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レディアント・ロード1st season   作者: hygirl
天醒乱舞編・双王撃終
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六六九話 紡がれた奇跡


 ヒロムの放った一撃、それが命中して葛城は倒される。

倒された葛城は地上に落下すると倒れ、倒れた葛城は地に伏したままヒロムを睨む。

 

 が、ヒロムは白銀の稲妻の大剣を消すと葛城に背を向ける。

 

「……待て……!!

これで終わりだと思っているのか……!!」

 

「終わりだよ。

オマエらはここで終わる」

 

「……ギルドが……我々がこれまで務めて果たしてきた責務が積み上げてきたものが……簡単に壊れるとでも……?」

 

「……くどいな、オマエ。

オマエは最初からそれを理解した上でオレを潰そうとしたんだろ?それなのに今更何言ってんだよ」

 

「我々にはまだ……」

 

「そもそも、こんだけの人間を敵に回すようなことして、誰がオマエらを守るんだよ」

 

「うるさい……我々は……」

 

 ヒロムの言葉、それを受けた葛城が反論しようとするとパトカーが数台走ってき、パトカーが止まると警察官が何人も出てきて葛城や兵士たちを包囲する。

 

「ギルドの葛城だな?

キミとその部下全員に逮捕状が出された」

 

「な、に……?」

 

「民間人への攻撃および持ち出し禁止の兵器の無断の持ち出しとそれによる民間人を負傷させた罪だ。

詳しい話を聞くことは無いかもしれないが、とにかく今は警察本部に連行する」

 

「バカなことを……!!

我々ギルドが何故警察なんかに……」

 

「葛城、貴方の行動が原因で先程政府はギルドの完全解体を議会にて承認、当面の間は警察が対能力者対策を行う方針になったんだ」

 

「な……ギルドが……解体!?」

 

「とにかく貴方たちはこの騒動の容疑者として連行する!!」

 

 兵士たちと葛城を連行しようとする警察官たち。ヒロムたちが完膚なきまでに倒した兵士は抵抗する力もなくパトカーに運ばれるが、葛城は無駄だと言うのに必死に抵抗していた。

 

「離せ!!離せ!!我々は……我々はぁぁあ!!」

 

 抵抗する葛城を無理やりパトカーに乗せる警察官たち。その中の一人がヒロムに駆け寄ると敬礼し、楽になると警察官はヒロムに伝えた。

 

「姫神ヒロムさんらアナタへの伝言を警視総監よりお預かりしております」

 

「警視総監から?」

 

「はい、後日改めてで宜しいので警察本部まで来て欲しいとのことです。

あっ、今回の葛城とその一派については無関係ですので気を楽にしてください」

 

「一ついいか?

ギルドの完全解体、それが急に決まったのは何でなんだ?」

 

「それについての詳細は我々も分かりませんが、おそらく警視総監はそれについてもお話されるかと思います」

 

「そうか……」

 

「では、失礼します」

 

 警察官は再度ヒロムに敬礼するとパトカーに戻っていき、今回の騒ぎの容疑者たる葛城たちを乗せたパトカーはこの場から去ってしまう。

 

 終わった、ヒロムがそう安心していると周囲から拍手が広がる。

 

ヒロムが振り向くと民間人がヒロムを称賛するように拍手を送っていた。

 

「姫神ヒロム、アンタのおかげでみんなが救われた!!

 

「これからも頼むぞ!!」

 

「前の時はひどいこと言って悪かった!!」

 

 次々に飛んでくる言葉に恥ずかしさを感じるヒロムは軽く会釈をすると去るように歩き出し、彼が歩き出すとユリナは彼に駆け寄っていく。

 

「ヒロムくん!!」

 

「ユリナ、悪いな。

心配かけたな」

 

「ううん、私はいいの。

それより……」

 

「ああ、色々心配かけたけどこうしてフレイたちは戻ってきたよ」

 

「うん、よかった。

私、すごく心配で……」

 

 ごめんな、とヒロムはユリナに謝ると彼女に手を差し伸べる。

 

 手を差し伸べられたユリナが不思議そうにしているとヒロムは手を下ろし、そしてまた謝罪する。

 

「……さっきは悪かった。

せっかくオレに手を差し出してくれたのに逃げるような真似をして」

 

「えっ!?き、気にしないで!!

私にできることはあれくらいだから……」

 

「……でもユリナはいつもそうしてオレを助けてくれる。

オレはそんなユリナに助けられてばかりだ。

いつか……いつかはちゃんとお礼しなくちゃならねぇと思ってる」

 

「ヒロムくん……」

 

「……お二人さん、少しいいか?」

 

 ヒロムの言葉にユリナが頬を赤くしているといつからいたのか分からないガイがヒロムとユリナに話しかけ、声をかけられたユリナが驚くとガイはどこか安心したような顔でヒロムを見る。

 

「……戻ったんだな」

 

「おかげさまでな。

悪かったな、無様な姿を見せて」

 

「いいさ。

おかげでヒロムの心の弱さを知れたし、元に戻ったのならヒロムより強くなるべく特訓に励むだけだ」

 

「ったく、妙なところでやる気になりやがる」

 

「それは今に始まったことじゃないからな」


 ガイのやる気にヒロムが呆れているとソラがやって来てガイのやる気について言い、続けてヒロムに伝えた。

 

「やっと戻ったようで一安心だ。

あんまりウジウジされてたんじゃ殴りたくなってたかもしれないからな」

 

「……そう言いながらスキさえあれば殴ってたろ?」

 

「まぁな。

けど、オマエなら戻るって分かってたからな」

 

 ヒロムが戻ったことにガイとソラは形は違えど嬉しさを口にし、こうして戻れたことにヒロムもどこか安心していた。

 

そんな中、ユリナはふと気になった事をヒロムに質問した。

 

「ねぇ、ヒロムくん。

フレイたちは……どうやって戻ってきたの?」

 

「あ、ああ……そういやさっきのヤツに邪魔されて聞きそびれてたな」

 

「お話しましょうか?」

 

 ユリナが疑問に抱く点についてヒロムもハッキリせぬままだったことに気づき、そんなヒロムに代わってフレイが説明していく。

 

「私たちはマスターとともに十神アルトを倒すために白銀のブレスレットの霊装を完成させようと精神世界に向かい、そこでその霊装の力を司る精神体「レディアント」の試練を受け、マスターはその試練をクリアして霊装を完成させました。

おそらくここから先の結果と代償はご存知ですよね?」

 

「ああ、オレはもちろん知ってるよ」 

 

「オレたちもな。

おかげでヒロムが苦しんでたんだしな」

 

「……そうですよね。マスターが絶望された理由は霊装の完成と共に私たち四十二人の精霊が一度リセットされて十四の霊装として組み直され、組み直された後で私たちはマスターのこれまでの事など何も知らない精霊として時間をかけて生まれ変わって現界するはずでした」

 

「失ったものは帰ってこない。ヒロムが苦しむ中で口にしていたのはそういう事だったのか」

 

「だがオマエらはヒロムの記憶を失わずに戻っている。

それは何故だ?」

 

「……「レディアント」が私たちを助けたのです。

私たちが十四の霊装にされる直前に真に霊装を持つべき精霊十四人を助けると力を解放された真の霊装を託してくれたのです」

 

「二十八人の残された精霊は残念ながら救えなかったのだけど、彼女たちは私たちの持つ霊装の中で力の一部となると同時にマスターの心の中で生きているわ。

そして「レディアント」は私たち十四人を助けると自らを犠牲にしてマスターの霊装の完全完成による悲劇を終わらせた。ただ、私たち自身その悲劇の影響を受けていたせいでマスターのもとへ現界する力が無かったの。だからその力を取り戻すことに専念して、こうして戻ったのよ」


「……そうか」

 

 フレイとラミアから全てを聞かされたヒロムは安心したような表情を見せ、そして自身の付ける霊装を見ながら彼女たちに伝えた。

 

「当たり前が無くなることの恐怖は想像を絶した。

あんな悲しみと苦しみは二度とゴメンだ。だから……だからこそオレは当たり前を当たり前で終わらせない。

これからはこれまで以上にオマエたちの手を掴む。オレたちが共に歩むためにな」

 

「もちろんです、マスター」

 

「むしろ次こうなったらマスターも道ずれにするわ」

 

「……そのつもりだ。

オマエたちを失わなくて済むならオレはそれも大歓迎だよ」

 

 フレイとラミアに想いを伝え、ヒロムの想いを伝えられた二人も想いを伝える。

これまで以上に人と精霊としての繋がりが強くなったヒロムたち、それを再認識したヒロムはガイとソラの方を見ると彼らに警視総監から招集されていることを伝えた。

 

「どうやら警視総監ってのがオレをお呼びらしい。

オレは明日朝から出向く」

 

「警視総監から?」

 

「つうことはいよいよ本格的に動くようだな」

 

「本格的に?」

 

「……センチネル・ガーディアン、政府と警察が国を守るために「十家」や「ギルド」に代わる武力行使を許された防衛手段だ」

 

「センチネル……ガーディアン……」

 

 センチネル・ガーディアン、精霊を失ったことで絶望している間に大きな事が動こうとしていた。

そして、ヒロムが警視総監に呼ばれるということは……

 

「察しがいいならわかってると思うけど……ヒロム、カズキはセンチネル・ガーディアンにオマエを任命するつもりだ」

 


 

 

******

 

 ヒロムが力を取り戻した。

 

その様子を遠く離れたビルの屋上から見ている者がいた。

 

 黒い髪に金色のメッシュの入った髪、黒いコートに身を包んだ冷たい目を持つ青年……ノーザン・ジャックと赤い髪に翼を思わせる紅い装飾の施された黒いコートを纏う青年・リュクスだ。

 

「世界王府」の二人はヒロムの復活をその目でハッキリと確認していた。

 

「……姫神ヒロムは再起したか」

 

「困るな……。

ただでさえ十神アルトを倒されて日本の権力に干渉できなくなったのに……アイツが生きてると困るんだよな」

 

「……あの雑魚を向かわせたのはオマエか?」


「まぁね。どうせ消すなら利用できるものが生きてる間の方がいいだろ?

ヴィランも力を失った姫神ヒロムに興味は無さそうだったし」

 

 それに、とリュクスは手に持つ何か球体状の装置を見ながらノーザン・ジャックに伝えた。

 

「世界崩壊のピースは揃いつつある。

「四条」の軍事力によるデバイスシステムを用済みのゴミたちが完成させ、十神アルトは人為的に能力を生み出し育てる術をその身で完成させた。

その全てが詰まったこの装置が「世界王府」の手にあるかぎり、オレたちは止められない」

 

「ゴミ、か。

貴様が利用して価値が無くなればそう呼ばれるか」

 

「実際もういらないからね。

後始末も済ませたし、思い残すこともないよ」

 

「……それもそうだな。

ならいくぞ、次のピースを集めにな」

 

 ノーザン・ジャックとリュクスは何か大きな陰謀が動くかのような話をするとこの場から消える。

 

 二人が消えた場所……そこには血だらけの鎧を纏った死体がいくつも倒れていた。

 

 その死体……かつてヒロムたちを襲いしテロリストとして扱われていた「カリギュラ」のヘヴンやバローネたちだった。

 

 何故ヒロムを苦しめた者たちが死体となっている?リュクスたちは何を企んでいる?ヒロムが精霊を取り戻した裏では誰も予測できない陰謀が動いていた……

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