「ツンデレるみ子の事件簿」
(何にも無い・・・。何も無くなった。・・・まじどうすんの・・・。)
震える手が二枚の馬券を強く握り締めたまま・・・。
府中競馬場で俺は一人、震えていた。
(ボーナス70万全部つぎ込んでしまった。)
(俺は馬鹿だ」
(70万あったらなんでもできた・・・。欲しいものも買えたのに・・・)
(なんてことをしてしまったんだ・・)
(これは・・・あ!夢じゃない・・・現実??マジ・・か)
なんども自問自答して、自分を納得させる為にいいわけを考えている・・。
小鳥の鳴き声がこの胸に響きわたる・・。
「平等」って何?勝ち負け関係なく、小鳥たちは皆に鳴き声を聞かせてくれる。
「平和」って何?やはり勝ち負け関係なく、今日も平和だわ・・・だって俺以外、みんな笑顔なんですけど。
正気に戻るまで3秒、いや1分・・・わからないくらい震えていた・・・。
そんな俺をじっとみつめて彼女が言った。
「お客さん、お金を大事にしない人は天国にいけないよ」と・・・。
そして、「さて、帰りますか・・・電車賃はあるのかい?」
彼女は孫に優しくするおばあちゃんみたいな口調で俺に言った。
「・・・・」
「・・・あるのね?だったらOK!帰りまひょ!!」
「・・・・」
「さて、帰りますか」
さりげなく帰りたい素振りを見せながらそう言った。
「よっしゃ!」っと掛け声一発、俺のケツを蹴った。
(いてぇ!!)
2014年4月20日、人生ではじめて70万という大金を一晩で失った。
(彼女が強引に買ったせいで!!)
(彼女が・・・、いや、彼女になる予定の人が・・・強引に・・・)
小鳥って・・鳴き声・・。
小鳥たちは俺に美しく鳴いてくれた・・・。
俺の心も泣いた・・・。
はぁ・・・。