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今日から学校と仕事、始まります。①莞

最近のサンタ事情

作者: 孤独

サンタという白い髭と、赤服のおじさんの事情は最近変わっている。



「サンタさんってなんです?」



現在は小学生である阿部のんはサンタを知らない。それすら信じていないということより、


「そっか、のんちゃんは異世界から地球に来たもんね。サンタさんは知らないよね」

「学校でもクリスマスプレゼントについて話している同級生達がいました」

「うーん。こーなったら、サンタとは何か私が教えてあげるわ!」


同居人である大学生の沖ミムラは由々しき事態と感じ、のんちゃんにサンタを教えるべく。22日から準備を始める。

ミムラは高校生で、サンタが父親(もしくは母親)であることを知った。欲しい物があれば寝ている間に届くという魔法の理由を知れたのだ。

さりげなく訊く気はない。堂々と真っ直ぐに、むしろ何も分かっていない口調でミムラはのんちゃんに訊いた。


「ところでのんちゃんは何か欲しい物がある?」

「欲しい物ですか?あれば、のんちゃんは”独占”を使っちゃいますよ?」

「それは止めてください。お願いします」

「ふぇ?」


のんちゃんも、ミムラも分け有りの特別な人間だ。

のんちゃんが所持している”魔術”、”独占”は、のんちゃんが望んだ物を全て、のんちゃんの物とする強力かつ凶悪な能力。現在はそれなりにのんちゃんが制御できるようになったが、暴発することもあり、発動すれば世界規模に及ぶ被害が発生する。



「そーゆうのは置いといて!しなくていいからね!」


ミムラは念を押して、のんちゃんに確認してから訊く。


「単純に!のんちゃんが欲しい物ってある?サンタさんはね、12月24日。良い子には欲しい物を一つだけプレゼントするおじさんなのよ!」


言った後でミムラは思った。今は、12月22日。のんちゃんのことだからそう高価な物はお願いしないだろうが、突拍子もないお願いが来たら対応できるだろうか。

そしてそれが具体的でなかった時、大変に選ぶのが困難だ。


「欲しい物を一つだけですか~」

「欲しい物だからね!」


サンタって大変な職業だな~っと、ミムラは自らやりながら思った。大学は冬休みで1日空くが、見つけられない物だったらどうしようか。そして、のんちゃんの好みに合わなかったら結構傷付く。のんちゃん、お願い!あなたはとても賢い子!できるだけ漫画とか、映画のDVDとか、ゲームとか分かりやすくて満足しやすいのを選んで!


「可愛い傘が良いです!」

「え?傘?」

「はい!のんちゃんは傘の収集が好きです!地球にある可愛い傘が良いです!」


東京在住のミムラにとって、傘を望まれるとやや苦しかった。今の時期は冬晴れが多く、傘を売っている店など知らない。傘をクリスマスプレゼントに選ぶなんてのんちゃんらしいけど。


「わ、分かったわ!とにかく可愛い傘なら何でも良い?希望はある?」

「可愛いなら何でもいいですよー!」


それはとても喜びが顔に書いたような明るさを持つ表情。相当期待している。ミムラはのんちゃんの要望に応えるため、もうサンタという存在意義を忘れてやってやった。



プチィッ


「よーし、じゃあ。AMAZONさんに問い合わせだね!」


PCの電源を入れ、普段は使わないネット通販のサイトを開くのだった。隣にのんちゃんがいながらも、お構いなしで目当ての傘を捜す。だって、今時はこーゆうところから見た方がいいじゃない!?


「わー、いろんな種類があるよ。のんちゃんはどれが好き?具体的に決めて」

「わ、分かりました!のんちゃんはー……この兎の傘が欲しいです!」


のんちゃんがAmazonを知らないことが幸いだった。のんちゃんには販売されている傘の一覧ページだと思い込んでおり、なんの気持ちも感じず傘を選んでいる。サンタなんて最近こんなもんだ。ネット最高じゃ。

商品が決まっていざ、


「カード払いにして。12月23日到着予定……っと!これでサンタさんが来てくれるよ!」

「凄いです!本当に好きな物が届くんですね!?」

「そうだよ!24日の朝にはのんちゃんの枕元に置かれているから!楽しみにしてね!」

「わーい!楽しみです」



商品は予約した。配達がちゃんとされていればあとは問題ない。ただAmazonで注文しただけどいいよね。これもサンタだよね?目の前で頼んじゃったけど。

23日。受け取って23日の夜に、のんちゃんの枕元に置けばそれで私もサンタだよね!?





12月23日の夕方。



ピンポーン



「えー?なんだろう?今、火を着けているのに……」

「はーい!のんちゃんが出ますよー!」

「ごめーん。のんちゃん。判子を持って出てくれない?」


ミムラが夕食を作っている最中に来訪者。この時、誰なのかを予測することができなかった。それよりも、肉野菜炒めに夢中だからだ。


「すいません。Amazonです。少し大きいですよ」


何気なく出たのんちゃんは中身が入った大きめのダンボールを受け取って、ミムラのところへ持ってくる。



「ミムラさん宛てに何か届きましたよ、置いときますね」

「あっ」



やばっ。Amazonで頼んだクリスマスプレゼントだった。

でも、のんちゃん。何も気付いてないみたいだから別にいいかな?



「ありがとう。観ないでそのままにしてくれないかな?」

「はーい!」



のんちゃんがある意味、馬鹿で助かった。そして、私って本当に馬鹿だなー。



投稿をもう少し早くできれば良かった……。

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