プロローグ
初投稿です^ ^よかったら読んでみて下さい(^O^)/
この物語は卓球に全てを懸けてきた少年達の数年を追ったものです。
......2020年夏。東京のとある会場。
国の威信を懸けた選手達が白い40mmの球を打ち合い、観客の歓声と溜め息が交じり合うその観客席に5人の青年が横並びになって観戦していた。
「こりゃー凄え試合だな。」1人は目を輝かせながらふと一言。
それには反応せず他の4人は沈黙。
1人はスーツ、後の3人はカジュアルな私服と
一見どこにでもいそうな友人達に周りの人は思うだろう、いや観客はみなセンターコートに置かれた男女1台ずつのコートに夢中になっているはずだ。
そしてスーツの男がふと、私服を着た3人の内1人を見て「お前もあのベンチに…いや実際に出ていても不思議じゃなかったはずだぜ。」これまた一言呟いた。
その言葉に3人は「俺?ないない!あんな緊張する場面ぜってー無理でしょ。」
「日の丸着けて戦いたかったよ俺も。」
「………飲みもん買ってくるわ。」
あーあ。最初に話した青年が溜め息交じりに首を横に振る。
「えいちゃんにあれは禁句だよ〜。葉介!絶対機嫌損ねたよあの様子だと!笑」
他の2人の青年も顔を見合わせ、どこか悲壮めいた笑顔で同意したような目線を向ける。
「別にからかって言った訳じゃないし、本心だよ本心。」とスーツ姿の葉介は呆れ顔で試合に顔を向け直した。
こりゃ日本勝ったな。よかったよかったと話すのは1人このメンバーで1番口数が多い青年。
「そもそも松田が無理矢理、俺ら集めて五輪観ようってのが怪しかったよな。」と私服姿のもう1人が話し始めた。「何もわざわざ卓球をこの5人で観なくとも。しかも、えいちゃんまで。。」5人の中で一言も発していなかった青年がようやく口を開いた。
4人の中で一瞬の沈黙。
そこに先程ジュースを買いに行ったえいちゃんとやらが駆け足で戻ってきた。
「あちゃーもう男子の方は決勝決めちゃったかぁ」松田がすかさず「えいちゃん全然気落ちしてないね!笑 てっきり代表落ちして機嫌悪いかと思ってたんだよ!4人とも。笑」
葉介、他2人が間髪いれずに松田の頭に軽くツッコミをいれて、「俺らってなんだ、俺らって!」と。
それにえいちゃんはやけに笑顔で一言。
「代表落ちは3月の時点でわかってたことだし、気持ちの整理もすんだよ!そりゃーもうスッキリとね!」
バカだなーえいちゃんは。。葉介も松田も他2人もそんなこと無いとないと直ぐに察した。
「えいちゃん。その涙は嬉し涙には見えんのですよ。」松田は直ぐ言葉にしてしまうのだ。
「よしっ!女子の決勝進出見守ったらみんなで飯だ飯!今日は飲み明かそうぜ!」私服の1人、力也がそう言い放ち。5人全員が笑い。観戦に再び熱を入れだした。