表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
レディアント・ロード1st season   作者: hygirl
天醒乱舞編・双王撃終
602/672

六〇二話 波乱の介入


 ヒロムの登場に会場にいる誰もが動揺する中、アリサはトウマと美雪に真意を問おうとする。

 

「八神トウマ、アナタのこれまでの行いに対する責任はどうとるのか。四条美雪、アナタはカリギュラと関与のある四条貴虎とデバイスシステムをどうするのか……それについてお答えて願います」

 

「待ちなさい」

 

 アリサが問うと横から五樹・F・ルルーナが話に割って入るようにヒロムに言う。

 

「姫神ヒロム、部外者はここから去りなさい。

ここは十家会議、神聖な場所よ。

アナタのような……」

 

「『うるせぇ』」

 

 ルルーナがまだ話す途中でヒロムが冷たく言葉を発するとルルーナの声が消え、声の出なくなったルルーナは何が起きてるのか分からず困惑してしまう。

 

 ルルーナが声を出せぬ状態になるとヒロムはそれを無視して彼女に向けて告げた。

 

「さっきも七瀬アリサが言ってたろ。

オレはオレの組織である「天獄」共々「七瀬」の傘下に入った。

「七瀬」の傘下に入った以上はここに踏み入る権利はあるってわけだ。

現にそこの「一条」の能力者もいるわけだし、オレだけ例外とか言わないよな?」

 

「……ッ」

 

「あぁ……うるせぇって言ったからまだ喋れねぇか。

まぁいいか、「十家」の当主が「無能」の一言で何も出来なくなる所が世間に知れ渡ったことだしな」

 

「テメェ、何様のつもりだ?」

 

 ルルーナが話せないこと、その様子を見てヒロムは呆れた様子を見せる一方でどこか満足感を得たような一面を見せる。

そんなヒロムに九岳マサキは鋭い眼差しで睨みながらヒロムに言葉を発する。

 

「テメェが「七瀬」の傘下に入ったとかはどうでもいいが、その程度でこの会議に出れると思うな。

ここにいる人間はこの場にいるに相応しい血筋が長い年月を家臣として付き従ってきたヤツだ。

そこにいる「一条」の能力者も後者であり、オマエはどちらにも属さな……」

 

「何言ってんだよ?

オマエの言う通りならオレはここにいても問題無いと思うけどな」

 

「あ?

話聞いてたのか?

ここに……」

 

「ここにいていいのは「十家」のいずれかの血筋か長く付き従ってきた人間なんだろ?

オレはその片方をクリアしている」

 

「適当なこと抜かしてんじゃねぇぞ!!

今のオマエがこの場にいていいような状態なわけ……」

 

「九岳マサキ、口を閉じろ」


 ヒロムの言葉を受けて気性が荒くなって言葉が荒っぽくなるマサキを十神アルトが止め、仲裁に入る形でマサキを止めたアルトはヒロムを見ながら彼や他の当主に対して話していく。

 

「問題となっている「竜鬼会」とやらの一件で注目を集め始めたその男のことをオレは調べたんだが……どうやらその男は「八神」の血を引くそこの八神トウマの兄にあたる人物らしい」

 

「「!!」」

 

「……そうだな?姫神ヒロム」

 

「あぁ、ご名答だよ赤毛。

よく調べて覚えてる辺りオマエはそれなりに話が通じそうだな」

 

「……この事は八神トウマに数日前に確認してあったし別にこの場で話す必要は無いと思っていたが、本人が現れた以上話す必要はあるというわけだ」

 

 それより、とアルトはカズキに対してヒロムのことで一つ確認しようと彼に質問した。

 

「姫神ヒロムが「八神」の血を引くと言うことは同時に八神トウマと同じように「八神」の当主としてその座を継承する権利があるはずだ。

見たところ「無能」と忌み嫌われていたと思えぬほどにその男は強い力を持っている、となるとその男に「八神」の当主を継がせてもいいんじゃないか?」

 

「ふざけるな!!」

 

 ヒロムを「八神」の当主にするべきという提案をカズキにするアルト。

アルトの言葉にカズキは何も言おうとしないが、トウマは黙っていなかった。


 アルトの言葉に怒りを顕にし、そしてトウマはアルトに対して反論していく。

 

「そいつはたしかに「八神」の血を引くのはたしかだが、そいつはこれまで幾度となく「八神」に敵対行動を見せてきた男だ!!

そんな男が「八神」の当主になれば「八神」は崩壊し、「十家」すらも破滅に導かれて終わるだけだ!!」

 

「八神トウマの言う通りだな。

いくら何でもそんな横暴許されねぇ」

 

「全く、九岳の言う通りだ。

血を引くからってこんなヤツを当主にして何になる?

世間知らずの暴君が上に立てば何もかもが崩壊して終わる」

 

「私も同感だ。

このような輩に好き勝手させるわけにもいかないし、これまでの素性のハッキリしない人間を「十家」にするなどこれまでの歴史に泥を塗ることになる」

 

 トウマの言葉に賛同するように九岳マサキ、六道シンゴ、二葉一葉はヒロムに対する意見を述べていき、三人の言葉を聞いたヒロムはあくびをするとカズキに質問した。


「一条カズキ、コイツらはオマエと同じくらい強いのか?」

 

「……序列はオレや十神アルトに劣る。

だがオマエがこれまで戦ってきたような能力者より強いとだけは言っておこう」

 

 ヒロムの質問に対して答えるカズキ。ヒロムとカズキ、昨夜特訓をした間柄にもかかわらず互いに初対面のような話し方をしている。

 

 それもそのはず、カズキの率いる「一条」の目的たる「十家」の再建は「一条」の人間とそれに協力するヒロムの率いる「天獄」しか知らないこと。

ここで二人に繋がりがあると知られればカズキや「一条」の計画は頓挫することになる。

 

 それを避けるべく二人はあえて他人のフリをしている。

その上でヒロムはマサキ、シンゴ、一葉が強いかの答えを聞いたヒロムはある提案をした。

 

「このまま話してても埒あかねぇし、不満があるやつはオレと戦えよ。

所詮力で全てが決まるなら、オマエらが勝って今の当主がどれだけ有能か世間に知らせればいい。

負けた場合は……相応の覚悟をしてもらうけどな」

 

 不満があるなら戦え、ヒロムの挑発的な言葉にカズキ、アルト、アリサ以外の当主は反応し、そして七人の当主はヒロムを睨みながら殺気を放つ。

 

 が、七人の放つ殺気を受けたヒロムは首を鳴らすと七人のその殺気を上回るような強い殺気を全身から放ち、放たれた殺気はテーブルや椅子を振動させ、そして建物全体を揺らす。

 

「こ、これは……」

 

 ヒロムの放つ殺気に言葉を失う二葉一葉。

彼女が言葉を失っていると客席のメディアの人間は次から次に気を失って倒れてしまう。

 

 次から次に倒れていくメディアの人間、気づけば客席にいた人間は全員倒れており、客席の全員が倒れるとヒロムは音も立てずに一葉の背後へと移動して彼女に告げる。

 

「オマエ、「十家」の歴史に泥を塗ることになるとか言ってたよな?

そんなオマエに質問するけどよ……「十家」の当主にも選ばれず、権力争いから程遠い生活を送ってきたようなオレの殺気に動じるようなオマエはどうなんだ?

当主としてのオマエは……強いんだろうな?」

 

「……黙れ!!」

 

 一葉は立ち上がるとどこからともなく剣を出して手に持つとヒロムに斬りかかるが、ヒロムは何も装備していない左手の甲で一葉の剣を止めてしまう。

 

「!?」

 

「……これが「十家」の当主の一人の実力か?」


「な、何故剣を……」

 

「知るかよ。

オマエが弱いだけだろ」

 

 あっ、と困惑する一葉に冷たく告げたヒロムは何か思い出すと七瀬アリサの方を見るなり彼女に伝えた。

 

「七瀬アリサ、アンタの家の傘下に入ったとはいえこれからオレは私情に任せて戦うことになる。

仮にオレを危険視するような事態になったら……「天獄」は傘下から即刻脱退させてオレを始末してくれて構わない」

 

「分かりました。

ですが……今はアナタのことでこうなったのですから、私がその判断をくだすことはありませんよ」

 

「助かる。

じゃあ……メディアのカメラの映像を見てるヤツらに教えてやるか。

これが今の「十家」の当主の実力だ」

 

 ヒロムは左手の甲で止めた剣を弾き返すと一葉を蹴り飛ばし、蹴り飛ばされた一葉は勢いよく倒れてしまう。

 

 一葉が蹴り飛ばされるとマサキとシンゴは立ち上がるなり全身に魔力を纏ってヒロムに迫ろうとするが……ヒロムは魔力を纏ったばかりのシンゴの背後へと移動すると六道シンゴを殴り飛ばし、さらに音も立てずに九岳マサキの前へ移動すると彼の腹に膝蹴りを入れる。

 

「がっ……」

 

「偉そうな口聞いてたのにこの程度か?

この程度で当主なら……オマエ、才能ねぇな」

 

「……黙れ!!」

 

 九岳マサキはヒロムの言葉に腹を立てながら叫ぶと床を隆起させる形で大槌を出現させて装備し、装備した大槌に魔力を纏わせるとヒロムを殴打しようと振るが、ヒロムは何の焦りもなく簡単に避けると距離を取ろうと後ろに飛ぶ。

 

後ろに飛んだヒロムが着地すると殴り飛ばされたはずのシンゴが魔力を纏ってヒロムに殴りかかるが、ヒロムはシンゴの拳を掴み止めるとそのまま力を入れて骨を砕こうと……

 

「掴んだな」

 

 ヒロムがシンゴの拳を握り潰そうとしたその瞬間、シンゴの拳が魔力を纏うと同時に赤く光り、魔力が赤く光ると爆発が生じてヒロムはその爆発に飲まれてしまう。

 

 爆発に飲まれたヒロムは倒れ、呆気なく倒れたヒロムを見下すようにシンゴは偉そうに言葉を発する。

 

「この程度かよ。

偉そうに「九岳」の当主に才能が無いとかほざいてたくせに……」

「事実を語っただけだろ」

 

 シンゴの言葉をさえぎるように誰かが言い、声のした方へとシンゴが振り向くと……そこには爆発に巻き込まれて倒れたはずのヒロムが立っていた。

それも、爆発に巻き込まれて倒れたヒロムがシンゴの前に存在しているのにだ。


 何が起きている、それが分からぬシンゴが戸惑っていると倒れている方のヒロムの全身は黒炎となり、黒炎は龍の形になるとシンゴを襲って飛んでいく。

 

「ぐぁ!!」

 

「六ど……」

 

 黒炎の龍に襲われるシンゴを助けようとマサキは大槌を強く握ってヒロムを攻撃しようとするが、そうしようとした瞬間にマサキが持つ大槌が地面にめり込むように勢いよく吸い寄せられてしまう。

大槌が吸い寄せられた地面は大きな亀裂を入れながら大槌をくい込ませていき、大槌が地面にくい込んだことによってマサキは思うように動けなくなってしまう。

 

「なんで……急に重く……」

 

「んだよ、自分の武器もまともに使えねぇとか……ほんとに才能ねぇだろ」

 

 大槌が重くなったことに戸惑うマサキに対して落胆するように言葉を発するとヒロムはテーブルの上に立つように一瞬で移動し、そして左手を翳すと衝撃波を発生させてマサキを吹き飛ばす。

 

 

「がぁぁぁあ!!」

 

 吹き飛ばされたマサキは勢いよく倒れ、さらに黒炎の龍に襲われたシンゴも黒炎によって負傷して倒れてしまう。

 

 二人の当主が倒れる中、ヒロムは他の当主に向けて冷たく告げた。

 

「さっさとかかってこい。

オマエらが今までどれだけぬるま湯に浸かっていたか思い知らせてやる」

 

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ