表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【KIS§ICK】聖髪降霊の儀  作者: 平塚白鴉
3/13

// 戦争が分かつ、父と子 //

子供が生まれ、じきに戦争は終わった。


この子の父親はこの戦争で、命を落とした。

夫の死は戦争にとって、ほんの小さなものであったろう。

しかし、その死の積み重ねが、勝利につながったのもまた事実だ。


私はそんな夫に誇りを持っている。

この子も男の子として生まれてきた。

勝利で国はお祭り騒ぎだけれど、私はひと目この子に父親を見せてあげたい。

そして、夫に息子を見せてあげたい。


―― 懐紙に収めた夫の遺髪を、大切に胸に仕舞い、

私は街外れの教会へ向かった。

長い列ができているが、みんな私のような気持ちなのだろうか。


私の番になった。

髪の毛を預けると、術者は儀式をはじめる。

青い炎が上がると、そこへ夫の影が揺らめいた。


半信半疑だったが、本当に夫だ。


「あなた。この子があなたの子よ。見守っててね。

きっとあなたのような勇敢な戦士になるわ」


涙で言葉にならなかったが、きっと気持ちは通じただろう。

夫の影も涙しているようだった。

声は聞えなかったが、

「強く育ててくれ」そう言われた気がした。


炎が燃え尽きると、夫の影は闇に融けて消えた――


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ