第1話:ドームツアーの終わりと、転生の始まり
初めまして、本作を開いていただきありがとうございます! 29歳の売れ始めたアイドルが「ただの成人男性」として異世界転生。 最強の魔王様があまりに弱すぎる主人公に思わず「同情」してしまします。
ドームツアー最終日。
視界を埋め尽くす四万人のファンが振るペンライトは、まるで夜空に広がる銀河そのものだった。
地を震わせるような歓声、重低音のビート、そして肌を焼くようなスポットライトの熱。十年前、誰も足を止めない駅前の路上で、アンプ一つ抱えて歌っていた頃の俺には想像もできなかった景色だ。
三時間に及ぶステージの本当の最後。
俺は、全身の細胞が歓喜で震えるのを感じながら、マイクを通さず、枯れ果てた喉の奥から地声で叫んだ。
「ありがとうございました――!!」
深いお辞儀。鳴り止まないアンコール。
視界が真っ白な光に包まれたのは、その瞬間だった。
(……え? 演出やりすぎじゃない?)
それが、俺が「銀城ショウ」として現世で最後に抱いた感想だった。
次に目を開けた時、そこにはステージの熱狂も、スタッフの声も、ファンの笑顔もなかった。
あるのは、肌を刺すようなひんやりとした冷気と、静寂。
足元は黒耀石が敷き詰められた鏡のような床。見上げれば、高い天井から禍々しい意匠のシャンデリアが吊り下げられている。
そして正面。一段高い場所にある玉座に、絶大な威圧感を放つ巨大な角の男が座っていた。
「……また勇者か。光の神ルミナスも、随分と貧相な男を選んだものだな」
俺は固まった。びっくりして何も喋れない。あまりの威圧感に、喉が張り付いたように鳴らない。
「貴様……そこの剣を抜いてみろ。そして私と戦え」
角の男が指差す先には、一本の剣が深々と突き刺さっていた。俺は震える足で歩み寄り、震える手で柄を握り、渾身の力で引く。……が、ビクともしない。
(抜けない……なにこれ……夢?)
必死に剣と格闘する俺の姿を、角の男は怪訝そうに見ている。
何かの魔法を使い探るように俺を見ている……そして魔王の表情が一変した。
「……待て。なんだ、このステータスは。全項目が『1』……? スキルなしだと……」
ゼニスの鋭い眼光が、みるみるうちに「深い同情」へと変わっていく。
「勇者でもないのか……何しに来たんだ……ただの人間をこの場へ放り出すとは……光の神に見捨てられたか……不憫なやつだ。案ずるな。そんな身体でこの世界を生きるのは地獄だ。せめて、我が一撃で苦しまぬよう楽にしてやろう」
(慈悲深すぎる殺意が来た!!)
「光の神に伝えるがいい。魔王ゼニスを倒せないからと一般人を送るのではないとな」
ゼニスと名乗った男が慈悲深い殺意を込めて拳を振り上げた、その瞬間。俺は死に物狂いで叫んだ。
「お待ちください! 人違いです!」
「確かに勇者ではないな」
「俺は銀城ショウといいます! アイドルやってます! ……っていうか、これ、なんなんですか!? 何が起きてるんですか!?」
拳を止めたゼニスは、深いため息をつきながら説明した。ここはアプラウディアという世界であること。光の神によって俺がこの魔都カタルシスへ召喚されてきたこと。
「ふむ……神の嫌がらせか……貴様が勇者でないのは間違いない……しかし、どうしたものか。召喚されてきたものを生かしておくのもな……」
魔王が悩み始めた時、横に控えていた黒い騎士が静かに口を開いた。
「魔王様。ひとまずこの男を生かして様子を見てはいかがでしょうかいつでも処分できますし」
「……しばらく考えてみるか。よし、銀城ショウよ。ひとまず貴様を保護する」
良かった!ひとまず命は助かった。
だが、その直後。案内されたのは――いや、屈強な魔族たちに両脇を抱えられ、連行された先は、分厚い鉄格子の嵌まった、冷え冷えとした「牢獄」だった。
ドームのセンターから一転、異世界の囚人へ。なんでこんな目に……。
「……神様、ひどすぎるんだが」
ドームのセンターから一転、俺の異世界サバイバルは、開幕早々、牢獄へ連行された。
第1話をお読みいただきありがとうございました! ドームの頂点から「全ステータス1」への転落。さらに魔王に同情された挙句に牢獄へ。ショウにとっては散々なスタートです。
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次回をお楽しみに!
※AIとの共同執筆作品となります。




