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レディアント・ロード1st season   作者: hygirl
天醒乱舞編・覇乱
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五五二話 トリロジー・ヘイロー


『キミじゃ……オレは倒せないのだからね』

 

 余裕を見せるトゥルースは警戒心を高めるヒロムに向けて言うと笑みを浮かべ、怪しさしか感じられないその笑みを見たヒロムは白銀の稲妻を身に纏う中で大剣を出現させるとフレイに渡し、自身は新たなに刀を出現させるとそれを装備して構えた。

 

「マスター、お借りします」

 

「好きに使ってくれ。

その代わり……勝つぞ」

 

「はい!!」

 

 トゥルースを倒し、勝つことを約束するヒロムとフレイ。

そんな二人の会話を聞いたトゥルースは呆れたような様子でため息をつくと彼らに現実を突きつけるかのように現状について冷静に話していく。

 

『キミたちの意気込みは勝手だしオレにとっては無意味に近いんだ。

真理の精霊といえど力不足、その精霊の主たる彼は精霊の霊装を間借りするか頭の中のイメージを具象化して力として代用する程度。

対するオレの力は未知数な上に判明してる力も改変の力でキミたちではどうにも出来ない状態。

それなのに、キミたちは勝つことを諦めないのか?』

 

「諦めるわけねぇだろ。

ここはオレの精神世界、その精神世界をオマエみたいな野郎に好き勝手されてたまるかよ」

 

『生憎だがこの精神世界での全てを管理支配していたのはオレだ。

今更キミの所有権を主張されてもオレがこれまでやってきたことに比べればキミなんて大したことは無い』

 

「なら、オマエに所有権があるってんならオレがそれをオマエを倒して取り戻すだけだ」

 

『不可能だ。

キミたち二人だけではオレには……』

 

「誰がマスターとフレイだけに任せるって言ったのよ」

 

 トゥルースの言葉を遮るようにどこからともなく声がするとヒロムの金色のブレスレットから七つの光が放たれ、放たれた光は人の姿を得ていくと精霊・ラミア、ティアーユ、ステラ、オウカ、アルマリア、メルヴィー、テミスへと変化し、七人の精霊はそれぞれが持つ武器を手に持ってヒロムの前に並び立つとトゥルースを倒すべく構えていく。

 

 八人の精霊。

それぞれが「天剣」、「天妖」、「天導」、「天紡」、「天鬼」、「天元」、「天思」、「天焔」と異名に天の名を持ち、彼女たち八人は天の字名を持つ精霊として他の精霊とは少し違う特別な精霊としてヒロムや彼女たちが認識している八人だ。


 その八人の精霊が並ぶ姿を前にしてもトゥルースは余裕が崩そうとせず、彼の余裕のある表情を見た長い紫色の髪の少女の精霊・ラミアは彼を挑発するかのように言葉を発していく。

 

「私たちの力を甘く見ない方がいいわよ。

どうせアンタなんて上から人を見下すくらいで強気な態度取るだけの口先なんだから」

 

『挑発のつもりかい?

残念だけど、キミたちのことは甘く見ていない。

どちらかと言えば……キミたちの力の底を知ってるから今更甘く見ようとか見下そうとかは微塵も思わないんだよ』

 

「よほど自信があるようね。

けど気をつけなさい……アンタの用意したニセのトゥルースってやつの中に閉じ込められたせいで私たちのフラストレーションは限界まで溜まってるから力の加減は出来ないわよ?」

 

『加減してオレを倒せると思ってるのなら呆れて何も言えないよ。

オレの持つ何万何億とも言える力を一の力しか持たないキミたちが束になったところで覆せないのだからね』

 

 ラミアの言葉を受けても余裕が崩れることなく保たれるトゥルース。

トゥルースの言葉にさすがにラミアたちも我慢が出来なくなってきたのか武器を強く握りながら今にも走り出そうとするが、そんな彼女たちを止めるかのようにヒロムは咳払いをすると彼女たちに伝えた。

 

「ヤツの言葉を真に受けるな。

冷静さを欠くのがヤツの狙い、ヤツの狙いにあえて付き合う必要は無い」

 

「マスター、アイツの好きに言わせたら……」

 

「元々ある事ない事口にするような野郎だ。

今更挑発されようが気にすることなく戦えばいいさ」

 

『何かあれば真っ先に冷静さを失って我を忘れて戦うキミが偉そうに言えたものだな。

どんなに平静を装ってもキミが一番心が乱れやすいんだけどね』

 

 言ってろ、とトゥルースの言葉にヒロムは冷たく返すと続けて敵対するトゥルースに対して言った。

 

「オマエを倒せるならオレはどんな手段も躊躇わずに選ぶが、オレよりも冷静な判断を見出せるのはフレイたちだ。

オレは短気ですぐ暴れるからいつでも判断を委ねられるようにしてるだけだ」

 

『なるほど。

自分の心の未熟さを承知の上での発言とはね。

でも、その精霊の冷静な判断を受けたところでキミたちはオレには勝てない』

 

「なら……試してやるよ!!」

 

 トゥルースの言葉に強く返すとヒロムは白銀の稲妻をトゥルースに撃ち放ち、白銀の稲妻が放たれるとヒロムはフレイたちとともにトゥルースを倒すべく走り出す。


 解き放たれた白銀の稲妻はトゥルースに襲いかかろうと向かっていくが、トゥルースは瞳を灰色に光らせると白銀の稲妻を触れることなく消し去り、走ってくるヒロムたちの姿には呆れた様子を見せながらもどこかやる気を見せるようにゆっくりと歩き始める。

 

『仕方ない……。

諦めの悪い愚王には仕置きが必要だな』

 

 ゆっくりと歩き始めたトゥルースは走り来るヒロムたちを視界に捉えたままゆっくりと歩を進め、ゆっくりと進むトゥルースを倒すべく刀を構えたラミアは薙刀を構えたオウカとともに先陣を切るべく真っ先に接近して武器で攻撃を放つが、ラミアとオウカの攻撃を前にしてもトゥルースは避けようとも防ごうともしない。

 

 ただ瞳を光らせると二人の攻撃が何かに止められてしまい、トゥルースの瞳が赤く光るとラミアとオウカは何かによって吹き飛ばされてしまう。

 

 ラミアとオウカは吹き飛ばされるも何とかして体勢を立て直して構えるとふたたび走り出し、吹き飛ばされた二人に変わるように今度は剣を構えたアルマリアと赤い刀身の剣を持ったステラがトゥルースに攻撃を放つが、またしてもトゥルースは瞳を光らせると二人の攻撃を止める。

……が、二人の攻撃が止められる中ライフルを構えたティアーユがトゥルースの背後へと一瞬で移動すると引き金を引いてトゥルースに向けて光弾を次々に撃っていく。

 

 放たれた光弾は次々にトゥルースを背後から撃とうと迫っていくが、トゥルースは背後を確認することなく瞳をさらに光らせると光弾は突然動きが止まってしまい、動きが止まった光弾は前触れもなく自壊して消滅してしまう。

 

「!!」

 

『それで意表を突いたつもりか?

その程度の動きくらい簡単に読めるんだが、ナメられたものだな』

  

 ティアーユの行動に対して呆れたような表情でため息をつくとトゥルースは左の瞳を黒く光らせ、瞳を黒く光らせると自身を中心として衝撃波を発生させ、発生した衝撃波はアルマリア、ステラ、ティアーユに襲いかかると彼女たちを勢いよく吹き飛ばし、トゥルースはさらに右の瞳を青く光らせると音も立てずに高速で移動して三人に追撃を食らわせて彼女たちを地に伏すように倒してしまう。

 

 高速による移動をやめ、そしてその場で足を止めたトゥルースは光らせていた瞳を元に戻すとヒロムの方を見つめながらゆっくりと歩を進めようとする。


 ゆっくりとヒロムに忍び寄ろうとするトゥルースに対してヒロムは武器を構えながら走って向かい、彼の援護をするべく杖を構えたメルヴィーがトゥルースに向けて魔力の弾と光弾を放っていく。

 

 放たれた魔力の弾と光弾は不規則な動きをとりながらトゥルースに迫っていくが、トゥルースは瞳を藍色に光らせるとどこからともなく炎を出現させてメルヴィーの放った魔力の弾と光弾を焼き消し、さらに瞳を紫色に染めると大地を穿つような強い衝撃を放ってメルヴィーをヒロムごと倒そうとする。

 

 が、二人に迫ろうとする強い衝撃に対してフレイとテミスは武器に力を纏わせタイミングを合わせるようにして斬撃を放つとそれを相殺してヒロムを守り、フレイとテミスによってトゥルースの一撃から免れたヒロムは稲妻を強く纏って加速するとトゥルースへと一瞬で距離を詰めて拳撃を放とうと……したが、トゥルースは瞳を白銀に光らせると音も立てずに全身を光に変えてヒロムの拳撃そのものを自身の体をすり抜けさせる形で回避し、瞳を元に戻すと同時に光に変えた肉体を戻すとトゥルースは右脚に魔力を強く纏わせながら回し蹴りを放ってヒロムを蹴り飛ばしてしまう。

 

「ぐぁっ!!」

 

「「マスター!!」」

 

『うるさいよ』

 

 蹴り飛ばされたヒロムが倒れると彼の身を心配してフレイとテミス、メルヴィーは彼に駆け寄ろうとするが、三人に視線を向けたトゥルースが瞳を緋色に染めると光の剣を出現させ、出現した光の剣は意思を持つように動くとフレイたちに向けて斬撃を放って彼女たちを吹き飛ばす。

 

 斬撃を受けて倒れてしまうフレイたち。

彼女たちが倒れる中、先陣を切るべくトゥルースに挑みかかって吹き飛ばされたラミアとオウカは体勢を立て直してもう一度攻撃しようとトゥルースに迫ろうとしていたが、トゥルースは瞳を桃色に光らせるとラミアとオウカの動きを止めてしまい、ラミアとオウカに手を触れることなく二人を宙へと浮かし、瞳をさらに強く光らせると二人に触れることなく吹き飛ばしてしまう。

 

 何が起きたかわからぬまま吹き飛ばされるラミアとオウカ。

トゥルースを倒すべく挑もうとしたヒロムと八人の精霊、九人がほぼ一斉に攻撃を仕掛けようとしたにもかかわらずトゥルースには傷一つ与えられていない。


 それどころかトゥルースに挑もうとした九人は為す術もなく圧倒され、トゥルースの力の前に倒れてしまっている。

 

「くっ……」

 

 トゥルースによって吹き飛ばされたヒロムは何とかして立ち上がり、フレイたちもヒロムに続くように立ち上がると武器を構えてトゥルースの方を向くが、立ち上がったヒロムたちの姿にトゥルースはただただ落胆するしか無かった。

 

『何度やっても同じこと。

キミたちではオレには勝てないよ』

 

「まだ終わりじゃねぇ。

オレたちはまだやれる」

 

『何をどう解釈すればまだ戦えるなどと勘違いできる?

キミたちは間違いなく実力でオレに劣っている。

それなのに何故、勝機が残ってるかのように諦めない?』

 

「はいそうですか、て諦められるほどオレらも単純じゃねぇんだよ」

 

 トゥルースに諦めないことを不思議に思われる中ヒロムは強い意志を抱きながら稲妻を強く纏うが、そのヒロムの纏う稲妻を前にしてトゥルースは舌打ちをするとヒロムを強く睨みつけた。

 

『キミのそれは勇敢などではなく無謀だ。

無意味なまま挑み続け、そして無駄に足掻く愚行。

キミの行動はまさにそれだ』

 

 だから、とトゥルースは全身に光を強く纏うとヒロムを睨んだまま彼に告げた。

 

『現実を分からせてやるよ。

キミたちが……オマエたちがどれだけ自惚れているかをな!!』

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