// その武器の罪は //
戦争に欠かせない武器を作る職人。これはその一人の小さな物語である。
戦争が終わり、仕事が落ち着いた。
戦がなくなれば、武器の必要も減るからだ。
――そんな折、職場仲間が手紙を残して自殺をした。
国が歓喜に沸き立つ中、彼は自ら生み出した
武器が、敵国の兵であったとはいえ、たくさんの命を奪ったことを悔いていたのだ。
祖国の為に戦わねばならない。
しかし命を奪う手伝いをしている。
このジレンマが彼を苦しめていたのだ。
祭りの中で、我々の武器工房が表彰されることとなった。
国王より直接感謝状を渡される栄誉であった。
数ある工房の中から、より早く、より軽く、より敵を切断する、
効率的な剣を作っていたことが評価されたのだ。
俺は彼の髪の毛を収めた懐紙を持ち、街外れの教会へ行った。
術者が懐紙に火を灯す。青い火が彼をぼーっと浮かび上がらせた。
「そなたは己の仕事がたくさんの人の命を奪ったことを悔いただろうが、
それによりむしろたくさんの命が救われたのも事実である。
今日、我々は王より表彰された。もう命無き者にこういっても詮なきことだが、
この名誉だけは伝えておきたかった」
彼の表情は暗かった。
が、少し気が晴れたのか、顔をあげて俺を見て笑った。
次回は戦争で分かたれた新婚者の話。しばしお待ちを。