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まんまるちっち令嬢は、呪いを解いて幸せになる

作者: とと

読んでいただきありがとうございます。

誤字脱字修正いつもありがとうございます。


我が伯爵家は、広い領地を有し畜産を基盤し、安定した産業を軸とし

それなりに裕福だ。

両親の仲は良く、順風満帆だった。

つい この間、父が失敗するまでは。


◇ ◇ ◇


その日私は、父に呼ばれ執務室を訪れた。

「お父様、ライラ 参りました」


「少し待ってくれ、今終わるから」


私はソファーに座り待つことにした。

座るとそこには、今話題の菓子店のフィナンシェ!


「お父様、このフィナンシェ!南のクヌ通りにできた菓子店のものでしょ!いただいてもいいですか?」


「そうなのか?私あてに届いたものだが、食べていいぞ」


いちど食べたいと思ってたのよね~。きれいなピンク色の包みを解き、私は小ぶりなフィナンシェを

口に入れた。


「うーん。 美味しい」


飲み込むと私の周りが白く輝いた。


バリバリと音を立てて私のドレスは背中からお尻まで大きく裂けた。


「ぎゃあああああああああ。手が腫れてる、なんで?」


「ライラどうした!おい誰だ?ライラなのか?セリ!セリ!  ライラが!」


父は、私を見て酷く驚き、母を呼びに行った。


私はドレスを抑え、執務室の奥にあるクローゼットの鏡を覗き込んだ。


「ぎゃああああああああああああぁ」

鏡に映った私は、倍くらい?いや3倍?まんまるに太った姿になっていた。


「お嬢様!」

「ライラ!」

母と私専属の侍女のリサがバンと扉を開き入ってた。二人とも口を開けたまま固まっている。

私は小さなフィナンシェ一つで、まるまると太ってしまった。


◇ ◇ ◇


結局のところ。。。。

父は先日の視察で、お酒だか、媚薬だか盛られ、過ちを犯した?ようだが

本人は、はっきり覚えておらず。起きてびっくり丁寧に謝罪をし帰宅した。


父はなかなかモテる人だ、年を取り渋めの美丈夫。

狙われることもあるが、母の鉄壁のブロックと元々の父のまじめさで

穏やかな暮らしだった、子供も4歳上の兄と私。


過ちを犯したお相手は、ブラウン伯爵家の未亡人。社交界ではいろいろと派手な噂を持つ方だ。

そんな夫人に惚れこまれ捕まり。

思いを拗らせた夫人から呪い付きフィナンシェを送られたようだ。


「奥様、添えられていた手紙には容姿などに惑わされない私を私にくれれば呪いを解きましょう。。。

 とあります」


「あなた!この方とはどう言うご関係?」


「や。。。。何もないはず」


「本当ですの?」

母の怒りで部屋の空気がビリビリと震えた。

「お母さま、怒りたいし泣きたいのは私もですわ!」


母からは右頬、私からは左頬に父に制裁が施され、とりあえず問題の解決を急ぐことにしたが

当のブラウン未亡人は音信不通。

呪術師を頼ってみるも、手紙の内容から真に愛する人と出会い思いあえればもしくはと言うが

すぐに呪いを解く方法はみつからなかった。


「もーどうしたらいいのおおおおおおおお」


◇ ◇ ◇


悩んでいてもしかたない。私は断食、運動、痩せると噂の果実を食べる!などなどありとあらゆる痩せる方法を試した。


「どんなに頑張っても痩せない!私は花も恥じらう17歳なのよ!もともと見た目だってややピンクブロンドのふわふわの髪と水色の瞳、スタイルだってそんなに悪くなかったはずよ!」

ひとしきり壁に向かって愚痴は言ってみたが、こうしていても事態は改善しない。

急激な体形の変化に着れるドレスもなかったし。1週間学院を休んでみたがもう仕方ない!明日から学院に行ってみようと心を決めた。


久しぶりの学院は、私だと気が付いてもらえず、説明すると友人たちは、慰めてくれたがなんだか少し距離を取られた。


替わりに、なぜだかぽっちゃりが大好きだという、エナガル侯爵家のオスカー様が私の周りをうろうろする様になった。

金髪のさらさらな長髪を後ろで結び、緑の瞳が素敵と他の女生徒には大人気のオスカー様だが私は少し苦手だ。がっちりしているほうがいい。


一人ぼっちでオスカー様から逃げ隠れする日々が始まり、裏庭で昼食をとるのに慣れ始めたころ、憩いの裏庭ので、男子生徒の数名が猫をいじめている!!!!

私は減量のため鍛えた脚力で全速力。

「ちょっとあなた達!なにしてるの!」


「なんだデブ令嬢か!あっちいってろ関係ないだろ」

「関係なくない!あなたたちこそあっちに行きなさいよ」

私は近くに落ちていた枝を握り構えた。


「なんだよ。猫ごときに。興がさめた。行こうぜ」


男子生徒たちは私の体型を笑いながら去っていった。


私は足元でぐったりしている黒猫を抱き上げた。

「大丈夫?どこからか迷い込んだの?痛いところは無い?」

猫の背をなでながら声をかけると黒猫は、薄っすら目を開けその金色の瞳で私を見たがすぐにまた目を閉じ、ぐったりと力が抜けた。


「大変!少し頑張って直ぐに獣医さんに診てもらうわ」

私は午後の授業を切り上げて急いで邸宅に帰った。


◇ ◇ ◇


黒猫は大きな外傷は無く、直ぐに元気になった。

私以外の人には懐かないので、私が面倒をみて、一緒に暮らしている。

学院でも独りぼっちだしちゅどいい話し相手だ。

減量のための運動にも付き合ってくれる。

私の丸く大きくなった肩に良く乗ってきてはふわふわの髪に顔を入れている。

私は彼をソルと名付けた。

ちょっと寂しかった毎日が、ソルのおかげで明るくなりそばにいるのが当たり前の存在になった。


「ソル。今日もいい子にしていてね。」

私は裏庭の一角にソルを置いて授業に向かった。


◇ ◇ ◇


ソル(カイセル・アンダーソン辺境伯) 視点


「漆黒の騎士団長様よ」


「私、初めてお目にかかるわ、素敵な方ね」

「あの金色の瞳。  吸い込まれそうね」


自然と僅かに眉間の皺がよった。この国では珍しいとされる黒色の髪に

金色の瞳、このおかげで小さなころから誘拐や誘惑で人嫌いとなり、特に女性が苦手になった。


「陛下に御眼にかかり早く戻ろう」


「はい。カイセル閣下」


私は国王陛下、に先日起きたトラブルの報告のため王宮を訪ねその足で王都のタウンハウスで数日過ごす予定でいた。

ようやくタウンハウスについて、自室のドアを開けた瞬間。甘い匂いに慌てて口鼻を塞いだが間に合わず気が付けば、黒猫の姿になっていた。


足音に振り替えるとメイド姿の女に捕まりそうになり慌てて距離を取る。


「まあカイセル様 逃げないでくださいまし」

「かわいいお姿ですね。私のこと受け入れてくれないからですのよ、私の愛を受け入れていただければ直ぐに元の姿に戻ることができますわ」

じりじりと距離を詰められる。


「大丈夫、本当に愛する私からキスを受ければいいだけです」


全身の毛が逆立った。

大体誰だお前は!(にゃー)

叫んだつもりが声になったのは猫の鳴き声だった。助けを呼ぶこともできない!

近づく女の手から逃れるため部屋の窓から外に飛び出した。


庭を抜け、隣接する国立学院の裏庭に逃げ込む。


「あれ~猫がいるぞ。それも黒猫だ‼」


「俺猫嫌いなんだよ」

学院の小僧どもに見つかり木に登り逃げようとしたところ投げられた石が耳の後ろに当たり捕まった。

何発か頭を殴られくらくらと視界がゆがんだその時。


「ちょっとあなた達!なにしてるの!」

視界の隅にイノシシのごとく走ってくる少女が見えた。少女は小僧どもを追い払い俺を抱き上げた。


「大丈夫?どこからか迷い込んだの?痛いところは無い?」

ちらりと目を開けるとマシュマロみたいなぷにぷにの頬が目に入ったがそこで意識が途絶えた。


次に気が付くとマシュマロほっぺの膝の上だった。彼女は献身的に俺の世話をしてくれた。

数日一緒に過ごすうちに、心優しく前向きな彼女に魅かれた。


彼女はライラというモレス伯爵家の娘だ、まんまるな姿は、どうも数か月前父親に贈られた呪いを代わりに受けたための様だ。

体型を戻すため毎日の努力を楽しくこなす彼女の笑顔にさらに魅せられた。


このまま猫の姿で人間に戻れないなら、彼女を守る騎士になろうと心に誓った。


◇ ◇ ◇


私は今日も裏庭で、ソルと二人で昼食を食べていた。

「ソル。今日のサーモン美味しいわよ。ソルに合わせてドレッシングはかけて無いから安心して食べてね」


(にゃぁ~)

ソルが私の手にすりすりと頭をこする。


「ようやく見つけたよ」


驚いて振り返るとオスカー様が取り巻きを一人携えて立っていた。


「こんなところで猫なんかとランチしてないで、僕と食べようよ」

そういってオスカー様は私の手首を掴んだ。

私はその手を慌てて振りほどき立ち上がった。


「すみません。オスカー様、びっくりしてしまって」


「驚かせてしまったんだね。大丈夫だよ。君みたいなまんまるを愛せるのは僕しかいない、さあこっちにおいで」


相手は二人だ、逃げきれないかも。一歩 後ずさった私の後ろから黒い影が飛び出した。


(シャーーーーーーー)

ソルが私とオスカー様の間に立ちはだかり、あっという間にオスカー様に飛び掛かった。

ソルの凄まじい攻撃にオスカー様も取り巻きも悲鳴を上げて逃げ出した。


「あはは」

その逃げる姿と威嚇するソルの姿に思わず笑ってしまった。


「ありがとう。助かったわ。 私の勇敢な騎士様」

私はソルを抱き上げ、ちゅっと鼻先にキスをした。


すると突然ソルが光だし、私もその光に包まれた。



「ライラ」

次の瞬間私は、ソルの色によく似た美男子に抱きしめられていた。

(んん~)

私は声にならない叫びをあげた。

「ライラ  私の愛しい人」


(んん~~)


「ソ  ソルなのですか?」

私の頭の中は大パニック、ようやく言葉を絞り出したが、見える自分の手が小さくなってる?

え!え!

ソルは黒いマントに金色の見事な刺繍が施された騎士服に身を包んでいるのに!

私はぶかぶかになった制服!抱きしめられている!私の顔は恥ずかしさで一気に赤く染まった。


ソルはマントを脱ぎそっと私を包みこみ、耳に顔を寄せた。

「この姿で会うのは初めてだねライラ。 私はアンダーソン辺境伯当主カイセル。呪いで猫の姿に変えられていたが、愛するライラの口づけで、呪いが解けた。」


改めて金色の瞳と目が合った。

んーびっくりするほどかっこいい!

カイセル様の手が私の頬に触れた。

「ライラ。こんなにスタイルが良かったんだね。あのマシュマロほっぺも捨てがたいが、きれいだ」


(きゃあああああああああああああ)

ソルと過ごした、あれやこれやいろんなこと!恥ずかしすぎる~~~。

私の声なき心の叫びとともに、漆黒の騎士団長様にとろとろに甘やかされる私の新しい生活が始まった。


















父は不貞はしていませんでした。

母のご機嫌取りに必死です。

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