↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/58

(閑話) 娘からの手紙

主人公、美園ユリナの日本にいる家族の話です。

母親視点から書いています。

 ──夢を見た。


 通り魔に刺されて死んだ、可哀想な私の娘、ユリナの夢を。


 なんであの子があんな死に方をしなければいけなかったのか、今でもわからない。


 ただ、私達家族は、真面目に生きていた。


 家族経営のカフェをやって、何の犯罪も犯していない。

 普通の家庭だった。



 * * 


 ──泣きながら、目が冷めた。


 私は布団から出て、無意識に仏壇に向かった。

 そこには娘の写真が飾ってある。


 その写真の前に、急に現れた。

 手紙が……!


 ──何、これ!?


 私は震える手で封筒を手に取った。

 差出人の名前が、娘の名前で、宛先は家族宛て。


 つまり、母親である、私も読んでいい。



 私は居間に有るハサミを探して、恐る恐る封を開けた。


 私は……まだ夢を見ているのかしら。


 死んだ娘から手紙が来て、今は異世界にいるとか、幸せだから心配しないで、私達には明るく、前向きに生きて欲しいとか。


 先に死んでしまって、申し訳ないだとか。

 そんな内容が書かれていた。


 とても綺麗な……神様の寵愛を受けた天使のようなお嬢様にお仕えして、魔法の使える世界だから、奇跡を願って、一か八かで手紙を送ってみたらしい。


 こんなの荒唐無稽過ぎるのだけど、眼の前に突然手紙が現れたのだから、信じるしかない気がして来た。



 私は寝ている主人を起こして、寝室から居間に連れて行き、手紙を見せた。


「お前、自分でこんな手紙書いたんじゃないだろうな?」


 夫には私が自分で書いたのではと、疑われた。心外。


「そんな訳ないでしょ!」


 と、うっかり声を荒げていたら、息子が起きて来た。


「お父さん、お母さん、何の騒ぎ? 今、深夜二時、真夜中だよ」



 私は手紙を息子にも見せた。


「これは……姉ちゃんの字だよ」

「そうなの!? あんた分かるの!?」


「宿題とか、勉強教わった事あるし、読書感想文も姉ちゃんが俺の代わりに……いや、何でもない」


「ちょっと、あんた、宿題自分でやってなかったの?」

「そ、それは今、どうでも良くない? とっくに時効だよ、小学校卒業してるし、もう成人してる」


 ユリナの3つ下の弟の健司は慌ててそう言った。


「ユリナの使っていたノートでも探して、筆跡鑑定してみれば分かるかもしれんが」


 夫はもう一度、手紙を見てそう言った。

 息子の筆跡鑑定能力を疑っている。


「でもさ、姉ちゃんが銀髪の美少女王女様の体に入って、美少女に仕えてイケメンに囲まれて生活してるなんて、漫画か夢みたいだな」


 健司はへらりと笑って言った。

 確かに冗談みたいな内容だけど。


 その時、不意にザザッと、ノイズ音のようなものが聞こえたと思ったら、

 け、消したはずの……居間にあるテレビがついた!!



 家族全員、体が強張った。

 え!? 何これ? ホラー!?

   


 画面には、銀髪の美しいお姫様が映っていた。


 最初はリリアーナ、その後は自分は美園ユリナだとか周囲に言って、後にリナとか、呼ばれていた。


「手紙の……内容と同じじゃん……」



 息子も画面に釘付けになったまま、そう呟いた。


 そして、びっくりするような、黒髪眼鏡のイケメン騎士が、リナを慰めて、手紙を書くように勧めて、その後、天使のように綺麗なお嬢様と、一緒に祭壇に供えたではないか。


 これは、本当に奇跡が、起こっている。


 本当に届いているのだ、私達の手元に。


 これは神様の……温情だろうか。



 あの子の決断で、リリアーナ王女の国の完全なる滅亡は、回避された。

 と、言ってもいいだろう。


 あの子はそのために王女様の体に入って、新しい命と人生を得たと言うこと……なんだろうか?


「と、とにかく、今は、姉ちゃん、幸せなんだな?」



 ──ブツン。


 勝手についたテレビはまた急に消えた。


 でも既に、さっきまで胸にあった恐怖心は、不思議と消えた。


 私は娘の手紙をもう一度開いて読んだ。

 うっかり涙で手紙が滲んだ。


 でも、元から手紙の文字が滲んでいる箇所はあった。


 あの子があちらでこれ以上、私達を心配して泣かなくていいように、私も、もっと元気を出さないと。 

 そう思った。


「明日は、手作りのチーズケーキでも供えようかしら」

「そうだな」

「良いんじゃない?」



 ──その手作りのチーズケーキは、うちのカフェの人気メニューで、あの子の好物だったから。

真夜中更新なのにPV70はあったので驚いています。

夜更かし仲間!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 神様、、ありがとうです、、 。・゜・(´^`*)・゜・。爺やも嬉しいですぞ!! ウワァァ━━━━━。゜(゜´Д`゜)゜。━━━━━ン!!!!
[良い点] 神様がいて優しい物語の続きが読めて嬉しいです!! [一言] 届けチーズケーキ!
[一言] 供えられたチーズケーキは神様行きか、はたまた異世界の祭壇行きか……… 私的には神様がイタズラ心でリナが起きる時間の少し前に『口の中に転移』が良いドッキリになりそう(笑)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。