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レディアント・ロード1st season   作者: hygirl
戦撃絶真編
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九七話 戦動


「ありえない……!!」


シオンに殴られた美角は驚きを隠せていなかった。

女嫌い、その情報を持っていたであろう美角はそれを当てにしてシオンに挑んだのだろう。


が、それは外れてシオンは彼女に攻撃し、やる気に満ちていた。


「ありえない?

何がだ?」


「アナタは女嫌いで女を前にすれば冷静さを……」


「今まで失っていた。

けど、これからは同じとは限らない!!」


シオンは纏う雷を大きくすると美角に攻撃しようとするが、先ほど蹴り飛ばしたはずの仮面の男がそれを邪魔するように攻撃を仕掛けてくる。


「コイツ……」


「我は騎角。

先程はいい蹴りだったが、無意味だ」


「そうかよ!!」


シオンは右脚に雷を集中させると騎角と名乗る仮面の男に蹴りを食らわせようとするが、騎角はそれを避けると美角と共に離れてしまう。


「ちっ!!」


「落ち着け」

シオンのもとに駆け付けたイクトは騎角を見ながら提案する。


「あの仮面のやつの相手頼めるなら女はオレがやってもいいぞ?」


「馬鹿言うな。

女も仮面の方もオレがやる」


シオンは意気込むが、イクトはため息をつくとシオンに告げた。

「落ち着け、これで最後。三回目は言わないぞ?

相手がオマエのことを甘く見て終わると思うか?」


イクトの言葉にシオンは少し冷静になると、首を横に振り、イクトに言った。


「……いいや。

オレがこうして克服してることも想定してるだろうな」


「ああ、だから冷静に対処しよう」


「……だが、女の方はオレが潰す」


「オッケー、なら仮面の方は任せろ」


イクトは大鎌を構えると騎角に向かって走っていく。


そしてシオンも深呼吸すると美角を見た。

美角は槍を構え、シオンと戦う姿勢を見せる。


「何があったかは知らないけど、アナタを倒すことに変わりないわ」


「言ってろ、オマエじゃ勝てない」


黙りなさい、と美角は魔力を纏うと槍で突こうと攻撃してくるが、シオンはそれを避けると殴りかかる。


が、シオンの拳が美角に触れると同時に美角の体が泡となってしまう。


「な……」

「これが私の能力」

シオンの背後に泡が集まっていき、それは美角へと変化する。


シオンはすかさず蹴りを放つが、またしても泡となって美角は攻撃を避ける。


「コイツ……」

「私の能力は「泡」。

この体を自在に泡へ変えて、攻撃や防御に転用できる」


「だったら!!」

シオンは雷を全身に纏い直すと殴りかかるが、美角はそれを槍で防ぐと右手から泡を放ち、シオンを遠くへと押し返す。


「この……!!」


「無駄よ。

いくら攻撃に優れた力でもこの自在の力には通じない」


「……なめんな!!」

シオンは周囲に雷を放出すると泡を次々に破壊し、美角へと雷の槍を放つ。


が、美角はそれを魔力で生成した盾で防ぐと同時に槍の攻撃射程から逃れて泡を放つ。


美角のはなった泡に触れぬように避けるシオンだが、泡は地面に触れて割れると爆発を起こす。


「な……」


「言ったわよ、自在の力って!!」


美角が指を鳴らすとシオンの周囲に無数の泡が現れ、シオンに向けて動き始める。


(またあの爆発する泡か!!)

「……雷鳴王!!」


シオンは雷と同化すると、全身から雷を放出しながら姿を変える。


体の一部が部分的に雷に変化し、髪は少し長くなっていた。


が、美角は驚く様子もなく、泡を放ち続けていた。


「残念だけど知ってるのよ。

その技は!!」


「そうかよ!!」

シオンは爆音轟かせて消え、周囲を取り囲む泡が弾けて消えていく。


そしてシオンは美角の背後に現れると勢いよく殴りかかるが、美角の体は泡となり、シオンの拳が触れた泡が大きな爆発を起こす。


「!!」

泡の爆発に連鎖するように次々に他の泡も爆発し、シオンはそれに飲まれてしまう。


「シオン!!」

爆風によりシオンの安否が確認できない。

イクトと真助はシオンを心配して加勢しようと試みるが、互いに相手する角王に阻まれて加勢に行けずにいた。


「くそ……!!」


「残念ながらアナタたちの仲間は倒されたわ。

次は……」


「誰が倒れたって?」


爆風が一気に晴れ、その中から無傷のシオンが姿を現し、ただ美角を睨んでいた。


その一方で美角はなぜシオンが無傷なのかと驚き、そして困惑していた。


「ど、どういうこと!?

アナタの行動から計算して泡の爆発攻撃を仕掛けたのに……」


「だろうな。

アンタの行動から予測できたからな」


「予測ですって?」


「ああ。

アンタはあえてオレが雷鳴王を発動せざるを得ない状況を作ろうとした。

そして周囲を取り込むことでオレがアンタを仕留めるために一撃を近距離で放つと考えていた、だろ?」


「ど、どういうこと!?

なんでわかったのよ!!」


「なんで?

自分で考えてみろ!!」


シオンは姿を消すと、美角を殴り、さらに蹴りを食らわせる。


動揺して泡となって避ける余裕のなかった美角をそれらをすべて受けてしまい、さらにシオンはそこへ雷を纏った拳で攻撃を放つ。


「ぐっ!!」


「オマエらが考えるほどオレは弱くない!!

オレは強くなってるんだよ!!」


シオンは美角を蹴り上げると全身の雷をさらに大きくし、左右の拳に纏わせる。


「そのためにオレは努力した!!」


シオンは轟音を周囲に響かせると蹴り上げた美角に向かっていくように跳び、拳を突きつける。


「爆ぜろ、雷撃!!

轟雷絶衝拳!!」


突きつけた拳より解き放たれた雷撃が美角に襲いかかり、美角に命中した雷撃は炸裂して彼女を吹き飛ばす。


「きゃああああ!!」


「他愛もない……」


そうだな、と真助がシオンの方に向かって自身が相手をしていた男を蹴り飛ばす。


「な……」


「仕上げるから手伝え」


「……しゃあねえな!!」


シオンが雷を纏うと、真助がこちらに向かって走ってくる。

その真助も黒い雷を身に纏っており、二人は互いに目で合図を送ると雷を纏った拳で敵の男を殴る。


「「オラァ!!」」

二つの雷を纏った拳を受けた男は勢いよく吹き飛び、そのまま気絶してしまう。


「……大した事ねえな」


「ぎゃあああああ!!」


どこからともなく悲鳴が聞こえてくる。

二人が悲鳴のした方を見ると、その先でイクトが無数の影の腕で騎角と呼ばれた男を拘束し、大鎌でとどめを刺していたのだ。


「呆気ないねえ」


イクトはため息をつくと影の腕で敵を投げ捨て、シオンと真助のもとへと向かおうとした。


「これが角王とは到底思えない。

せいぜい噛ませ犬だ」


そうか、とイクトの背後に獅角が音もなく現れるとイクトを殴り飛ばしてしまう。


殴り飛ばされたイクトは何とかして体勢を立て直すが、獅角は三人に向けてただならぬ殺気を放っていた。


「彼らはまだ任命されて日が浅かっただけ。

貴様らには角王としての真価を見せてやる」


「へえ、口だけは達者だねえ」


感心するイクトは立ち上がると大鎌を構え、シオンと真助も構えた。


「アイツはオレが潰す」


「いいやシオン。

オレが潰す」


「どっちでもいいよ。

何ならオレも入れて三人で競争するか?」


「それでいい」


「……だな」

三人は獅角に狙いを定めると一斉に走り出す。


「「いくぞ!!」」


シオンと真助が走り出し、イクトはまず影の腕で獅角の動きを止めようとした。


が、獅角は魔力を纏わせた拳でその影の腕を破壊していき、そして迫ってくるシオンと真助に殴りかかる。


「これで止められると思ったのか?」


獅角の攻撃を避けるシオンと、イクトから渡された刀で防ぐ真助。


が、刀で防いだ真助は少し押し返され、刀は一撃を受けて砕けてしまう。


「ボロイ刀だな!!」


「おい、文句言うなよ!!」


「無駄口とは余裕だな」


獅角は右手に獅子の頭部を模した魔力を纏わせると、それをイクトたちに向けて放つ。


「レグルス・バレット」


獅角の放った一撃、獅子の頭部の形の魔力がイクトたちに迫っていくが、彼らは落ち着いていた。


「なあ、どうする?」


真助がイクトに相談すると、イクトは面倒くさそうに答えようとした。


「まあ、オレの影で……」

オレがやる、とシオンが前に出ると右手の拳を強く握る。


そして深呼吸したシオンは獅角の放った一撃に殴りかかる。


「オラァ!!」

シオンの拳と獅角の一撃である魔力の獅子の頭部。

それらがぶつかることで強い衝撃が生じるが、シオンの拳が勝ったのか獅角の一撃が消滅してしまう。


「ほぅ……」

思わぬ結果に獅角も少し驚いたような反応を見せるが、顔色は変わっていない。


それどころか余裕は崩れていない。


「まさか前回苦戦した技を超えるとはな」


「安心しろ……もうオレは過去に戦ったオマエよりははるかに強い」


「ずいぶん大きく出たものだ……」


事実だ、とシオンが一瞬で獅角の眼前に現れる。


いつの間にここまで来たのか、それに気を取られた獅角は反応が遅れてしまい、シオンが次に放った一撃を避けれなかった。


「だあ!!」


至近距離から雷撃が放たれ、さらにシオンの拳は獅角の顔面に叩きつけられる。


「!!」


顔に一撃を受けたことで獅角の意識は一瞬だが薄れ、それにより隙が生じ、シオンは連撃を食らわせ、真助とイクトも追撃の攻撃を獅角に放つ。


「「はあっ!!」」

そして三人が同時に蹴りを放ち、獅角は蹴り飛ばされてしまう。


「!!」


獅角は大きく吹き飛ぶが、すぐに立ち上がると構えた。


「貴様ら……」

(明らかに強くなっている。

以前の戦闘から長い月日が経っていないのにここまで強くなっている……。

何を……)


「どうやら、オマエも知らないらしいな」


すると真助が獅角に向けて語り始めた。


「なんでオレとシオンがこの短期間で強くなれたのか。

それは別に過酷な訓練を受けたからじゃない。

オレたちにしかできないことだからだ」


「何を……」


「なぜ「月閃一族」は戦闘種族として知られるのか?

それはオマエたちの知らない力を宿しているからだ」


「力?

まさか二つ目の能力か?」


「いいや、これは一族だからこそ持つ血の力。

「戦血」……戦うたびにその戦闘での経験が力に変わり、限界を大きく超えさせる力。

オレとシオンはこの力を利用してここまで強くなった」




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