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レディアント・ロード1st season   作者: hygirl
天醒乱舞編・覇乱
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五四七話 トゥルース


 吐血し、膝から崩れ落ちるように倒れたヒロムを見下ろすように冷たい視線を向けるトゥルース。

トゥルースの視線を受けるヒロムは血を吐き傷ついた体でありながらも何とかして起き上がるとフラつく体を立ち上がらせるとトゥルースを睨みながら拳を構える。

 

 拳を構えるヒロム、そのヒロムの姿を見るとトゥルースはどこか呆れた様子を見せながら彼に言った。

 

『これ以上は無駄だ。

奇跡が起きぬ限りはオマエがオレを超えることは不可能だ。

そしてここから先もオマエは何も出来ずに苦しみながら倒されるだけだ』

 

「……どけ」

 

『無駄だ。

オマエがこの先を進むことは……』

 

「どけって言ってんだよ。

何回も言わすなよ……!!」

 

 何をしても無駄だとトゥルースはヒロムの行動全てを否定しようとするが、ヒロムはそのトゥルースの言葉に屈することなく強く睨みながら彼にその場から退くように告げる。

 

 力の差を見せつけられても動じず、それどころかトゥルースの存在など構うことも無くフレイたち精霊を探すべく先に進もうとするヒロム。

そのヒロムの態度にトゥルースはため息をつくとヒロムを睨みながら忠告した。

 

『これまでこの精神世界で邪魔をしてきたヤツらに何とかして勝ってきた勘違い野郎のオマエに忠告しておくが、この精神世界での死は精神の死……つまりは意識の消失だ。

オマエがオレに挑み続け、オレに殺されればオマエという人格はこの精神世界から消滅し、そして外の肉体は器だけになる』

 

「知ってるさ……」

 

『知っておきながら何故やめない。

死ぬ事が怖くないのか?』

 

「なら聞き返すけどよ……。

オマエはオレがこのまま諦めなかったらそのうち諦めんのか?

オマエがオレを殺す気で止めようとする理由があるように、オレにもやめない理由があるんだよ」

 

『オマエとオレではそもそもの話が違う。

このまま行けばオレが勝つのは……』

 

「確かにこのままじゃオマエが勝つかもな。

けど……昔のオレならそこで終わってた」

 

 ヒロムの言葉、その最後の一言である「昔のオレなら」という意味が分からないトゥルースがどこか不思議そうに見ているとヒロムの左手首の金色のブレスレットから光が放たれ、放たれた光が刀と聖剣へと形を変えていく。

 

「クロス・リンク・オルタナティブ!!」

 

 ヒロムが叫ぶと刀と聖剣が眩く輝きながらヒロムを包み込み、光に包まれたヒロムは装いを変えるように青い装束に身を包みながら紫色のロングコートを羽織り、ロングコートを羽織ったヒロムは両手に紫色のグローブを装着して腰に膝ほどまでの長さのある青いローブを巻いていく。


 精霊・ラミアとセレナによる「クロス・リンク」、その「クロス・リンク」をヒロムは二人の精霊の力を借りることなく身に纏っている。

その事に少しばかり驚くトゥルースは何が起きてるのかを疑問に思いながらヒロムに問う。

 

『何故精霊のいないオマエが「クロス・リンク」を使える?

その力は新たに宿した闇の人格たるゼロに明け渡したはずじゃないのか?』

 

「明け渡した?誰が?

悪いがオレはこれを手放した覚えはない。

アナザーがオレに真理の到達が不十分だって指摘してきた時からこの方法はずっと改良しようと頭の中で試行錯誤してたし、ゼロに教えたのはこの方法での「クロス・リンク」のやり方だけだ。

ゼロに教えたからって忘れたわけじゃねぇんだよ」

 

『なるほど……つまり、オマエはオレたちを騙してたのか?』

 

「オレたちだと?

オマエもアナザーのように複数人いるってのか?」

 

『いずれ分かることだ。

今知ったところで……何も変わらんことだ!!』

 

 トゥルースのどこか意味深な言い方が気になったヒロムが聞き返すも彼は答えようとせず、それどころかヒロムを倒すべく全身に魔力を纏うと衝撃波のようなものを放っていく。

 

 トゥルースが放った攻撃に対してヒロムは深呼吸をするとどこからともなく刀を取り出して構えると闇を纏わせながら斬撃を放ち、放たれた斬撃がトゥルースの放った衝撃波のようなものを相殺していく。

 

 敵の攻撃を相殺した、その結果を受けたヒロムはこの状態ならばトゥルースに対応できると確信を得た。

 

「オレ本来のスペックがオマエに劣ってるってんならそれを補えばいいと思った。

結果はオレの予想通りだったようだけどな!!」

 

 このままなら戦える、そう確信を得たヒロムは闇を刀に強く纏わせると更なる斬撃をトゥルースに向けて放つが、トゥルースは右手に力を集めるなり放たれた斬撃を掴み止め、そして握り潰してしまう。

 

「!?」

 

『この程度で対等に渡り合えるとでも?

笑わせるなよ、腑抜けが!!』

 

 トゥルースと戦えると確信を得たヒロムの一撃に対してどこか怒りにも似た感情を抱くトゥルースは左手を天にかかげると自身の頭上に魔力を渦巻かせ、渦巻く魔力は光を発するとヒロムに向けて無数の雷を降り注がせる。


 降り注がれた雷は迷うことなくヒロムに襲いかかるが、ヒロムは刀に闇を纏わせながら雷を切り払って直撃を免れていく。

 

『その程度!!』

 

 雷を切り払って躱すヒロムにトゥルースは更なる攻撃を放とうと両手に力を集め、集めた力を解き放つとそれを無数の真空の刃にしてヒロムへと飛ばす。

向かってくる真空の刃、それを前にしてヒロムは刀と聖剣の二刀流になると闇と光を纏いながら真空の刃を破壊し、迫り来る攻撃を全て防ぐと闇と光を重ね合わせて巨大な斬撃を撃ち放つ。

 

 闇と光、二つの相反するはずの力が合わさったことによりこれまでの数十倍の力を有した斬撃が放たれてトゥルースに襲いかかる……が、トゥルースはその斬撃を前にしても動じずに両手を前にかざし、かざした両手を勢いよく交差させると斬撃を音も立てずに消滅させてしまう。

 

 斬撃が消滅すると斬撃の中に込められた力が衝撃となってこの精神の深層の空間に戦塵を巻き上げる。

巻き上げられた戦塵にヒロムは飲まれ、戦塵にヒロムが飲まれる中その中にいるヒロムに向けてトゥルースは言った。

 

『……その程度、と言ったはずだ。

まさかだが聞こえてなかったか?

オマエの力をどれだけ高めたとしてもオレは倒せない』

 

「なら……試してみるか?」

 

 トゥルースの言葉に言い返すように戦塵の中よりヒロムの声がすると烈風が巻き起こり、巻き起こった烈風が戦塵を吹き飛ばす。

戦塵が吹き飛ばされるとヒロムは新たな装いとなっており、黒衣を身に纏うとともに全身にアーマーを付け、左腕に盾を装備すると右手に剣を持ってマフラーを翻した。

 

 精霊・ヴィーナとアーシェ、二人の「クロス・リンク」だがヒロムはこの「クロス・リンク」をこれまで使ってはいない。

クロムとの戦いの時、ゼロが時間を稼ぐためにこの姿になったきり、その「クロス・リンク」を再現したのだ。

 

『いくら「クロス・リンク」を真似ても無駄だ。

その程度では届かない』

 

「試してみるかって言ったはずだ!!」

 

 ヒロムが剣を振ると彼の周囲に無数の短剣が現れ、現れた短剣は矢の如く撃ち放たれてトゥルースを貫こうとするが、トゥルースは右手を前にかざすと迫り来る短剣を全て何かで止めて触れることなく破壊する。


『無駄だと何度言えば理解する?

オマエのその低脳さはもう飽きた!!』

 

 トゥルースはヒロムに対して強く言うと右手を強く握り、彼の手に合わせるかのようにヒロムの頭上から魔力が塊で次々に降り注がれてヒロムを襲っていく。

 

 次々に降ってくる魔力に押し潰されていくヒロム。

全ての魔力の塊が降り注ぐとヒロムは無数の魔力の塊の中に埋もれて姿が見えなくなっていた。

 

『ようやくおわっ……』

 

 ヒロムが魔力の塊の中に埋もれて姿が見えなくなったことで終わったとトゥルースは感じてどこかへ去ろうとするかのように背を向けるが、トゥルースが背を向けると突然強い衝撃が魔力の塊を吹き飛ばしてしまう。

 魔力の塊が吹き飛ばされるとその下からヒロムがまた装いを変えて姿を現す。

 

 右半身が騎士を思わせるような白銀と青、左半身が蛇を彷彿とさせるような紫色の装飾が施された装束に身を包んだヒロム。

その姿は精霊・フレイとラミアの限界を超えた「クロス・リンク」である「アンリミテッド・クロス・リンク」であり、振り向いてそれを見たトゥルースは意外そうな顔を見せた。 

 

『アンリミテッド・クロス・リンクはその方法ではやるなとゼロに言っていたんじゃないのか?』

 

「それはアイツの体を思って言ったからだ。

オレが使う分にはこの不安定なやり方でも「アンリミテッド・クロス・リンク」だろうが関係ない!!」

 

 ヒロムは拳を強く握ると白銀の稲妻と紫色の稲妻を全身に纏い、稲妻を纏いながらヒロムはトゥルースに接近すると敵に殴りかかる。

が、トゥルースはヒロムの拳を受け流すと右手に魔力を集めて一撃を放とうとし、ヒロムはトゥルースのその一撃に対抗するように右脚に稲妻を集めて蹴りを放ってトゥルースの邪魔をする。

 

 ヒロムの放った蹴りを避けようとしたことによりトゥルースの攻撃は阻止され、攻撃を阻止したヒロムは続けて拳に稲妻を集めて連撃を放っていく。

 

『この力は……!!』

 

 放たれるヒロムの連撃を前にしてトゥルースは何かを感じたのか驚きを隠せぬ様子でヒロムを連撃を避け、連撃を避けるとトゥルースはヒロムから距離を取るように後ろに飛ぼうとした……が、ヒロムはトゥルースが後ろに飛ぼうとする瞬間を逃そうとせずに稲妻を大剣に変化させて斬撃を放ってトゥルースに直撃させる。


 斬撃を受けたトゥルースは勢いよく飛ばされると倒れ、ヒロムは大剣を構えてトゥルースが立ち上がるのを警戒しながら彼にフレイたちの居場所について訊ねた。

 

「フレイたちはどこにいる?

居場所について知ってるなら答えろ」

 

『……今それを聞くのか』

 

「答えろ。

オレはフレイたちを見つけて助けなきゃならない。

アイツらに迫っている天醒の危機からオレが……」

 

 思い上がるなよ、とトゥルースは冷たく言葉を発すると静かに立ち上がり、首を鳴らすと周囲に光の粒子を放出する。

 

 放出された粒子、その両刃剣の意味がわからぬヒロムは大剣を構える中で警戒心を高めるしか出来ず、トゥルースはそんなヒロムにある事を話していく。

 

『オマエは自分が如何にして覚醒の力を使ったのかを知らないようだから教えてやろう。

精霊の居場所を吐かせる前に殺すことを優先することを……そして、レディアント・ロードの力が持つ絶対の力を!!』

 

 トゥルースが強く言葉を発すると彼の瞳は赤と青に変化し、瞳の色の変化に応じるようにトゥルースの放出する光の粒子も二色へと変色していく。

 

 変化していく光の粒子、それを目の当たりにしたヒロムはトゥルースが口にした「レディアント・ロード」の名に戸惑い、戸惑う彼にアナザーは教えた。

 

『我らが王、あの光こそがキミがカリギュラたちを退けるために使った力だ』

 

「あれが……シンギュラリティ覚醒の証の力……!!」

 

『その身をもって知るがいい。

己の無力さを!!』

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