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レディアント・ロード1st season   作者: hygirl
天醒乱舞編・双王撃終
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六五七話 輪廻への挑戦


「……何!?

オマエ、今なんて言った!?」

 

 頼みがある、そう言ったヒロムが口にした言葉にゼロは耳を疑うしかなかった。ゼロの聞き間違いでなければ彼は今後出しの能力と言っても過言ではない自身だけ数秒前の状態に戻って未来をやり直せる未来輪廻を扱う青年を相手にするこの試練を攻略するためのカギを見つけたと言っていたのだ。

 

 聞き間違えるはずがない、ゼロは自らの聞き間違いは無いとする中でヒロムの言葉を信じられず、攻略するためのカギを見つけたというヒロムにそれが何なのかを質問した。

 

「攻略するためのカギって何だ?

ヤツの未来輪廻を封じる方法か?それともヤツ自身の能力を発動させない方法か?」

 

「落ち着けゼロ。

そんな都合のいい話はない」

 

「おい、待て。

オマエがオレに頼みがあるって言った上で攻略するためのカギを見つけたって言ったんだぞ?

それなのにそんな都合のいい話はないってどういう意味だ?」

 

「そこは言葉通りの意味だ。

ヤツの未来輪廻を都合よく封じたりヤツの隠してるかもしれない能力を封じる方法は無い」

 

「なら何でそんな言い方を……」

 

「落ち着いて考えろ。

試練ということはヤツを倒さなくてもゴールで終わる可能性があるってのは最初に確認したろ?

要はそこに注目して考えればいいんだよ」

 

「そこに注目って……どの道ヤツの未来輪廻を回避する方法はねぇんだぞ?

未来輪廻の逆戻りがあるかぎりヤツはダメージを受けずに数秒前の状態に戻って反撃してくる。

……まさかだが家族同然に思ってる精霊をバカにされたショックで思考回路乱れたか?」

 

「そこの心配はいらないし、どっちかと言うと元々乱れてる方だからな。

オマエの言い方に乗るなら……神経逆撫でされたおかげで冷静になれた」

 

「オマエ、ドMだろ……」

 

「何とでも言いなさいな。

それよりも……話聞かなくていいのか?」

 

「……オマエが素直に言えばいい事だろ。

で、この試練を攻略するためのカギってのは?」

 

 ヤツの言葉だよ、とヒロムは言うと続けてゼロに攻略のカギとなるワードについて話していく。

 

「アイツは試練の前にオレたちの考えを甘いと言っただろ?

アイツに色々攻撃されてるうちに思ったんだが、ヤツはオレたちの覚悟とかそんなんは認めるとしてもやり方は間違ってるって言ったんだ」

 

「たしかにヤツは否定したな。

今のオレたちにできるやり方……オマエのその霊装の力にオレの「ディヴァイン・レイジング」の力を取り込ませて云々ってのは間違いだって……」


「多分だけど、それは一発試していいと思う」

 

「何でだ?」

 

「……考えてみろよ。

真の意味でヤツに勝つ、そこが答えだとしたらオレたちはまだ答えの前にも立ってないんだ」

 

「答えの前に立つも何もオマエは今霊装の力を纏えないんだぞ?

そんなオマエが今オレの「ディヴァイン・レイジング」の力を取り込んでも……」

 

 ヒロムの話にどこか否定的な意見を向けるゼロだが、彼の言葉に異を唱えるような言葉を口にする中で何かに気づいたゼロは青年の方をチラッと見た後に彼がヒロムから取り上げて檻のようなものの中に封じている異様な光を見てヒロムに言った。

 

「そういうことか。

フレイたちの霊装を纏えない理由……それを見つけたってことか」

 

「ああ、ヤツの挑発がそれを教えてくれた。

今のフレイたちは個人では霊装を使えるのに変わりはない。けどオレが使うとなるとヤツの言う歪な形となった力をこの身に纏う上でフレイたちの持つ霊装の中にはオレが纏う上で必要になるものが不足している」

 

「ヤツの取り上げた精霊、その中にはフレイやラミア、ティアーユの力と霊装から分離した精霊がいる」

 

「その精霊とフレイたちの霊装がパズルのように合わさることでオレの纏う力になるのならオレが使えない理由は納得いく」

 

「だがそれが分かったからってオレの「ディヴァイン・レイジング」を取り込むってのは極端すぎないか?

ヤツの試練の答えがそこになかったら……」

 

「取り込まない。

この白銀の霊装に纏わせてオレが一時的に「ディヴァイン・レイジング」を発動させる」

 

 ヒロムの口から出た大胆な方法、それを聞いたゼロはヒロムの大胆な方法に笑ってしまう。

 

「ハハ……面白ぇ。

要はヤツを攻略して試練をクリアするためにオレを精霊代わりに利用するってのがカギってことか」

 

「完全な答えを出すまでの足掻きにしかならないけどやらないよりはマシだ。

これが答えにどれだけ近づけるかはともかく、ヤツの想定する範囲を超えるには……」

 

 やるぞ、とヒロムの話を最後まで聞くことなく灰色の稲妻を右手に強く纏わせたゼロはヒロムに告げる。

 

「時間はない。

ここでグダグダ話してるくらいならさっさとやるぞ」

 

「だな。

それが一番手っ取り早い!!」

 

 やる気を見せるかのようにヒロムはゼロの右手を掴むと白銀のブレスレットを光らせ、白銀のブレスレットが光るとゼロの右手が纏う灰色の稲妻がヒロムの全身を駆け巡る。


「くっ……!!」

 

「歯ァ食いしばれよ、ヒロム。

この暴れ馬はフレイたちみたく優しくねぇからな」

 

「みたいだな……!!

けど……そのくらいがちょうどいい!!」

 

 ゼロの手を離すとヒロムはどこか苦しそうにしながらも青年の方を向きながら構え、構える中で右手を高く突き上げると白銀の稲妻を纏って灰色の稲妻と一体化させていく。

 

「闇より生まれし灰色の戦士の力……借りるぜ!!」

 

 ヒロムが叫ぶと高く突き上げた拳から白銀の稲妻と灰色の稲妻が解き放たれ、ヒロムの全身が灰色の輝きに包まれていく。

 

 輝きに包まれたヒロムの体は灰色のボディースーツのようなものを纏い、胴体、肩、腰に黒い鎧を纏い、両腕と両足に白銀のブレードがついた黒いアーマーを装着していく。

 

『ほぅ……』

 

「これが今のオレたちにできる答え……オレとゼロの霊装のクロス・リンク、レディアント・レイジングだ!!」

 

『なるほど……。

取り込むとは最初に聞いていたから少し落胆していたがその姿を見ると……安心して戦えそうだ』

 

「安心しとけ……速攻でオマエを殴り潰す!!」

 

 青年に勝利宣言にも近い言葉を告げるとヒロムは地面を強く蹴り、ヒロムが地面を強く蹴ると灰色の稲妻がヒロムの足と地面との間で炸裂してヒロムを加速させて彼を一気に青年へと接近させる。

 

『……速いな』

 

「はっ!!」

 

『だが無意味だ』

 

 ヒロムの速さに感心する青年はヒロムの攻撃を避けずに受けると未来輪廻の力で攻撃される前の状態に戻って攻撃を終えたばかりのヒロムに攻撃しようとした。

 

『この力の前では何も出来ない。

未来をやり直せることの絶対的なアドバンテージ、それを前にして……』

 

「オラァ!!」

 

 青年が攻撃を終えたヒロムに攻撃しようとしたその時、攻撃を終えたヒロムの腕のアーマーのブレードが灰色の稲妻を刃にして飛ばし、青年はその刃に攻撃を阻まれた上でまた未来輪廻を発動して刃を受ける前に戻される。

 

『オマエ、何を……』

 

「ざぁ!!」

 

 何かをした、それを理解している青年が動く前にヒロムは体を回転させると右足のアーマーのブレードに稲妻を纏わせながら回し蹴りを放ち、放たれる回し蹴りを青年はその身で受けようとせずに稲妻を纏わせた手刀で防ぎ止める。


 攻撃を防ぎ止めた、そのことについてヒロムは青年を挑発するように問う。

 

「どうした?

未来輪廻の前では防御は必要なさそうだが、防がなきゃまずかったのか?」

 

『……たまたまだよ。

それよりも、即席の姿の割に力上手く使いこなしているじゃないか。

事前に打ち合わせでもしてたか?』

 

「別に?

ゼロの力を借りるからにはもうちょい禍々しいの期待してたくらいだけど、このくらいの装備でオマエを倒すためにやれることを考えるのは難しいことじゃない」

 

『なるほど、即席故にできることとその可能性に賭けて動いてるというわけか。

ならば尚更面白い、未来輪廻からの反撃を回避した点は褒めてやる』

 

 だけど、と青年は稲妻の一部を大剣へと変えるとヒロムを睨みながら言った。

 

『所詮は付け焼き刃の力、元々ある力とは異なる力の限界は知れている』

 

「そう思うなら……試してみろよ?」

 

 青年の言葉を受けたヒロムは何か企んでいるの走り出すと灰色の稲妻を両腕のアーマーのブレードに纏わせながらブレードを鋭くさせ、鋭くさせたブレードで敵を斬ろうとするかのように青年に攻撃しようとした。

 

 ヒロムが攻撃を放とうとすると青年は大剣を構えたまま立ち、攻撃をその身で受けるつもりでいる青年をヒロムは右腕のアーマーのブレードで攻撃した。

 

 当然、攻撃は命中して青年にダメージを与えるが、青年は何も無かったかのように未来輪廻によって攻撃を受ける前の大剣を構えたままの状態に戻ってしまう。

 

『無駄な攻撃だったな……姫神ヒロム!!』

 

 ヒロムの攻撃を無駄と告げる青年は攻撃直後の無防備なヒロムを倒すべく大剣を振り下ろす……が、大剣が振り下ろされる瞬間に無防備な状態にあるはずのヒロムは左腕のアーマーのブレードに纏わせた稲妻を地面に向けて放って炸裂させると自身の体を青年の大剣の軌道の外に飛ばすようにして青年の攻撃を避ける。

 

『何!?』

 

「誰の何が無駄だって……?」


 攻撃を避けられたことに驚く青年に向けて言うとヒロムは両腕に灰色の稲妻を強く纏わせながら強力な斬撃を放ち、放たれた斬撃が襲いかかると青年は大剣を盾にして防ぐと力の余波で少し飛ばされてしまう。

 

『くっ……バカな。

あの状態から攻撃を避けるなんて不可能だ。

まして成功するかすら分からないようなやり方で……』

 

「成功するのは分かってた。

それにオマエなら必ずオレの攻撃直後のスキを狙って攻撃してくるのも分かった。

オマエ、大剣を構えたまま攻撃を受けたのも説明がつく」

 

『まさか……』

 

「残念だがオマエが後出しを得意としてるのと同じで戦いの先読みはオレが得意としてる事だ。

これに関してはシオンの持つ「晶眼」の未来視に負けるつもりねぇしな」

 

『オレが未来輪廻で後出しした後の未来の流れを読んだとはな……!!』

 

 言っとくぞ、とヒロムは灰色の稲妻を強く纏う中で右手の中指を立てて青年に向けると彼を挑発するように告げた。

 

「オマエがオレの精霊を奪ってオレの戦い方を否定しようがオレの経験値だけは奪えねぇ。

オレの精神の中で引き篭ってただけのインドア後出し野郎より多い戦闘経験はオマエじゃ奪えねぇ。

悔しかったら一人で積み上げてきたその後出しで勝ってみろよ」


 

 

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