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レディアント・ロード1st season   作者: hygirl
天醒乱舞編・双王撃終
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六五八話 先読みVS後出し


 ゼロの「ディヴァイン・レイジング」、その力を借りて得た力を纏うヒロムの先読みにより未来輪廻によら後出しを得意とする青年との戦いは互角に近い戦いを繰り広げていた。

 

 その戦いの様子を見るゼロはヒロムの戦う姿に感心させられていた。

 

「さすがだな、ヒロム。

その不完全な即席の姿の戦い方を本能的に導き出し、その上でヤツの未来輪廻を攻略する術を見つけたか」

(だがそれでも実力の差は開いたままだ。ヤツの攻撃を回避しながら攻撃に転じる戦法は間違いではないが未来輪廻の前ではダメージという概念はない。ヒロムもそこを理解してるはずだから……)

 

「ゼロ、少しいいかしら?」

 

 ヒロムの戦い方を見る中で未来輪廻の力を如何に攻略するかが重要になると考えるゼロにラミアは声をかけ、声をかけられたゼロが反応するとラミアは質問をした。

 

「マスターはアンタとの力でアイツの未来輪廻をどうにかしてるみたいだけど、このまま勝ち目はあるの?」

 

「未来輪廻があるかぎりはない。

実際のところヒロムはこうしている間も体力を消耗してる一方で未来輪廻に対しての先読みと即席のあの「クロス・リンク」の不安定な状態の維持で集中状態にある。

長期戦になればヒロムは不利、今の流れにあるヒロムに何かしらの不確定要素が入って流れが止まればそこで終わる」

 

「アンタが「ディヴァイン・レイジング」発動させて加勢するって手は無いわけ?

私やフレイ、ティアーユはともかくアンタの力ならあそこに介入するくらい……」

 

「介入するのは簡単だ。

だが問題は介入したところで何も出来ないことだ」


「どういう意味よ?」

 

「得意分野が違いすぎるんだよ。

オマエら三人で例えるならそれぞれの得意分野としてフレイは大剣による一撃特化、ラミアは刀と体術による連撃、ティアーユはライフルによる支援及び手数の多さが挙げられる。

それと同じように言えばオレは敵を力で捩じ伏せて倒すのが得意だ」

 

「そのお得意の力で倒せばいいじゃない?」

 

「……ヤツの得意分野はおそらく未来輪廻を利用した変則戦闘。一方のヒロムは集中状態での繊細な先読みと精霊の力を巧みに操ることによるアドバンテージの確保だ。

だが現段階でヒロムは精霊の力を使役することは不可能なため残された手は先読みだけ。その先読みに全集中するためにオレの「ディヴァイン・レイジング」の力を借りてあの「クロス・リンク」を完成させてカバーしてるわけだが……おそらく今のヒロムには自分の動きとヤツの動きを読むので手一杯だ。

そこに先読みすら出来ないオレが介入してしまえばヒロムの先読みの対象が一人増える上に先読み出来ないオレがヤツに狙われたら時間稼ぎされてヒロムの「クロス・リンク」が解けてしまう」


「じゃあ……」

 

 何も出来ない、とゼロはラミアに向けて単刀直入に言うと続けて今のヒロムの状態についてラミアやフレイたちに話していく。

 

「あの「クロス・リンク」はヒロムのこれまでの戦闘経験と精霊の力の使役にオレの「ディヴァイン・レイジング」の戦う度に成長と進化を続けるその力を重ねている。

出力自体はおそらく「ディヴァイン・レイジング」の出力にヒロムの霊装の稲妻を重ね合わせてるからパワー不足ってことはまず無いだろうが問題は成長と進化を続けた結果だ。

ヒロムの「クロス・リンク」はこれまで一定の出力で制御されていたのがほとんどで、「アンリミテッド・クロス・リンク」のような不安定要素の多い状態でないかぎりは急激な力の変化はなかった」

 

「まさか……」

 

「マスターはアナタの「ディヴァイン・レイジング」の成長と進化を続ける力に耐えられなくなると言うのですか?」

 

「……あくまで可能性の話だフレイ。

ヒロム自身がどこまでそれを把握してるかはもはや知りようがないが、激しい戦闘での急激な変化は人の肉体だけでなく精神すら摩耗させる。

いくらヒロムでも……耐えられないかもしれないな」

 

「そんな……」

 

「……仮説の話をするのはやめだ。

それより、オマエらは霊装の力を宿す武器を構えたままにしておけ」

 

 突然のゼロの指示、その意味が分からないフレイたちは三人で顔を見合わせてしまうが、彼が言うからには何か意味があるとして言う通りにそれぞれが持つ武器を手に持つ。

 

 三人がその手に武器を持つのを確認したゼロは頷くと彼女ちにある説明をした。

 

「これはあくまで奥の手として用意しておく最終手段だ。

おそらくはヒロムもこれについては予見してる。未来輪廻に流れを止められた際の最悪の事態を避けるための一手……オレたちの霊装の力をヒロムに流し込む」

 

 


 

 

 

 

 

******

 

 

「はぁぁあ!!」

 

 ゼロの霊装の力たる「ディヴァイン・レイジング」の力を借りて即席の力を纏った姿になったヒロムは未来輪廻の力を操る青年に負けぬ戦いを繰り広げていた。

 

 未来輪廻という数秒前の過去の状態に自らを戻してやり直しを行う青年に対してヒロムはこれまでの戦いで常に使い続けてきた先読みの技たる流動術とそこから派生した感覚と経験からの未来視を行うことで未来輪廻発動前の動きと発動してからやり直しを行う瞬間の先読みをして自身が後手に回されぬ立ち回りを行っていた。

 

 無敵に思える過去をやり直し未来を変える未来輪廻と己の技術で先を読み未来を掴み取る流動術、二人がそれぞれ持つ力は互いに一歩も引くことなく流れを譲らぬ激しい攻防を繰り広げさせていたが、ヒロムはこの流れをあまりよく思ってはいなかった。

 

 何故なら、今のヒロムの行動の全ては青年の未来輪廻によって制限されているのだ。 

 

「オラァ!!」 


 両腕のアーマーのブレードに稲妻を纏わせて連撃を放ち、放った連撃を受けたはずの青年が何も無かったように過去の自分に逆戻りしてヒロムへ反撃しようとするとヒロムはその攻撃を避けて更なる攻撃を放って吹き飛ばす。

 

 吹き飛ばされるも青年は平然とした態度で立て直し、稲妻を右手に集めるとそれを刀に変化させて手に持ってヒロムに向けて構える。

 

 青年が刀を構えるとヒロムは全身に灰色の稲妻を強く纏いながら拳を構え、ヒロムが拳を構えると青年は彼に向けて言った。

 

『なるほど、即席の力故に出し惜しみ不要か。

オレの未来輪廻を前にして怯むどころか果敢に挑んでくるのは評価するに値する。だが、それだけだ』

 

「あ?」

 

『オマエは決定的なところで決め手にかけてしまう。

いや、言い方を変えるなら肝心なところで決めようとしてもオマエは力を加減している』

 

「オマエが常に未来輪廻で後出しするからだろ。

それさえなけりゃオレだって後先考えずにオマエ倒すために力出し切るさ。

けど、力を加減しとかねぇとオマエに反撃された時に対処出来ねぇからな」

 

『そうか……けど、それは未来輪廻を前提としたやり方だろ?

仮に……オレが未来輪廻に頼らないやり方をしたらどうする?』

 

 青年は突然走り出すと刀でヒロムに斬りかかり、ヒロムは左腕のアーマーのブレードで防ぎ止めて右腕のアーマーのブレードで反撃しようとしたが、青年はヒロムが刀を止めると何故か刀を手放して後ろに飛ぶ。


 青年が武器を手放して後ろに飛んだことでヒロムの反撃の一手は空を斬るだけで終わり、ヒロムの攻撃が空振りで終わると青年は大剣を出現させるとともに装備して振り下ろすとヒロムの右腕のアーマーのブレードを破壊してしまう。

 

「コイツ……!!」

 

『未来輪廻に気を取られたか?

動きが悪くなったぞ!!』

 

 右腕のアーマーを破壊されたヒロムが立て直そうとすると青年はすかさず手放した刀を回収して装備すると大剣と刀の二刀流でヒロムを追い詰めようと連撃を放つ。

 

 青年の放つ連撃を前にしてヒロムは途切れた流れを取り戻そうと集中して次々迫り来る攻撃の軌道を読んで回避して反撃のタイミングを狙っていたが、青年の連撃は反撃させるスキすらない。

 

「くっ……この……!!」

(マズイ……流れが持っていかれてる!!

さっきまでの未来輪廻を組み込んだ戦い方から変化した……口だけではない!!

確実に自分の実力だけで流れを変えて掴みやがった!!

この流れを変えなきゃ……オレが優位に立てる流れに……)

 

『どうした!!

思考が乱れてるのか!!』

 

 何とかしなければと頭の中で試行錯誤するヒロムに休む間もなく青年は大剣と刀でヒロムを倒そうと一撃を放とうとする……が、ヒロムはほんの一瞬、大剣の一撃を避けるとアーマーを壊された右手に稲妻を集めて手刀を強化すると青年の刀の一撃を防ぎ止め、止めた上で青年の刀を手刀で破壊して連撃の流れを途切れさせる。

 

『この……やるな!!』

 

「ナメんなよ……!!

オレの経験を……これまでのオレの戦いを甘く見るな!!」

 

『甘く見てねぇよ!!

むしろ経緯を評するに値する!!

このオレを相手に戦えているオマエは強者だ!!』

 

 ヒロムの強さを見下すのではなく称えるように言うと青年は大剣に全ての力を込めるように稲妻を纏わせ、強力な一撃を至近距離から飛ばす。

 

「させるか……!!」

 

 この攻撃は受けるわけにはいかない、そう考えるヒロムは稲妻を右手に強く纏うとその一撃を破壊するように拳撃を放つ。

 

 青年の一撃とヒロムの一撃がぶつかると強い衝撃が生じ、生じた衝撃にヒロムは吹き飛ばされそうになってしまう。

 

『くたばれ!!』

 

「こんな所で……負けてらんねぇんだよ!!

オレはぁぁぁぁぁあ!!」

 

 まだ終われない、その思いが高まるとヒロムの瞳は白銀に輝き、ヒロムの瞳が白銀に輝くと彼の一撃が力を増して青年の大剣の一撃を吹き飛ばしてしまう。


『!!』

 

「よしっ!!」

 

『さすがだな、姫神ヒロム!!

だが!!』

 

 敵の一撃を防いだ、それによりヒロムは一瞬安心感を抱いたのだろう。

その一瞬をスキだと判断した青年は気がつけばヒロムの前で大剣を振り上げて攻撃しようと構えていた。

 

「なっ……」

 

『ここまでだ……姫神ヒロム!!』

 

 ヒロムが反応出来ない間合いで稲妻を強く纏わせると青年はヒロムを倒そうと大剣を振り下ろす。

振り下ろされた大剣は……ヒロムを……

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