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レディアント・ロード1st season   作者: hygirl
天醒乱舞編・双王撃終
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五八三話 現実を理解しろ


「さて……殺してやるからかかってこい」

 

 獅角を冷たい眼差しで睨むヒロムが言葉を発すると獅角と刃角、そして周りの能力者たちは武器を構え、六本の刀を抜刀した刃角は刀を構えながらヒロムに言った。

 

「殺してやるからかかってこい?

ずいぶんと大きく出たな。オマエの実力じゃここにいる能力者や角王を相手に勝てる見込みはない」

 

「それはオマエの偏見による思い込みだろ。

オマエ如きその気になれば一瞬で殺せる、その上でオマエらが攻撃してくるのを待ってるんだからさっさと来い」

 

「コイツ……!!」

 

 ヒロムの挑発に刃角は若干苛立ってしまい、苛立つ刃角は刀を強く握るなりヒロムを睨む。

刃角に睨まれる中ヒロムはユリナの方を見ると優しく伝えた。

 

「ユリナ、ここは少しうるさくなるからティアーユと避難してくれ。

すぐに終わらせてユリナのもとに向かうから、今は目を瞑ってティアーユから手を離すな」

 

「は、はい!!」

 

 ヒロムに言われた通りにユリナはティアーユの手を取ると目を閉じ、ユリナが目を閉じるとティアーユはヒロムにあとを任せるように視線を向けながら頷き、そして光を纏うとユリナを連れてこの場から消える。

 

 ユリナがティアーユと消えたことに敵の能力者や刃角は一瞬驚いていたが、獅角だけは冷静にヒロムを睨んでいた。

 

「総員……構えろ!!」

 

 獅角が叫ぶと能力者は銃器や剣を構え、銃器を構えた能力者はヒロムに狙いを定めると引き金に指をかける。

 

 敵が臨戦態勢に入った、それを受けてヒロムは首を鳴らすと今着ている制服の上着を脱ぎ捨てる。

 

「……来いよ」

 

「……ッ、撃て!!」

 

 獅角が合図を出すように叫ぶと銃器を構えた能力者は一斉に引き金を引き、引き金が引かれると次々に銃口から弾丸が放たれてヒロムの方に向かっていく。

ヒロムに向かっていく弾丸は勢いのある状態を維持したままヒロムに迫っていき、弾丸が放たれるのを確認したヒロムは左手を前にかざした。

 

「遅い」

 

 ヒロムが一言呟くと敵の能力者が放ったいくつもの弾丸が突然自壊するかのように爆発して消滅してしまう。

命中するよりもはやく離れた位置で弾丸が爆発して消滅したことによりヒロムは一切のダメージを受けずに終わり、弾丸を放った能力者は自らが弾丸が爆発して消滅したことに驚きを隠せず動きが鈍ってしまう。


「怯むな!!

ヤツのデータはすでに……」


 怯む味方の能力者を鼓舞するかのように刃角は叫ぶが、刃角が叫ぶ最中でヒロムは誰にも気づかれることも無く音もなく刃角の前に現れると精霊・フレイの武装である大剣を出現させて装備するとそのまま至近距離から刃角に斬撃を放ち、放たれた斬撃は刃角の六本の刀を砕くと刃角の体にめり込み、めり込むと身を抉りながら刃角を吹き飛ばしてしまう。

 

 吹き飛ばされた刃角は身を抉られた傷から出血し、出血のひどい刃角は砕かれた刀の柄を支えにして立ち上がろうとする。

 

 刃角が何とかして立ち上がろうとすると剣や槍を構えた能力者が刃角を助けるかのようにヒロムに襲いかかろうと走り出すが、ヒロムは大剣を光に変えると精霊・ロザリーの武装である斧にし、両手で斧を持つと刃に稲妻を纏わせながらその場で回転して巨大な斬撃を放って迫り来る能力者を蹴散らしていく。

 

「「ぐぁぁぁぁあ!!」」

 

「こ、この……」

 

「まだ生きてたのかよ」

 

 味方の能力者がヒロムの気を引きつけようとしたおかげか刃角は負傷しながらも何とか立ち上がるが、刃角が立ち上がるとヒロムは手に持つ斧を刃角に向けて勢いよく投げ飛ばし、投げ飛ばされた斧は刃角の右肩に刺さり、斧が右肩に刺さった刃角はその一撃によって倒れてしまう。

 

「がっ……!!」

 

「しぶとい野郎だな」

 

 倒れた刃角の肩に刺さった斧が光となって消えるとヒロムは精霊・ラミアの武装であるカタナを出現させて装備し、装備するなり刃角の息の根を止めようと走り出す。

 

「もう、しゃべるなよ」

 

「くっ……」

 

 トドメをさそうと迫っていくヒロム。だがそのヒロムの行く手を阻むように巨漢の鎧の男が立ちはだかる。

 

「貴様の相手はこの……」

 

「どけ」

 

 稲妻を纏うと目にも止まらぬ速さで刀を振り、刀が振られるとまだ話している途中の男の鎧が破壊され、さらに男も全身傷だらけで倒れてしまう。

 

 男に邪魔されたことにより刃角を仕留めようとしていたヒロムは若干苛立って舌打ちをし、刀を消すと精霊・テミスの武装である銃剣を出現させて装備する。

 

「クソが……邪魔するなよ」

 

 銃剣を構えるとヒロムは炎を纏わせながら一点に、集めた炎を解き放つと巨漢の男を巻き込むようにして刃角を炎で吹き飛ばす。


 吹き飛ばされた刃角と巨漢の男は全身に火傷を負う形で倒れ、倒れた先でそのまま意識を失ってしまう。

 

 刃角が倒れると獅角は彼を倒したヒロムを強く睨み、そして全身に魔力を纏うと全身の筋肉を肥大化させていく。

 

「ふんっ!!」

 

「……次はオマエか?」

 

「貴様か望むのなら相手になろう。

ただし、今回のオレは今までとは違う」

 

 筋肉が肥大化していく中、獅角の体は体毛のようなものに覆われていくと頭部が人のものから獅子の獣へと変化し、全身の変化が終えると獅角は人の姿から獅子の獣人へと変貌していた。

 

 変化した獅角の獣人の姿、それを見てもヒロムは平然としていた。

だがその反応すら予測の範囲内なのか獅角は雄叫びをあげるなり天から何かを呼び寄せる。

 

 呼び寄せられたもの……金色の獅子の頭を模した何かは獅角に迫っていく中で形を変えていくと彼の体と一体化し、獣人へと変化し獅角は金色の鎧を纏いし百獣の王たる獅子へと変貌を遂げた。

 

「ギアか……」

 

「そうだ、これがトウマ様よりオレに与えられたオレ専用の武装「レグルス・ギア」だ。

この武装はオレの能力たる獣化の力を極限まで高める力を持つと同時に内に秘めし野生の本能を解き放つことにより本来発揮していない全力を引き出す機能が備わっている。

トウマ様にこれを授けられてから一度しか使うことのなかったこのギアを使うことになるのは想定外だったが、オマエを殺す為ならば仕方がない!!」

 

 金色の鎧を纏い獣人となった獅角は雄叫びをあげると両手の鋭い爪に魔力を帯びさせるとヒロムの体の肉を引き裂こうと仕掛けるが、ヒロムは構える銃剣に炎を纏わせると獅角の攻撃を防ぎ止める。

 

 が、ヒロムが攻撃を止めると獅角はさらに雄叫びをあげ、獅角が雄叫びをあげるとどこからか無数の鎖が飛んできてヒロムの手足を拘束して身動きを封じてしまう。

 

「!?」

 

「油断したな「無能」!!

貴様がこちらに気を取られている間にオマエを倒すための布石を用意させてもらった!!」

 

 身動きを封じられたヒロムに語るように離す獅角は右手に力を溜めながら構え、獅角が力を溜める中ヒロムは自身の手足を拘束する鎖が飛んできた方に視線を向ける。

 

 視線の先には数人の能力者がおり、その能力者は何やら巨大な槍のような形状をした矢が装填された重火器を構えていた。

バリスタ、中世の時代に使われていたとされる弩砲だ。


「……なるほど」

 

「いくら貴様とてオレの力を何とかして防げてもあのバリスタの矢は避けられまい!!

あのバリスタは能力者の力を得ることでその速度は人の反応速度を超える速度で放たれる!!

いくらオマエが強くとも……」

 

「うるせぇ」

 

 獅角が話す中、それを黙らすかのようにヒロムは呟くと自身の手足を縛る鎖を力任せに強引に破壊し、銃剣に炎を纏わせると炎を赤く滾らせながらバリスタの方へと撃ち放つ。

 

 撃ち放たれた炎は放たれるとともに色を無くして消え、色を無くして炎が消えるとバリスタが爆破され、その周囲にいた能力者は全身を火傷しながら悲鳴をあげながら倒れていく。

 

 さらにヒロムは銃剣に炎を纏わせると炎を帯びた斬撃を獅角に向けて幾度と放つと敵を吹き飛ばすが、獅角は身に纏う金色の鎧「レグルス・ギア」によってダメージを受けずに終わってしまい、獅角はすぐに受け身を取ると構え直す。

 

「バカな……!?

今のは……狼角を倒した無色の炎か!?」

 

「だとしたら何だ?」

 

「ありえない……!!

無色の炎は「クロス・リンク」によって生じる力によって得られる産物のはずだ!!

それを何故「クロス・リンク」すらしていないオマエが単身で発動できるんだ!!」

 

「オマエには関係ない」

 

「……ふざけるな!!」

 

 関係ない、そう言うヒロムの言葉に腹を立てる獅角は力を身に纏うと咆哮とともに衝撃波をヒロムに向けて放つ……が、ヒロムは銃剣を投げ捨てると獅角の放った衝撃波を素手で握り潰すようにして止める。

 

「なっ……」

 

「角王の実力はこんなもんか?」

 

 いとも簡単に攻撃を止めてしまうヒロム、そして自身の力が呆気なく止められたことに驚きを隠せず動きが止まってしまう。

 

 動きが止まる獅角、その動きの止まった獅角を見たヒロムがため息をつくと獅角と「八神」の配下の能力者たちに向けて告げるように言った。

 

「この程度でオレを殺そうと思ってるなら出直せ。

もはやオマエらが相手になるような領域にオレはいない。

オマエらがオレに挑むことは自殺行為と何ら変わりねぇこと、時間の無駄だ」

 

「なら、試してみるか?」


 獅角や能力者たちにヒロムが告げた言葉に返すかのように誰かがヒロムに言い、その声のする方をヒロムが見るとそこには炎を纏った眼帯の男がいた。

 

 この男のこともヒロムは知っている。因縁がある相手だからこそよく知っている。角王が初めて現れて戦った時のヒロムの相手であり、そして以前もヒロムを倒そうと現れたこの男……拳角のことをヒロムは知っていた。

 

「オマエか……。

オマエが来ても何も変わらねぇよ」

 

「それはどうかな……」

 

 拳角は両手に炎を集めるとガントレットを装備し、さらに胴に不死鳥を思わせるアーマーを装着していく。

炎を彷彿とさせるような造形のガントレット、不死鳥を思わせる胴のアーマーは背中に翼を携えていた。

 

 この拳角の装備をヒロムは見たことがある。

フェニックス・ギア、前回拳角と戦った際にヒロムを倒すために使用した装備だ。

前回の戦いではこの「フェニックス・ギア」を装備した拳角は一度はヒロムを追い詰めようとしたが、ヒロムが隠していた一手によって拳角は敗北を喫している。

 

 傍目からすれば大差のない装備、その装備をした拳角の姿にヒロムは呆れていた。

 

「その装備で前はオレに負けたんだろ。

なのに同じ装備を使うのか?」

 

「たしかに同じだ。

だが、それはこれだけならばの話だ」

 

 ヒロムの言葉に対して拳角は言うと一つの拳銃を取り出した。

黒い装飾の拳銃、多少装備が増えた程度にしかならないその拳銃を持った拳角は銃口を天に向けて構えると何も無いはずの空へと弾丸を放つように引き金を放つ。

 

 引き金が引かれると拳銃は光を放ちながら拳角の「フェニックス・ギア」の胴のアーマーに取り込まれ、拳銃が取り込まれると拳角の全身は鎧に包まれていき、炎の翼を広げると不死鳥と機銃が合わさったようなデザインの仮面を装備していく。

 

「射角が遺した「バレット・ギア」とオレのギアを同時に纏った「フェニックス・バレット・ギア」、トウマ様の使用許可がなければ使えぬこの力を受けてみろ!!」



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