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【KIS§ICK】聖髪降霊の儀  作者: 平塚白鴉
9/13

// 死せる罪人の浄罪 //

ある貴族が町外れの教会に赴き、聖髪降霊の儀を執り行った。

傍らには読唇術士を従えている。

術者が懐紙に火を灯すと、ぼおっとみすぼらしい男が浮かび上がった。


「そろそろ妻から奪ったペンダントの場所を教えてもらおうか」

“嫌だね” と口元の動きを読み取り、読唇術士は言った。


“お前らは俺が捕らえ殺すだけでは飽き足ら

 ず、何をしたか覚えているか? 

腹を割いてはらわたをひきずり出し、

細かく刻んでくれたよな。知ってるんだぜ”


「いたしかたなかった。何処を探しても見つからず、

もしやおのれの腹に隠したのではと思ったからだ」


“そのお陰で俺は今でもはらわたをひきずって痛みに悶えている。

この恨み消えようか”


降霊の儀、術者は口を挟んだ。


「それはおのれの罪なり。

せめて苦悩を断ち切りたければ告白するが近道ぞ」

男の顔が歪んだ。そして俯き、言った。


“確かに死んでまでこんな苦しみはご免だ。

 はやく楽になりてぇ。教えれば本当に俺は楽になるのか?”


その言葉に、術者は大きく頷いた。


――後日ペンダントを手にした貴族は礼をもって教会へ赴いた。

「しかしてあの男は、その後楽になったろうか?」

それに対し、術者は答えた。


「さぁ。

 余罪が多かろう故、まだ苦しみの中かも」


華々しく戦果をあげる英雄の影に、作戦に従事する名もなき英雄もそこにはいる。次回は人知れず戦を勝利へ導いた者たちの物語。

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