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死神公爵に「おまえを愛することはない」と言われましたが、我が栄光のチルちゃん軍にお任せください!  作者: 雷雨
第2章 国王陛下と我が栄光のチルちゃん軍

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第40話 ローズの予言

次の日の朝の事だ。


「奥様。今朝はとても楽しそうですね」


大きなブラシで熱心に私の髪を梳かしていた侍女のローズが、ふと手を止め言ったのだ。


鏡台の前に座った私は、鏡越しにローズを見上げ、「ふふふ。分かる?」と聞いてみた。

たちまちローズは、澄んだ茶色の瞳を優しげに細めて頷いた。


「はい。分かります。先程からずっと微笑んでいらっしゃいますもの。昨夜はパイちゃんが夜中に大騒ぎをして、奥様の眠りの邪魔をしたと聞きましたので、心配していたのですが、お元気そうで良かったです」


「ふふふ。確かに昨日の夜、あの猫は大騒ぎしていたけれど、すぐ、終わったの。だからその後、たっぷり眠ったのよ」


私は、それだけ言うと、あとは何も余計な事を話さないように、きゅっと口を結んだのだ。


・・・。

昨夜の出来事を詳しくローズに話してはいけない。


話したいけれど、話してはいけない。


だって、昨夜の私は、ついに、とうとう、信じられないけれど、『憧れのあの人』のお言葉を言ってしまったのだ!

うふふ。


嬉しいし、ローズに自慢したいけれど、してはいけない。

『憧れのあの人』のお言葉集の中には、「おまえのツラ、マジ笑える」とか「滅びろ」とか、ローズに怒られそうな言葉が罠のように入っているのだ。


怒られなさそうなところだけを話そうとしても、つい口を滑らせてしまう可能性がある。

いいえ。可能性とかではなく、口を滑らせる自信がある。

マズイ。


それに、全ての魔法陣を消し去った後の事も、ローズに知られるとマズイ気がする。


昨夜、儚げに崩れ落ちたイブの前で、私は猫のパイと向かい合い、『はい終了はい解散』と合意して、さっさと部屋に帰ってしまったのだ。


あの時、人の良い護衛のケビンが「え、奥様?イブをあのままにしていいのですか?助け起こさなくても?え?奥様?」と言っていたのに、「大丈夫よ」と、振り返りもせず見捨ててきた。


イブなんかを心配する必要はないと思うけれど、崩れ落ちた人をそのままにして部屋に帰る事は、公爵家の奥様としては正しい行為だっただろうか?

ローズ的にはどう?

怒られる?


・・・・やはり黙っていた方がいい気がする。

私は危険な橋は渡らない奥様なのだ。


「奥様?急に難しい顔をしてどうされたのですか?」


ローズが可愛らしく小首を傾げながら問いかけてきた。


「なんでもないわ。昨夜みた夢を思い出していただけよ」


私は公爵家のご婦人らしい素晴らしい笑みを浮かべながら、誤魔化した。


「まあ、どのような夢でしたか?」


ローズは可愛らしく追求してくる。

この可愛らしい顔が、怒ると、ものすごく怖くなるのだ。

それだけは避けなくては!


本当はどのような夢も見ていないけれど、私は素早くローズ好みの可愛い夢を考えだした。


「白いうさぎに誘われて、月夜の草原で踊る夢よ。うさぎ以外にも可愛い動物が出てきた気がするのだけれど、リスだったかしら、子ギツネだったかしら。最後にはみんなで輪になって踊ったのよ」


私の嘘に、ローズは嬉しそうに微笑んだ。


「まあ。なんて素敵な夢でしょう。そのように素敵な夢を見た日には、きっと素敵な事が起こりますわ」


「まあ、そうなの?」


「はい。きっと。今日は奥様にとって素敵な日になりますよ」


ローズは自信たっぷりに予言めいた事を言った。


「チルチルチル!」


部屋のあちこちから、チルちゃん達の歓声が上がった。たぶん、ローズの予言になんだか嬉しくなったのだと思う。

指先の玉ちゃんも、浮かれたようにピカピカしている。

みんな喜んでいるけれど、夢なんて全部私の嘘なのだ。


「ローズがそう言ってくれると、今日は本当に素敵な事が起こりそうな気がするわ」


少し、ムズムズした心のまま誤魔化すように言ったのだけれど、ローズは澄んだ誠実な瞳で鏡越しに私を見つめ、


「はい。きっと起こりますよ」


と、断言した。


そうなの?

起こるの?

こうもきっぱり断言されると、なんだか本当に素敵な事が起こりそうな気がしてくる。


「チルチルチル!」


夢なんて全部私の嘘なのに、みんなが嬉しそうにするものだから、私も少しウキウキしてきた。


そして、ローズの予言は的中する事になるのだ。



久しぶりなので、今回少し短めで。

えーと、しばらく投稿してなかったけどどれくらいぶりでしたっけ?

今は7月で、前回の投稿は去年の12月ね。

半年以上経っちゃってたかー。そうかー。はっはっはっはっは。と、こんな時は、笑って誤魔化しながら去っていくタイプの人間ですよ。私は。

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― 新着の感想 ―
素敵なこと!なんだろ〜! 更新いつまでも待ってますよ〜!(^o^)
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