮にとってそういった人外の類の話は別段珍しくもなんともない。何故ならここはそういう町なのだから。

 唖然とするシオンとナギサの二人に対して、仏ノ宮は面倒くさそうな目つきで言い放つ。


「ようこそ、うたかた町へ。甚だ遺憾ではあるが、一応歓迎するぜ、お二人さん」


 ここはうたかた町。

 ある者にとっては理想郷、ある者にとっては地獄、またある者にとってはただの平凡な町。

 これは人間と人外が織り成す、どこにでもある普通な話である。

物語はここからですが、良ければ今後も読んで下さると嬉しい限りです。

不定期になるとは思いますが、長い目で見てくだされば幸いです。

感想、意見、批判など待っています。よろしくお願いいたします。

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