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レディアント・ロード1st season   作者: hygirl
天醒乱舞編・双王撃終
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六三八話 始まりでも終わりでもない


 十神アルトとそれが使役する神機と呼ばれる機械兵器・アレスにヒロムたちが追い詰められる中彼らを助けるかのように現れたゼロ。

大きく仰け反ったアレスが体勢を立て直し、アルトがゼロに視線を向ける中で彼は首を鳴らすとヒロムに冷たい眼差しを向けながら言った。

 

「……ったく、シンギュラリティの覚醒と完全覚醒とやらを遂げてオマエが到達しようとしていた霊装の力全てを得たのにそのザマか?

一条カズキに感情の何たるかとそれに伴う考え方を諭されたのに無様だな」

 

「……返す言葉もない」

 

「まぁいい、オマエが甘いのはいつもの事だ。

肝心なところで一手甘いのはオマエらしいって言えばオマエらしいからな。

精霊を出す余力はあるか?」

 

「魔力の余裕はまだある。

まさかだが、オマエ……」

 

「手負いの足でまといの加勢は求めてない。

強いて言うなら天醒したセラとユリアが治癒術を何か使えるだろうから二人を呼んでオマエらの負傷をさっさと治させろ。

言っておくが、手負いだから休んでいいなんてオレが言うわけないだろ」

 

「……オマエらしいな」

 

 分かったよ、とゼロの指示に従うようにヒロムが言うと彼のもとに精霊・セラとユリアが現れ、現れた二人はゼロの指示を聞いていたらしく急いで治癒術を使用しようとする。

 

 ヒロムの治癒、それが始まるのを見届けるとゼロはアルトに視線を向け、視線を向けられたアルトは何故か嬉しそうにゼロに対して言葉を発していく。

 

「まさかオマエから来てくれるとはな、ゼロ。

いや……こうなる運命だったのかもしれないな」

 

「気持ちの悪い野郎だな。

運命?どういう意味で使ってるか知らねぇが、意味もなく使ってんのならその鬱陶しい口を今すぐ閉じろ」

 

「辛辣だな、オマエは。

まさかだがそうすることで余裕があると主張して自分がナメられないようにしてるのか?」

 

「好きに思えばいいがあまり想像に任せて語っているとオマエ自身の価値を下げるだけだから程々にするか自害して失せろ。

オレからしたらオマエを殺して終わらせれるなら何でもいいからな」

 

「ひどい言い方だな。

これでもオレはオマエの生まれるきっかけになった男なのにな」

 

「あ?」


「オマエは自分がどうやって生まれたか知ってるのか?

心に植え付けるためのただの闇ではない。オマエは姫神ヒロムが隠している真の力と八神トウマの中で成長するルシファーを得たオレの更なる力となるモノを蓄積するために用意された存在だ。

オレの力を完全に覚醒させるためにオマエはあらゆるものを学び、そしてそれを新たな力として変換してオレに明け渡すための存在だったんだ。

それなのに……何故オマエはオレのためではなくそんな男のために戦う?」

 

「知るか。

オマエに何の意図があるかは知らねぇがオレはヒロムのためにここにいる。

オレはヒロムのため、そしてオレのために戦うだけだ」

 

 アルトの本当かどうか分からない話を前にしても動じないゼロ。

そのゼロのあまりにも動じない態度にアルトはため息をつくと彼に簡潔にある事を告げた。

 

「オマエがどう思おうが関係ないが、オマエがその身に宿す最後の霊装は否が応でも渡してもらう。

その力が手に入ればオレは姫神ヒロムが宿す十五の霊装の力全てを掌握し、その恩恵で最強の力を手にすることとなる」

 

「……なるほど。

要はオレの「ソウル・レイジング」の力が欲しいってわけか。

ここに来たのは間違いだったかもしれねぇが……だからって素直に渡す気もねぇし死んでもオマエなんかに渡さねぇ」

 

「オマエが抗おうとオレは必ずその力を手にする。

でなければ「世界王府」の計画は進まないからな」

 

 まったくだよ、とアルトのもとへ音もなくシンクが先程まで相手をしていたリュクスが現れ、現れたリュクスはゼロを見ながらアルトに告げた。

 

「今回のこの作戦、オマエが全ての力を掌握して完全体にならなかったらヴィランの計画に支障が出る。

ここまでせっかく「十家」を利用してきたのにこの一時で水の泡となるのだけはゴメンだぞ」

 

「安心しろリュクス。

オマエは己の望みを叶えるためにやるべき事をやればいい。

その間にオレが全てを完全に終わらせて「世界王府」の最大の敵となる「一条」も潰してやろう」

 

「野郎、好き勝手言いやがるなァ」

 

 リュクスに対して余裕を持って語るアルトの言葉に葉王が若干イラッとしているとゼロは葉王に忠告した。

 

「鬼桜葉王、オマエは手を出すなよ」

 

「あァ?」


「オマエは言わば最終防衛ラインだ。

そのオマエが早い段階で出てきたらヤツらが奥の手を隠していた場合後手に回されることになる。

ここは大人しく、オレたちの戦いを見届けとけ」

 

「オマエェ、偉そうに言いやがるなァ」

 

「悪いな。

こちとらウォーミングアップ済ませて来てるからいつでも本気でやれんだよ」


「ウォーミングアップゥ?」

 

「……ヒロムが七瀬アリサを女どものところに向かわせるより前にどこの所属か分からねぇ能力者が現れてな。

正体探るのも手間だったから準備運動程度に暴れて全員倒してきたんだよ」

 

「まさかアイツが……!?」

 

「そのまさかだな、ヒロム。

おそらくヤツが本性を表さなければトウマが仕向けた刺客と勘違いしてたが、実際のところは「世界王府」に属する十神アルトの差し金ってわけだ」

 

「……まさか腕利きの能力者を全員倒したのか?」

 

 ゼロの話を聞いたアルトはどこか焦りにも似た表情を見せ、それを見たゼロはアルトが今余裕を失ったと判断し、そんな彼を煽るように告げた。

 

「あの程度の能力者しか雇えないとなるとオマエ個人はともかく「十神」の家の質も地に落ちたものだな。

いや、そもそも「十家」の序列二位ってのも他の当主を上手く操って八百長したとしたら疑わしいものだがな」

 

「オマエ……!!

ただの力を貯えるための器の分際で!!」

 

「図星か?言葉に余裕がなくなったぞ?

この程度で余裕が無くなるのならその程度だが、トウマや他の当主を相手にして疲弊したヒロムたちを闇討ちにも近い形で襲って自分が勝ったような言い方をしてる時点でオマエの小物さが目に見えるな」

 

「……アレス!!

今すぐそいつを黙らせろ!!」

 

『了解』 

 

 ゼロの言葉に我慢が効かなくなったアルトは彼を始末すべくアレスに指示を出し、指示を受けたアレスは赤い光の翼を大きく広げながら動き出すとゼロに接近してメイスを叩きつけて彼を殴り殺そうとした。

 

しかし……

 

「……こんなもんか」

 

 アレスが迫る中でゼロは何故か残念そうに呟くと灰色の稲妻を全身に纏いながら右足で蹴りを放ち、放たれた蹴りがゼロを殴り殺そうと迫るアレスのメイスに命中すると弾き返してみせる。

 

 メイスが弾かれるとアレスは大きく怯み、アレスが怯んでいるとゼロは体を回転させて勢いをつけてからもう一度蹴りを放ってアレスに一撃を食らわせる。

 

 蹴りを受けたアレスは仰け反ると共に後ろに大きくよろけ、アレスがよろけるとゼロは灰色の稲妻を強く纏いながら右手を構えると強力な一撃を解き放ってアレスを吹き飛ばして倒してしまう。


「……何?」

 

 ゼロが呆気なく倒したアレスの姿を信じられないアルトは戸惑いを隠せぬ表情を見せ、倒れるアレスは何とかして立ち上がるとメイスを構えようとするがゼロはアレスに冷たく告げた。

 

「やめとけ、クズ鉄。

オマエじゃ相手にもならねぇよ」

 

『何……?

オマエのような中途半端な存在に我が負けると言いたいのか……?』

 

「伝わってんのなら話が早い。

とっとと失せるか無様に逃げろよ。

今ので理解しただろうが、オマエじゃオレは倒せない」

 

『偉そうな口を……!!』

 

「そこまで強気なら……ペルセウス、オマエも加勢しろ」

 

 アレスに対して強気な態度を取るゼロを見兼ねたアルトは剣を持ったもう一体の機械兵器に指示を出し、指示を受けた機械兵器・ペルセウスは全身を青く染めると剣を構えてゼロに向けて走り出す。

 

 ペルセウスが動き出すとアレスもメイスを構えて動き出し、二体の機械兵器が動き出すとゼロは灰色の稲妻を強くさせながら二機を迎え撃とうと走り出す。

 

『ペルセウス、これより対象を処理する』

 

「たかが一機増えたところで変わらねぇよ」

 

 ゼロを倒すべくペルセウスは構える剣に光を纏わせると斬撃を放とうとし、ペルセウスが斬撃を放とうとするとゼロは灰色の稲妻を拳に纏わせながら拳撃を放つことで剣を弾き、剣を弾いたゼロは続けてペルセウスを殴ると迫ってくるアレスのメイスの攻撃を回避してカウンターの蹴りを食らわせてアレスをまた怯ませる。

 

 ペルセウスとアレスに一撃を入れたゼロは両手を大きく動かすと灰色の稲妻を自身の周囲で大きく動かさせ、勢いよく両手を前に出すと灰色の稲妻を解き放ってペルセウスとアレスにぶつけて敵を吹き飛ばしてみせる。

 

 が、吹き飛ばされたペルセウスは何とか体勢を立て直すと剣を構えて鋭い突きを放ち、ペルセウスが突きを放つとゼロは右手首に装着する黒いブレスレットを光らせるとともに黒い大剣を出現させて装備するとペルセウスの剣の一撃を防ぎ、さらにブレスレットを光らせると右腕にアーマーを纏わせていく。

 

 アーマーを纏わせた腕を覆うようにいくつもの装甲を肩に装備し、装備した肩の装甲の一部をパージすると刃のビットにして操作してペルセウスに命中させて追い詰めていく。

 

『くっ……!!』

 

「ディヴァイン・ドライヴ、アームドセット。

部分的な展開も可能なんだよ」


 黒い大剣を構えるゼロは大剣に灰色の稲妻を纏わせると斬撃をペルセウスに向けて飛ばし、斬撃が飛ばされるとペルセウスはそれを直撃で受けて仰け反ってしまう。

 

 アレスとペルセウス、二機の神機を相手に圧倒するゼロ。

神機の力に自信のあったアルトは何故彼が二機の神機を圧倒するほどの力を持っているのか理解できなかった。

 

「何故だ?

何故蓄積するための器でしかないオマエがアレスとペルセウスを相手に優位でいられる?」

 

「あん?

別にテメェの鉄クズにオレが苦戦する理由はねぇ。

それにそいつらはオレを理解してねぇのが一番の問題なんだよ」

 

「オマエを?

オマエはオレの力を完全にするための器でしか……」

 

「それだよ、それ。

オマエはさっきからオレのことをそう呼んでるがそれはあくまでオマエが生み出した段階での話だ。

今のオレはヒロムの中で人の思いに触れ、そしてヒロムの中で変わったオレは多くのものに感化されて変化している。

これが何を意味するのか、そんなのは誰にも分からねぇがただ一つ言える確かなこと……それはオレの力がヒロムのために戦うことほために存在してるってことだ」

 

「戯言を……!!」

 

「覚悟しろよ、十神アルト。

今のオレはオマエの理解の外で成長してるから……強いぞ」

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