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// 犠牲。それから、//
敵が攻めてきた。
このままでは敵の軍勢に呑まれて死んでしまうだろう。
俺は親友のいる小隊へ、近くの小屋に隠れ、
敵が来たら後ろから襲うように言った。
前後から挟み撃ちにして壊滅させる、と説明したのは建前だ。
もしも彼らが襲い掛かり敵の返り討ちに遭えばその分時間を稼げる。
つまり犠牲にしろという隊長の命令を享けてのことだったのだ。
しかし逃げた私たちは敵の待ち伏せに遭い、一人残らず死んだ。
意識は途絶え、気がついたら暗い部屋にいた。
術者が祭壇の前でまじないを唱え、その後ろには友人がいた。
……これは、聖髪降霊の儀。
俺は、呼び出されたのか……
「あの時はありがとう。お前のおかげで俺は一命を取りとめた。
でも、俺はお前に謝らねばならん。
追撃する命だったが、俺たちは太刀打ちできぬと判断し、
逃げてしまった。ゆるしてくれ」
俺は必死で口を開き言葉をかけようとした。
謝るのはこっちの方だ、お前が生きていたのを知って、俺は嬉しい……
しかし、言葉は出なかった。
やがて、髪の毛は燃え尽き、俺は闇へと還った。
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