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レディアント・ロード1st season   作者: hygirl
天醒乱舞編・双王撃終
655/672

六五五話 ワールドプライム


『オレと戦え。

そして真の意味でオレに勝ってみせろ』

 

 ヒロムとゼロに対して自らと戦うように告げる青年。そして青年が二人に戦うことを告げるとヒロムを包む異様な光がヒロムの中から何かを吸収していく。

 

「こ、これは……!?」

 

「どうしたヒロム!?」

 

「この光……!!

オレの中から精霊の力を……アイツらの力ごと存在を奪ってやがる!!」

 

「何!?

ふざけたことを!!」

 

 ヒロムを包む異様な光がヒロムから精霊の力と精霊を奪っていると知るとゼロは灰色の稲妻を強く纏いながらヒロムを包む異様な光を払い除けようとした。

が、ゼロが払い除けようとすると異様な光をヒロムから振り払うように彼の両手の白銀のブレスレットの中から精霊・フレイとラミア、ティアーユが現れ、三人の登場によって異様な光はヒロムから離される。

 

 ヒロムから離された異様な光はヒロムから遠ざかると青年のもとへ向かい、青年は右手を動かすと異様な光を檻のような物に閉じ込めてしまう。

 

「オマエ……オレに何をした!!」

 

『最後の試練を与えるだけだ。

そのためには今回収した精霊とその力が正直なところ邪魔でな。

クロムのように力を悪用するつもりも無ければ取り上げるだけ取り上げて破棄するつもりもない』

 

「取り上げて?

ヒロムの試練なら精霊とその力を扱うことは何もおかしい事じゃないだろ?

なのに何で親が子どもから玩具を没収するような言い方をする?」

 

『鋭い洞察力と観察眼を持つことは関心するが深追いするその姿勢は評価を落とすぞ、ゼロ。

オマエが気にすべきは姫神ヒロムがこの試練をクリアできるかということだけだ』

 

「そうかよ……で、オレが手出ししても問題ないよな?」

 

『もちろん構わないさ。

ただし……手出しするからにはそれ相応の力を見せろ』

 

「……おもしれぇ!!

ヒロム、やるぞ!!」

 

「……分かってる。

フレイ、ラミア、ティアーユ……いけるか?」

 

「大丈夫です、マスター」

 

「私もよマスター。

でも他の子達が……」

 

「私たちがいながらすいません」

 

「どうせ今のオレたちじゃアイツのやることには手も足も出ないだろうから気にしなくていいさ。

助けるためにはアイツに勝つしかない。だから……頼むぞ」

 

 了解です、とフレイ、ラミア、ティアーユは返事をすると武器を構え、三人の精霊が武器を構えるとヒロムは白銀の稲妻を纏いながら拳を構える。


 ようやく戦う気になったヒロムにゼロはどこか嬉しそうに微笑むと灰色の稲妻を強くさせると右手に装着している黒いブレスレットを光らせて黒い大剣を出現させてそれを手に持つと構える。

 

 ヒロムとゼロ、そしてフレイたち精霊三人が構えると青年は首を鳴らし、青年が首を鳴らすと彼の全身からこれまでヒロムたちが目の当たりにしたことがないような眩い輝きを発する稲妻が強く纏われる。

 

「「!?」」

 

「こ、この力は……!?」

 

「マスターと同じ……いえ、それ以上の力!?」

 

「こんな強い力を……!?」

 

『この程度で一々驚かないでもらいたいな。

実際まだオレはオレが内包する力の片鱗すら出してないんだからな』

 

「野郎……。

余程余裕と自信があるってか?」

 

「ゼロ、今のフレイたちはヤツのやった事の影響でもしかしたら十分に戦えないかもしれない。三人には後方支援を……」

 

「まどろっこしいのは無しだろ。

全員で挑む、三人の力が全開でなくとも五人でやればヤツを何とかすることは可能だろ」

 

 それに、とゼロは灰色の稲妻を黒い大剣に纏わせると青年を見ながらヒロムにあることを伝えた。

 

「試練ってのには大抵ゴールとなる答えが用意されてるのがセオリーだ。

今回のこの試練でのゴールがヤツを倒すことなのかヤツとの戦いで何かに気づくのかは分からないがまず言えることはどうにかして互角に戦うしかないって事だ。

そこは理解してるよな?」

 

「言われなくてもな。

ゴールがあるってことは最悪の結末もあるってこともな」

 

「上等、そこまで理解してるなら文句はねぇ。

……派手に暴れてやるぞ!!」

 

「ああ!!」 

 

 白銀の稲妻を強く纏うヒロムは走り出し、ヒロムが走り出すとゼロは灰色の稲妻を強くさせながら一気に青年との距離を詰めて大剣を振り下ろそうとする。

ゼロが大剣を振り下ろすと青年は難なく回避し、青年が大剣を回避するとヒロムが勢いよく接近してきて蹴りを放つ……が、青年はこれを避けるとヒロムを衝撃波で吹き飛ばしてしまう。

 

「くっ……!!」

 

「ヒロム!!」

 

「余所見か?」


 吹き飛ばされたヒロムの方にゼロの意識が向くと青年はゼロをヒロムの時と同じように衝撃波で吹き飛ばそうとするが、青年がゼロを攻撃しようとするとライフルを構えたティアーユが光弾を放ってゼロへの攻撃を妨害し、攻撃を妨害された青年に次なる行動をさせぬように刀を持ったラミアと大剣を持ったフレイが青年に接近すると勢いよく武器を振り下ろす。

 

 振り下ろされた武器はそれぞれが紫色と金色の稲妻を纏っており、稲妻を纏う二つの刀剣は振り下ろされた勢いのまま青年に襲いかかる。

 

「はぁ!!」 

 

 二人の振り下ろした武器が青年に命中するとゼロは灰色の稲妻を強く纏わせた黒い大剣で一閃を放つと青年に向けて斬撃を飛ばし、飛ばされた斬撃は青年に命中すると彼をひどく負傷させる。

 

 三人の攻撃、それは見事に青年に命中した……はずだった。

 

『……大した攻撃だ』

 

 今さっきフレイとラミア、そして二人に続くようにゼロが攻撃して青年にダメージを与えたはずなのに青年はまるで斬撃など受けていないかのように平然と立っており、斬撃を受けたはずの体はまるで攻撃など受けていないように一切のダメージを負っていなかった。

 

「なっ……!?

どうなってやが……」

 

 明らかに何かが起きたことだけは認識できたゼロが青年の姿に驚いていると眩い輝きを放つ稲妻が青年の体から解き放たれると共にゼロを襲い、稲妻に襲われたゼロは勢いよく吹き飛ばされると地面を転がっていく。

 

「ゼロ!!」


『他人の心配か精霊?』

 

 フレイたちに向けて冷たい視線を向けると青年は稲妻を巨大な龍へと変化させ、稲妻の龍は雄叫びを上げながらフレイたち三人の精霊に突進していく。

 

「「きゃぁぁぁ!!」」

 

 稲妻の龍の突進を受けた三人の精霊は倒れてしまい、ゼロとフレイたちが倒れるとヒロムは稲妻を強く纏いながら起き上がって青年の方へと走り出す。

 

「はぁぁあ!!」 

 

『無謀なまま攻めてくるか。

それがオマエの出した答えと決断なら致し方ないか』

 

「ゴチャゴチャうるせぇんだよ!!」

 

 白銀の稲妻を拳に纏わせながら青年に近づくとヒロムは拳撃を連続で放つが、青年はヒロムの拳撃を難なく避けると彼の腹に拳を叩き込んで怯ませ、ヒロムを怯ませた青年は右脚に稲妻を集中させると軽く飛びながら体を回転させて回し蹴りをヒロムに放って彼を蹴り飛ばす。


 青年の回し蹴りを受けたヒロムは数度地面を転がるように蹴り飛ばされるとその先で倒れ、ヒロムが倒れるのと入れ違いになるようにゼロは起き上がると黒い大剣を持ち直して青年に向けて走り出した。

 

『オマエも無策なのか?

オレはオマエだけは冷静だと思っていたのに……』

 

「いいや、冷静だ!!

ただオマエにやられっぱなしが気に食わねぇから多少の無茶をしてるだけだ!!」

 

『無茶?

それも所詮は無謀な行動なんだよ』

 

 ゼロの言葉を訂正するように青年は言葉を発すると稲妻を右手に集め、集めた稲妻を大剣に変化させると青年は迫り来るゼロを斬り倒そうと一撃を放つ。

青年が大剣で一撃を放つとゼロそれを黒い大剣で防ぎながら距離を詰めて反撃しようとしたが、ゼロが反撃しようとすると青年は左手にも稲妻を集めて刀に変化させて装備し、装備した刀で反撃しようとするゼロに牽制するような一撃を放って彼の行動を妨害する。

 

「ちっ……!!」

 

 青年の冷静な行動に舌打ちをしながらもゼロは回避行動を取り、刀を避けたゼロは距離を取るように後ろに飛ぶ。

 

 後ろに飛んで距離を取ったゼロ。そのゼロの判断が正しかったのか青年は追撃するような動きはせず大剣と刀を稲妻に戻して身に纏い直し、青年の様子を見ながらゼロは彼の動きを冷静に整理する中で先程の不可思議な現象について考えていく。

 

(さっきのは何が起きた?

フレイとラミアとオレ、三人が続けて放った攻撃は確かにアイツに命中した。

なのに何でヤツは何も無かったように平然としてる!?それどころかダメージも攻撃も最初から無かったように……クソ!!何が起きてんだよ!!) 

 

『ゼロ、考えてるのか?』

 

「あ?」

 

『何故自分たちの攻撃が命中したのにオレは何も無かったように立っているのか、何故攻撃が無かったかのように振る舞っているのか……。

オマエはそこを考えていたんだろ』

 

「考えてました、て言ったら答えくれんのか?

違ぇだろ?試練を与えるオマエがそんな生温いことするわけねぇもんな」

 

『当然、この最後の試練は姫神ヒロムの存在そのものを賭けた試練だ。

試練の果てで姫神ヒロムが強さを得て生きるか強さを得られず消えるかが分かれるのに手を抜くはずないだろ?』

 

「消える?

そんなこと……」

 

 させねぇよ、とヒロムは起き上がるとゼロの言葉を取るように言い、そして青年の方を向くとヒロムは彼に告げた。


「悪いけどオレは諦めないし負けない。

ここでゼロやフレイたちとオマエを倒して精霊を取り戻して霊装を完成させる。

その先にあるものが何かは関係なく……オレはオマエを倒して試練をクリアしてみせる」

 

『……どうやってだ?

現状のオマエたちの力はオレの力の片鱗にすら及ばない。

そんなオマエたちが……オレを倒せると?』

 

「そんなものはやってみなきゃ分かんねぇだろ?

これまでも壁にぶつかることはあった。今回もそうだ。

けど……どんな壁も乗り越えてきたのがオレたちだ。一人で無理でもオレたちは手を取り合って乗り越えてきた。

それがオレとフレイたちにできるやり方だからだ。そのやり方でオレは……オマエを倒してみせる!!」

 

『……なら見せてみろ』

 

「ああ、見せてやるよ……!!

借りるぞフレイ!!」

 

「はい、マスター!!」

 

「……ソウル・マジェスティ!!」 

 

 フレイが強く返事をするとヒロムは叫び、フレイの霊装の力をその身に纏おうとした。

しかし……何も起きなかった。

 

 ヒロムの叫びに応じて稲妻が現れることも、フレイの霊装の力に適している輝きが現れることもなく何の反応も起きなかった。

 

「何……?」

 

「どうして……!?

どうして私の霊装の力がマスターに……!?」

 

『……現実を理解しろ、姫神ヒロム』

 

 何も起きないことに戸惑いを隠せないヒロムに向けて青年が冷たい眼差しを向けるとヒロムは何かに触れられることも無く吹き飛ばされてしまい、さらにフレイたちやゼロも同じように何もされることなく吹き飛ばされてしまう。

 

『オマエたちのこれまでは言わば歪みにより生まれた虚構。

この試練ではそんな虚構は通用しない。ましてオマエたちのやりたいことは……今のオマエたちに適していない』

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