// 弱き者でも国の礎 //
息子は常に自分を責めていた。
「私のような弱き者が軍の、国の役に立とうか?」
兵が不足したこともあり、息子は軍に入り、訓練を受けることとなった。
しかし昔から体の弱かった彼は、やはり訓練に遅れを生じ、
前線で戦うに足る戦士とはなりえなかった。
そんな息子が配された隊は、特攻であった。
使い捨ての駒である。
それでも彼はこんな自分でも国の為になるならと、笑った。
そして散った。
散った息子はその後戦に勝利し、今祝賀の祭りが行われていることを知らない。
私はせめてそんな息子に、戦は勝利した。
お前の死は無駄ではなかったと伝えたかった。
聖髪降霊の儀――。
特攻の小隊長に頼み、共に外れの教会へ赴いた。
長い列の末、ようやく儀が始まる。
術者が懐紙の毛髪に火を灯すと、青い火が立ち上った。
そして息子の姿がぼうと浮かんだ。
涙が溢れた。言葉が出なかった。
そんな私の代わりに、小隊長は訥々と語ってくれた。
「お前は立派な戦士だった。お陰で国は勝利した。
お前の死は無駄では無い。今、この国の礎となったのだ」
息子は何かを語ったようだった。
しかし声は届かなかった。
影が消える前、息子は確かに嬉しそうに笑った。
私は残像を見て、さらに涙が溢れた。