第13話:偽りの歌声、あるいは王都のパクリ勇者
検問を突破し、王都へと足を踏み入れたショウとショーベル。 しかし、街の至る所から聞こえてくるのは、ショウがかつて日本で歌っていた大切なユニットの曲でした。 困惑するショウの前に現れたのは……。
石畳の道、立ち並ぶレンガ造りの家々。
王都シャイニールは、確かに活気に満ちていた。だが、俺の心はそれどころじゃない。
(……間違いない。これは俺たちのセカンドシングル『Shining Star』のイントロだ)
広場の方から聞こえてくる、聴き慣れたメロディ。だが、歌詞が違う。
元の曲は前向きなラブソングだったはずなのに、ここで流れているのは「魔族を討て」「神に祈れ」という、戦意を煽るような禍々しい歌詞に書き換えられていた。
「どうしたショウ、顔色が悪いぞ。この奇妙な音楽が気になるのか?」
「……これ、俺が向こうの世界で歌ってた曲なんです。誰が……一体誰がこんなことを」
俺たちは人だかりができている中央広場へと向かった。
そこには、豪華な装飾が施された特設ステージがあり、一人の男が歌っていた。
輝く金髪、完璧に整った顔立ち、そして背中には光り輝く聖剣。
彼こそが、光の神ルミナスが新たに召喚した勇者――権三郎。
「――さあ、民よ! 光の加護をその胸に! 我が歌声と共に、闇を切り裂くのだ!」
権三郎が歌い終えると、広場は割れんばかりの歓声に包まれた。
人々はトランス状態のように目を輝かせ、口々に「勇者様!」「ルミナス様!」と叫んでいる。
「……あいつ、俺のパートをあんな下手に歌いやがって……!」
俺の怒りはそこだった。
権三郎という男、顔はまあまあ。声も出ている。だが、歌に「魂」がない。勇者は光属性の者には例外なく好かれるという神の力を借りて、歌声に洗脳に近い魔力を乗せているだけだ。
「ショウ、落ち着け。あの勇者……鑑定するまでもないが、凄まじい光の魔力を纏っている。今の私たちが騒ぎを起こすのはまずいぞ」
ショーベルが俺の腕を掴んで制止する。
見れば、権三郎の横には教会の高官たちが並び、不敵な笑みを浮かべていた。
(神様。俺をステータス1で放り出して、代わりに俺の曲をパクる奴を勇者にしたのか? ……許せん!)
その時、ステージ上の権三郎と一瞬、目が合った気がした。
権三郎の瞳が、侮蔑を込めたように細められる。
「……あいつどこかで見たことがあるな……まあいい。次の曲は、我が故郷に伝わる聖歌『Burning Heart』だ!」
それ、サードシングルのカップリング曲だぞ!
俺は拳を握りしめた。
ステータス1の俺に、勇者の聖剣とやり合う力はない。
「聖剣……魔王の玉座の間にありましたよね?」
「あっちが本物だ。この勇者が持っているのは偽物だな。勇者の力は剣に受け継がれるから勇者の剣を持っていないあいつは弱いはずだ」
「勇者ではないということですか?」
「いや、本物の勇者だな。職業がショウの成人男性と違って勇者だ」
職業はどうでもいいとして、俺の曲を勝手に変な歌詞にして歌うことは我慢ならない。
「ショーベルさん、決めました。俺、あいつから『センター』を奪い返します」
「……せ、せんたー? 何を言っているのか分からぬが……ショウ、目がマジだな」
勇者権三郎。神に選ばれた偽アイドル。
俺の、異世界での「リベンジ・ライブ」への火が、静かに灯った。
第13話をお読みいただきありがとうございました!
ついに現れたライバル(?)、パクリ勇者レオン。 神によって「聖なる歌い手」として祭り上げられた彼に対し、最弱のショウはどう立ち向かうのか?
次回、お楽しみに。
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※AIとの共同執筆作品となります。




