第4部
「……」
「大丈夫?まだ痛む?」
今乗合馬車にて移動中だ。俺が気を失っている間に、ソルト義姉さんはシュガー姉さんに丸め込まれたようで、気がついた俺に申し訳なさそうに謝った。
「胡椒君。大丈夫…?」
気がつくと、ソルト義姉さんが目の前にいた。
どうやら意識を失って床に転がっていた間中、側に居てくれていたようだ。
(あぁ、ソルト義姉さん優しい…!)
どこかの暴力姉さんとは大違いだ。
「どこが痛む?」
「…頭痛い」
シュガー姉さんの回し蹴りが直撃した場所が地味に痛む。
そう言うとちょっと待ってて、と台所に行った。
しばらく待つと氷枕を持ってきてくれた。
「ちょっと大きいけど、これで冷やすよ?」
そう言って頭を冷やしてくれた。冷たくて気持ちいい。
「ありがとソルト義姉さん」
「ううん、私こそごめんね?シュガーさんを止められなくて」
「ソルト義姉さんのせいじゃないよ。…ところで、その姉さんは?」
今気づいたけど、シュガー姉さんの姿が見当たらない。何だか嫌な予感がするんだけど…。
ソルト義姉さんは目を伏せて、少し言いよどんでから話してくれた。
「今、トマトン王国に行く準備しているの…。ごめんね胡椒君。止められなくて」
「…やっぱそうなるかー…」
こうなると、覚悟決めるしかないか。
俺とソルト義姉さんは同時に溜め息をついた。