邂逅
**4→5**
変な夢を見た。
埃臭い部屋にいる。何かを漁っている。
どこかで聞いた歌を口ずさんでいる。
この国に伝わる歌だった気もする。
何かを見つけ触れたとき、全ては終わっていた。
膨大に並んだ本棚の世界で、動くことが出来ない。
来てくれたのか、と声がする。
誰もいない広大な部屋に再び静寂が訪れる。
気づくと見渡す限りの本が壮観に棚に並べてある。
天井が無いように、叡智を並べた棚はひたすらに天に続く。
壁がないように、人類の記憶が遥か彼方まで続いている。
キミとはまた会いそうだ
その声を最後に目を覚ました。
「いたた…」
頭が痛い。腕や背中の関節も痛む。
計測器を当てると
「うわ、やっちゃった…」
熱が出ていた。
対抗戦1日目。阿琉斗は不参加となる。
離れていても感じる開戦の熱気。ここから三日間の戦いが始まる。
「せめて後衛でもいけたらなぁ」
と思うが、感染を鑑み、今日は欠席。
『病』を軽んじて滅びた国は数しれない。
父のヒヨに聞くと、戦時中に散々苦しめられた国が休戦中発生した病で滅びた、という歴史もあるそうだ。
「よし、寝よう」
ヒヨから届いた薬を水で流し、布団を被る。
眠りに落ちようとした瞬間に「あれ治験薬じゃないよな」とよぎるが、そのまま意識が途切れた。