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レディアント・ロード1st season   作者: hygirl
天醒乱舞編・双王撃終
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六一七話 臣下、集結


 真助が貴虎と戦っている最中でヒロムとトウマは戦いの場を会議場となっていた国技館の外へと移していた。

 

「はぁっ!!」

 

 天醒して「天斬」の名を得たセツナの霊装の力たる「オルタナティブ・ソウル」の力を纏うヒロムは水色の稲妻と蒼い炎を両手に持つ二本の刀に纏わせて斬撃を放つが、三体の機械天使をその身に取り込んで豹変したトウマは闇の翼を広げるとヒロムの攻撃を防ぎ止め、手をかざすとともにヒロムを吹き飛ばしてしまう。

 

「ぐぁっ!!」

 

「マスター!!」

 

 吹き飛ばされたヒロムが地面に叩きつけられると精霊・セツナとフレイが駆け寄り、二人の精霊が駆け寄る中で精霊・ラミアとティアーユ、ステラ、テミスはトウマを倒すべく攻撃を放っていく。

 

 精霊たちの放った攻撃はトウマに向けて力を増しながら向かっていくが、精霊たちの攻撃が迫り来るとトウマは瞳を光らせるとともに光を強く発して彼女たちの攻撃を消し去ってしまう。

 

「そんな……!!」

 

「……機械天使を取り込んだ影響で本来の能力すら規格外になりやがったな……。

ぶっつけ本番二発目の霊装の力も不安定すぎて通用しないか……」

 

「マスター、申し訳ありません。

私が……」

 

「気にすんなよセツナ。

この程度で終わると思ってなかったから何の問題もない。

ただ……」

 

 詫びるセツナを励ますように言うとヒロムは変貌を遂げたトウマに視線を向けながら彼について考えていた。

 

(今のアレはトウマとは別の何かだ。

トウマの肉体という器に入れられたゼクスの用意した偽りの感情が暴走すると同時に機械天使を取り込んであの姿になったわけだが……アレをどうにか解いて本来のトウマを呼び起こすことは出来るのか?

そもそも中にいる主人格のトウマは今どうなって……)

 

 今のトウマがどういう状態なのかを冷静に考えようとするヒロム。

そのヒロムが考えていることを気にすることも無くトウマは闇の翼を大きく広げると周囲に闇を放出し、放出した闇を無数に分裂させて形を与えるとそれらを矢にして撃ち放つ。

 

 闇が変化した矢が放たれるとヒロムは即座に起き上がって刀を構えると同時に刀身に水色の稲妻と蒼い炎を纏わせながら斬撃を放ち、放った斬撃がトウマの放った攻撃を相殺していく。

 

 敵の攻撃を相殺するとヒロムは水色の稲妻わ方何強く纏わせて更なる一撃をトウマに向けて飛ばすが、トウマが瞳を光らせるとヒロムが放ち飛ばした一撃は空間ごと歪められながら消されてしまう。


「厄介な力だな……」

 

「……ァァァァァ……」

 

「あ?」

 

「アァァァァァァァァァア!!」

 

 突然トウマは雄叫びにも似た声で叫び、闇の翼を大きく広げるとともに瞳を怪しく光らせる。

トウマが謎の奇行を始めるとどこかともなく悲鳴が聞こえ、そしてどこからかヒロムに向けて無数の炎を雷が飛んでくる。

 

 炎や雷の接近を感じ取ったヒロムは即座に刀で切り払おうとしたが、ヒロムがそうしようとした瞬間に黒い雷を纏った真助の精霊・空牙がヒロムに迫る攻撃を全て消し去ってみせる。

 

「空牙!?」

 

「見つけたぞヒロム。

オレのマスターにアンタへ伝言を頼まれたんだ」

 

「真助から?」

 

「四条貴虎は倒せた……が、四条貴虎は八神トウマの機械天使にウイルスを仕込んで「天霊」の力を狂わせたらしいんだ」

 

「どういう意味だ?」

 

「アンタはさっき何人もの能力者や当主の人間と戦ってたろ?

その能力者たちは倒されても八神トウマの力で治癒されて治されてたはずだ」

 

「たしかにオマエの言う通りトウマの力で蘇生されてた。

けどそれがどう関係してるんだ?」

 

「四条貴虎は機械天使にウイルスとなる「ハザード」の力を仕込み、機械天使を介して八神トウマの「天霊」の力を「ハザード」に汚染させたんだ。

そしてその力を受けた能力者たちの体内にも「ハザード」のウイルスが流れ込むようにされている。

暴走した八神トウマが合図を出せばウイルスが活動を始め、当主たちのような強い能力者は自我を奪われるだけの傀儡にされるが、配下の能力者たちはウイルスに耐えられずに「ネガ・ハザード」と化して暴れる!!」

 

「まさか……!!」

 

 空牙の話を聞いたヒロムは何か嫌な予感を察知して炎や雷が飛んできた方向……いや、周囲を見渡すように視線を向ける。

 

 視線を向けると闇にも瘴気にも見える異質な力に包まれた能力者たちがヒロムを取り囲もうと迫っており、能力者たちの一部は一瞬苦しむ素振りを見せると一瞬で人とは程遠い異形の化け物の姿「ネガ・ハザード」へと変貌してしまう。

 

 次々に「ネガ・ハザード」へと変貌してしまう能力者たち。

その能力者たちの後ろからは「二葉」の当主の女である二葉一葉、「三日月」の当主の男の三日月宗近、「五樹」の当主の五樹・F・ルルーナ、「六道」の当主の六道シンゴ、「九岳」の当主たる九岳マサキが迫っていた。

 

 それだけではない。

 

 ヒロムとトウマが戦いの場を移すために移動してきた方からは先程ヒロムが倒したはずの「四条」の当主にしてトウマの許嫁の女・四条美雪が歩いてきているのだ。

 

 何故彼女がここに?その謎の答えはトウマを介した「ハザード」のパンデミックの中にいるからこそヒロムは導き出せた。

 

「四条貴虎……相当な外道だな。

実の妹にすら「ハザード」のウイルスを仕込んでいたなんてな!!」

 

「どうする?

アンタならオレが加勢しなくても精霊を総動員すれば難無く突破出来るんだろうが、ここに到るまでそれなりに力を使ってるのなら話は別だよな?」

 

「分かってるなら聞くなよ、空牙。

ただでさえトウマのあの姿が想定外でどうしようか悩んでるんだからよ……」

 

「……なら、頼るべき相手を変えるのはどうだ?」

 

 フレイたち精霊全員を呼び出せば何とかなるのは空牙の言う通りだが、ヒロムはここまでそれなりに力を使っている。

それによって多少なりともヒロムの体は疲弊している。

ましてトウマはヒロムの予想を超えた力を発揮している。

 

 そんな状況下の中、空牙はヒロムに意外な一言を伝えた。

頼るべき相手を変える、その言葉の意味がヒロムは一瞬分からなかったが、次の瞬間にはそれを理解することになる。

 

 ヒロムが空牙の言葉を理解出来ていない中で天より紅い炎が飛来してきて「ネガ・ハザード」となった能力者を次々に焼き殺し、さらに蒼い炎が斬撃のように形を変えながら飛んでくるとさらに「ネガ・ハザード」となった能力者を倒していく。

 

「……そういうことか」

 

 空牙の言葉の意味をヒロムが理解するとどこからともなく轟音を響かせながら雷撃が「ネガ・ハザード」に襲いかかり、さらに巨大な影の拳が敵を殴り倒していく。

 

 次から次に放たれてくる攻撃、その攻撃が敵を倒していくとヒロムはどこか安心したような表情を見せる。

そしてヒロムがその表情を見せると彼のもとへと少年たちが歩いてくる。

 

 歩いてくる少年たちの方を見ることもなくヒロムは彼らに問う。

 

「タイミング的にバッチリな登場だが、狙ってたのか?」


 まさか、と少年の一人が言うと彼らはヒロムを守るように彼の前に立つ。

 

 そして……


「オレの特訓は数分前に終わったんだ。

今ここに来たのはギリギリ間に合っただけに過ぎない」

 

「オレは様子見してたよ。

会議の内容とか気になったからな」

 

「どうでもいい。

だが……せっかく強くなったんだ。試すなら大物と戦いたいと願うのは戦士として当然だろう」

 

「まぁ、何やかんやで皆大将が心配なのさ」

 

「らしいな……オマエら」

 

 それぞれがヒロムに思いを伝え、それを受けたヒロムは呆れた様子で言いながらもどこか嬉しそうに彼らを見る。

 

 少年たち……相馬ソラ、雨月ガイ、紅月シオン、黒川イクト。

ただ並び立つ彼らからは何か強い力を感じ取れ、それを羽田で感じ取ったであろう「ネガ・ハザード」は数歩後退りしてしまう。

 

 「ネガ・ハザード」が後退りをした、その事実にシオンは呆れてため息をついてしまう。

 

「まったく……戦闘兵器がいちいち敵に動じて後退りとは情けないな」

 

「同感だな。

さすがは「八神」の失敗作だ」

 

 シオンの言葉にソラが賛同すると九岳マサキが大槌で地面を叩いて大地を隆起させて巨人を生成してソラたちを殴らせようとする。

 

 が……

 

「その程度か?」

 

 ソラは構えることも無く大地が隆起して生まれた巨人を強く睨む。

ソラに睨まれた巨人の全身は炎に包まれ、炎に包まれると巨人は塵も残さず消されてしまう。

 

「!?」

 

「これが当主の能力か?

傀儡にされてる云々差し引いてもこれはさすがにないだろ?」

 

「……黙れ」

 

 九岳マサキの能力に期待はずれだと言わんばかりの反応をソラが見せていると二葉一葉が風を巻き起こして真空刃をソラに向けて飛ばす。

 

 ソラに向かっていく真空刃、だがイクトが指を鳴らすと空間が歪むと共に真空刃が消滅してしまう。

 

「な……」

 

「現実、ってことは理解してるよね?

アンタらの能力はこの程度ってことなんだよ」

 

「そういうことだ……愚か者どもが!!」

 

 イクトの言葉に続けてシオンは言うと右手を前にかざすとともに巨大なら雷撃を飛ばし、飛ばされた雷撃が残存している「ネガ・ハザード」の三分の一ほどを一瞬で焼き消してしまう。

 

「この程度でヒロムを倒そうとしてたなら……」

「拍子抜けだな」

 

 シオンの言葉を取るようにガイは言うと刀を抜刀し、ガイが刀を抜刀するとシオンが倒し切らなかった残りの「ネガ・ハザード」が一瞬で斬り倒されていく。

別にガイは動いていない、だがガイが抜刀すると同時に敵は倒されたのだ。


その事実にシオンは少しイラッとしていた。

 

「おいガイ……!!

これじゃオレがオマエより弱いかのように思われるだろうが!!」

 

「そこは気にするところか?

気にするなら当主を多く倒せばいいだろ」

 

「あぁ!?」

 

「ガイの言う通りだシオン。

ヒロムがトウマに集中するためにはオレたちで当主を引き受けるしかない」

 

 だから、とソラは紅い炎を拳銃「ヒート・マグナム」に変化させると四条美雪に銃口を向ける。

 

「適当に倒して終わらせるから残りは好きにしろ」

 

「なら……オレは因縁の相手と戦う」

 

 ソラが四条美雪に武器を向ける中、ガイは刀を持ったまま三日月宗近の方へと歩いていく。

 

 傀儡にされている当主は残り四人、男と女が二人ずつ……すると

 

「じゃあ、シオン。

あの男二人は任せるよ」

 

「何のつもりだ?」

 

「別に?

オレは暑苦しい男の相手はお断りしたいのさ」

 

 仕方ない、とシオンは九岳マサキと六道シンゴを睨むとイクトに言葉を返し、イクトは大鎌を構えると二葉一葉と五樹・F・ルルーナの方を向きながらヒロムに伝えた。

 

「じゃあ大将、ゆっくり休んでてよ。

お楽しみは……これからだからさ」

 


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