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レディアント・ロード1st season   作者: hygirl
天醒乱舞編・覇乱
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五四九話 サイファー・トランス


『返して欲しいなら返してやろう。

ただし、オマエには苦痛が伴うけどな!!』

 

 金色のブレスレットの中へとトゥルースの光の粒子を取り込んでいくヒロムが苦しみ出すとトゥルースは不敵な笑みを浮かべながら彼に向けて言い、トゥルースの言葉を受けたヒロムは何かによって苦しめられる中でトゥルースを睨む。

 

 が、トゥルースを睨んだところでヒロムを襲う謎の苦しみは止まることも無く、ヒロムが苦しむそれについて知るであろうトゥルースは余裕があるのか笑みを浮かべながら彼に話した。

 

『オレから取り戻してどうにかしようとして苦しんでんだろ?

苦しみが伴うなんて想定もしてなかったようだが、特別にオレが今オマエが受けるその苦しみ、それが何の苦しみか教えてやるよ』

 

「何をした……!!」

 

『オレは何もしてない。

やってるのはオマエ自身だ。

そう、オマエが「レディアント・ロード」の力とリンクしている精霊をオレから引き離して取り戻そうとしてるのが原因なんだよ』

 

「ふざけたことを……!!」

 

『オマエが引き抜いて取り戻そうとしている精霊は今オレの中で「レディアント・ロード」の力と繋がっている。

真理に到達して認められたものしか扱えぬ「レディアント・ロード」の力が間接的にオマエの中に流れているからオマエは今精霊を取り戻そうとするだけで苦しんでいる』

 

「そんな、デタラメ……」

 

『なら分からせてやろうか?』

 

 トゥルースの言葉を否定しようとするヒロムに対して冷たく言うとトゥルースは全身から青い光の粒子を強く放出させ、自身の首を掴むヒロムの左手から流し込まれる稲妻をかき消してしまう。

稲妻をかき消すとトゥルースはヒロムの左手を掴んで強く握りながら自身の首から手を離させ、ヒロムの手を離させたトゥルースはヒロムに蹴りを入れて仰け反らせると周囲に放出した光の粒子を無数の光の拳に変えて連撃を放ってヒロムを殴っていく。

 

 無数の光の拳に殴られるヒロムは防御も出来ずに全てをその身で受けてしまい、ヒロムが身動きが取れぬ中でトゥルースは右脚に赤い光の粒子を纏わせながら軽く飛んで回転するとヒロムに回し蹴りを食らわせて勢いよく蹴り飛ばす。

 

 蹴り飛ばされたヒロムは勢いよく地面を転がりながら倒れ、ヒロムが倒れるとトゥルースは右手に二色の光の粒子を集めると体勢を低くして地面を殴る。

トゥルースが二色の光の粒子集めた拳で地面を殴ると地面全体に強い衝撃が走り、地面を駆けた衝撃はヒロムに迫ると巨大な衝撃波となってヒロムに追撃を食らわせていく。


「がぁぁぁ!!」

 

 巨大な衝撃波を受けたヒロムはさらに吹き飛ばされて倒れ、精霊・フレイとラミアとの「アンリミテッド・クロス・リンク」を再現して身に纏っていた力が消えて元の姿に戻ってしまう。

 

 元の姿に戻ったヒロムは全身をひどく負傷しており、トゥルースは右手に二色の光の粒子を再び集めるとそれをヒロムに向けて放とうと手をかざす。

 

『一瞬でも感じた僅かな望み、それを断たれた今の気分はどんな気分だ?』

 

「くっ……」

 

『終わりだ、哀れなオレよ!!』

 

 トゥルースがヒロムに向けてかざした手に纏わせた二色の光の粒子を解き放とうとしたその時、それを邪魔するようにアナザーは弓を構えて魔力の矢を数発トゥルースに向けて射ち放ってヒロムへの攻撃を阻止しようとしたが、トゥルースはそれを視認することなく少し体を後ろに下がらせて魔力の矢を避けてみせた。

 

『バレバレなんだよ、アナザー。

オマエが狙ってることくらいはな』

 

『ならオレが邪魔する理由も分かってるよな』

 

 アナザーは構える弓に魔力を強く纏わせると魔力の矢をいくつも束ねた上で装填し、装填した魔力の矢にも魔力を纏わせると弓の弦を強く引いて射ち放っていく。

 

 束ねて放たれた魔力の矢はトゥルースに向かう中で纏う魔力を炸裂させて加速し、加速する中で魔力の矢は烈風を巻き起こしながら分散してトゥルースに襲いかかるが、トゥルースはヒロムに向けて解き放とうとした力を迫り来る矢に向けて解き放つと全ての魔力の矢を烈風ごと吹き飛ばして破壊してしまう。

 

 魔力の矢を破壊するとトゥルースは右手に光の粒子を集めるとそれを光の弓に変え、光の弓を手に取ると構えながら左手に光の粒子を用いて変化させた光の矢を持つと装填して狙いをアナザーに定める。

 

『本当の攻撃の仕方を教えてやろう』

 

 光の弓に装填した光の矢が射ち放たれ、放たれた光の矢はアナザーに迫っていくと射抜こうとするが、トゥルースの放った光の矢が迫って来るとアナザーは魔力の弓を光の矢に向けて投げるとそれを光の矢に射抜かせ、光の矢が魔力の弓を射抜くと同時にアナザーが指を鳴らすと魔力の由美が爆発して光の矢を破壊する。


『ほぅ……少しはやるようだな』

 

『これでもアナザーを代表して我らが王を導こうとしているんだ。

多少は戦えなきゃ示しがつかないんでね』

 

『示し、か。

己の使命を全うするのは結構だが、相手を間違えるなよ?

オレはオマエより……』

 

『間違うつもりは無い。

それに、オレはオマエを倒そうとして矢を放ったつもりはない』

 

 アナザーの言葉に不思議な顔をするトゥルース。

そのトゥルースの反応の一方でヒロムは起き上がると左手首に装着している金色のブレスレットの霊装から白銀の輝きを発していく。

 

「ソウル・リンク……」

 

 金色のブレスレットから発せられる白銀の輝きとともにヒロムは全身に白銀の稲妻を纏い、稲妻を纏うと精霊・フレイの武装と同じ大剣を手に持ってトゥルースに向けて構える。

 

 力を纏い構えるヒロム、その姿にトゥルースは呆れてため息をつき、そしてヒロムの無駄な足掻きに対して現実を突きつけるかのように冷たく言った。

 

『無駄な足掻きにも程があるぞ。

その力は精霊・フレイの霊装の力でありその力は他者との力を繋げ自身の力を高めるものだ。

精霊はオレの力と繋がり、普段はあるその精霊との繋がりが今は無いに等しいオマエがその力を纏ったところで何も変わらない。

一に一を掛けたところで何も変わらない、そんなのは分かりきった話のはずだ』

 

 ヒロムの纏う力、「ソウル・リンク」の力はトゥルースが言うようにヒロムがフレイたち精霊と強く繋がることで互いに力を高め合うものであり、かつてクロムを倒すためにヒロムはガイたちとも強く繋がることでこの力を最大限に引き出していた。

 

 だが今ヒロムは一人、手を貸してくれるアナザーが一人いるだけ。

いつもそばにいる肝心の精霊たちの姿はここにはなく、それどころかその精霊は今はトゥルースが身に宿す「レディアント・ロード」の力と繋がっているせいで敵の手中にある。

 

 トゥルースの話を信じればフレイたちはトゥルースの中にいることになるが、仮にそれが違ったとしても今ヒロムの元にいない事実は変わらない。

 

 その現実を突きつけるようにトゥルースはヒロムに言ったが、トゥルースの言葉を受けてもヒロムは動じない。

それどころか最初からそれについて言われることが分かっていたかのように堂々としていた。


「オマエの言う通りだよトゥルース。

今のオレにはフレイたちもいなければクロムとの戦いの時のようにガイたちもいない。

今この場にいるのは唯一オマエを攻撃しているアナザーだけだ」

 

『無意味だと分かっていて発動しているのか?

オマエの失った精霊をオレが持っていると分かった上で……』

 

「そうだ。

オマエの中にいることを確かめたからこそオレはこの「ソウル・リンク」の力を発動させたのさ」

 

『オレの中にいることを確かめた?

どうやって……』

 

 ヒロムがどうやってフレイたちのことを確かめたのか、それについてトゥルースが疑問に感じているとトゥルースの体から突然白銀の稲妻が放出されていく。

 

 放出された白銀の稲妻はヒロムの方へ向かっていき、ヒロムは自身の纏う稲妻と向かってくる白銀の稲妻を一体化させるとその稲妻を強く纏っていく。

 

『バカな……!?

何故オレの力がオマエの方へ……!?』

 

 何かが起きている、それだけはトゥルースにも分かっていた。

だがトゥルースの中から抜け出した稲妻がヒロムの纏う稲妻と一体化した理由が分からぬトゥルースはその疑問を抱くと共に答えを知るであろうヒロムを睨みつけ、そしてヒロムに全てを答えさせようと問い詰めるように言葉を強く発していく。

 

『何をした!!

オマエはオレの体に何をしたんだ!!』

 

「どうやら、理解してないようだな。

オレがオマエを倒すために必要なものをすでに取り返していることをな」

 

『取り返しているだと?

精霊どもはオレの中にまだいる。

「ソウル・リンク」を発動させても力の変化のないオマエのその今の状態が何よりの証拠だ』

 

「誰もオマエから精霊を取り返すなんて言ってないだろ」

 

 トゥルースの言葉に言い返すようにヒロムが呆れながら言い、そのヒロムの言葉を受けたトゥルースは一瞬思考が止まってしまう。

 

 先程ヒロムはフレイたち精霊を取り戻すべくトゥルースの首を掴み、稲妻を体内へと流し込んだ上で力任せに取り返そうとしていた。

 

 それなのに、ヒロムはこの期に及んで精霊を取り戻すつもりがないかのような口ぶりをしているのだ。

何故なのか?

何故ヒロムは精霊を取り返そうとしていないと言うのか?


 霊装の力たる「ソウル・リンク」を最大限に引き出すには少なくとも精霊が必要になる。

それなのに、何故……?


 トゥルースが謎に思っていると、ヒロムは身に纏う白銀の稲妻を強くさせ、ヒロムが稲妻を強くさせるとトゥルースの体から次々に光が放出されてヒロムの方へ向かっていき、ヒロムのもとへときた光は彼の周囲を舞うと彼の左手首の金色のブレスレットの中へと収まっていく。

 

『バカな……!?

何故オレの中から出た光がオマエの霊装の中に……!?』

 

「簡単な話だ。

さっきオマエに接触して首を掴んだあの時、オレが直接取り返すと思ったか?

オマエの中にどうやって取り込まれてるか分からないフレイたちを取り戻すのは不可能に近いのは残念ながら早々に気づいていた」

 

『ならオマエは……』 

 

「だからオレなりのやり方で仕込ませてもらった。

オマエが稲妻をかき消す直前まで……オマエの中にオレが「ソウル・リンク」で繋がるための道を!!」

 

 ヒロムが身に纏う白銀の稲妻を強くさせるとそれに呼応するようにトゥルースの中から次々に光が放出され、その光がヒロムの金色のブレスレットの中へと入っていく。

 

『ま、まさか……』

 

「返してもらうぞ、今度こそ。

正真正銘、オレたちの繋がりを!!」


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