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雪、いのち~放置す~
あ……。
見なかったことにしよう。
道路の上に在ったのは服じゃなくて、一匹の黒い猫だった。刺激が強く、気持ち悪い。眼球は飛び出て、腹から肉が出て、血は無けれど惨たらしい。車にはねられ、誰にも寄られず、虫を集める。自分のペットではないことで、知らぬ振りをした。放置について、思うことはある。痛ましく、忘れることが難しい。今も残されたままかなって、気になった。僕がこの手で埋めてあげなくなったのは。僕が優しさを失くしたから。
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