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レディアント・ロード1st season   作者: hygirl
天醒乱舞編・覇乱
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五四一話 レディアント・ロード

 

 光の粒子が舞う中で体が宙に浮くヒロム。

 そのヒロムの状態に葉王は待ち望んでいたかのような反応を見せ、その反応を見たグラムは彼の思惑を理解すると葉王に言った。


「どうやらキミがここに現れたのは彼をあの状態にするのを邪魔されたくなかったからだったようだな。

キミの努力の甲斐あって我々に邪魔されることなく無事に目的が果たせたようだが、この劣勢を変えれるほどの力は感じられないぞ?」


「たしかに望んでた通りになった。

けど、オマエが感じてるのはまだ片鱗でしかない」


「片鱗?

「一条」の能力者ともあるキミが「無能」と蔑まれる彼に希望を抱いてるのか?

 仮にあれが片鱗だとしてもキミの能力を上回るような力を秘めているようには思えないぞ」


 何とでも言え、と葉王は刀に力を入れてグラムの剣を押し切ると敵を蹴り、蹴られたグラムが葉王から離されるように軽く飛ぶと葉王は今のヒロムについて話していく。


「姫神ヒロムはようやくつくべき地に足をつけ、そしてその果てにある望みへと歩を進める。

オマエがどう感じようとこれからアイツが巻き起こす力には何も出来ない」


 葉王がヒロムについてグラムに話しているとヒロムの瞳は光を発し、ヒロムのピンク色の瞳は左は銀、右は金に変色すると周囲にさらに光の粒子を放出していく。


 放出された光の粒子はヒロムの周囲で激しく渦巻き、渦巻く光の粒子は吹き飛ばしたイヴナントだけでなくキリスやバローネの動きを封じるかのように周囲に広がりながら圧をかけていき、その上で負傷して倒れるガイたちを包み込むと彼らの傷を少しだが治癒させていく。


 イヴナントやキリスたちの動きが封じられ、さらにはガイたちの傷を少しとはいえ治癒する光の粒子。

 その光の粒子の奇跡を目の当たりにしたグラムは驚きを隠せぬ様子で立っており、グラムが驚くことなど無視してヒロムはさらに光の粒子を放出していく。


 そして……


 光の粒子を強く放出するヒロムの変色した瞳はさらなる光を発すると左は青、右は赤へと輝きを放ちながら変化していき、瞳の色が二度目の変化を遂げるとヒロムの放出する光の粒子は赤と青の二色の光の粒子へと変化していき、変化した光の粒子はヒロムを包み込む柱のように彼の周囲を舞っていく。


「ぐっ……」


「こ、これは?」


 負傷して倒れ、意識を失っていたはずのガイたちの傷が少し治癒された影響なのか気を失っていた彼らは目を覚まし、今起きてる全てを理解出来ずに戸惑いながらも光の粒子に包み込まれるヒロムの方を見る。


 彼が何かしてくれた、それだけは分かるガイたちは何を言うでも何をするでもなくただ彼のことを見ており、視線を受けるヒロムは自身を包み込む赤と青の二色の光の粒子を取り込むと取り込んだ粒子と同じ色の赤と青の光を身に纏いながらゆっくりと地に足をつける。


 ヒロムが光の粒子を取り込み、地上に足をつけると敵を圧して動きを止めていた光の粒子も消え、動きを封じる光が消えるとイヴナントはわずかな時間奪われていた自由を取り戻して雄叫びにも似た声をあげるとヒロムに向けて魔力をビーム状にして撃ち放つ。


 イヴナントがヒロムに攻撃を放つ中、グラムは今のイヴナントの状態について教えるかのように葉王に言った。


「イヴナントの制御はもはや不可能、そしてあの機体のリミッターは無理やりリュクスが外したがためにオレには止められない。鬼桜葉王、キミが信じる奇跡の力でもどうにもできない」


「それは……どうかな?」


 グラムの言葉に葉王は何か秘策があるかのような言い方をし、葉王の言葉にグラムが不思議に感じていたその時だ。


 ヒロムに向けて放たれたイヴナントの魔力のビームは迷うことなくヒロムへと向かって飛んでいくが、ヒロムがイヴナントの方へと体を向けると赤と青の光の粒子が彼の前に渦巻きながら現れるとイヴナントの放った魔力のビームを防ぎ止めて消し去ってしまう。

 魔力のビームを止めた光の粒子は数箇所に分かれるように集まると光の刃となり、光の刃となった粒子は輝きを発するとともに消えていき、光の刃が消えるとヒロムはゆっくりと一歩踏み出した。


 ……が、一歩踏み出したはずのヒロムは誰にも気づかれることなくイヴナントに接近しており、イヴナントがヒロムに接近に気づい時には消えたはずの光の刃が次々にイヴナントの装甲を削ぐように斬りかかっていき、さらにヒロムが右手を横に広げると彼の手に光の粒子が集まっていき、集まった光の粒子は大剣となる。


 光の粒子の大剣をヒロムは手に取ると振り上げ、振り上げた光の粒子の大剣をヒロムが勢いよく振り下ろすとイヴナントの体を大きく傷つける。


 だが、ガイたちはヒロムのイヴナントへの攻撃をまずいと思っていた。


 イヴナントへの攻撃、それはイヴナントの内部に組み込まれている人間へダメージが逆流していくシステムにより中の人間を傷つけることになる。

 ここまでヒロムは無関係かもしれない中の人間を傷つけぬように攻撃を躊躇っていたのに、今のヒロムは迷いがなかった。

 確実に倒すべく放たれた一撃、その一撃を受けたイヴナントは装甲は激しく損傷すると共に深く抉られ、深く抉られた装甲の中からは内部機構となる骨格や配線が姿を見せていた。


  イヴナントの機構、その機構が未だ作用しているのなら内部構造がむき出しになるようなダメージを与えられれば中の人間は無事では済まない。

  そのはずなのだが、ヒロムの迷いのない一撃を受けたイヴナントは一切の声も出さず、声を出すどころか突然胴部分の装甲を展開すると中に格納しているケーブルに繋がれた女を外へと露出させる。


  ケーブルに繋がれた女が姿を見せると光の刃はケーブルを切断して女をイヴナントから離れさせ、女がイヴナントから離れるとヒロムは光の粒子の大剣をさらに振ってイヴナントを両断すると完全に機能を停止させて破壊する。

破壊されたイヴナントは勢いよく倒れ、イヴナントが倒れるとヒロムは光の粒子の大剣を消してグラムの方に視線を向ける。

 

「バカな……!?

イヴナントがフィードバックを発動せぬまま破壊されるなんて……」


 想定外すぎる展開に動揺を隠せないグラム。

イヴナントの破壊以上にヒロムの今の力が彼の想像を遥かに凌いでいる。

 

 そのヒロムはグラムに視線を向けるなり一方ずつゆっくりと歩を進め始め、ヒロムが動き出すとグラムは剣を構えて迎え撃とうと考えた。

が、そんなグラムが構えようとする中で彼と一種の取引をして手出しをしないと約束したはずの四条貴虎がヒロムを倒そうと走り出した。

 

「四条貴虎!?」

 

「何とかすると口にしたオマエが動揺してるようじゃ見てられないな。

こっちとしては何よりもデータが欲しいからな」

 

 グラムとの取引を破棄するかのように貴虎は言うと魔力を全身に纏ってヒロムに迫っていき、ヒロムに接近した貴虎は拳を強く握るとヒロムの顔面を殴ろうと一撃を放つ。

放たれた一撃、その一撃は真っ直ぐヒロムの顔面に向かっていって彼を殴ろうとする……が、貴虎の拳がヒロムの顔に命中するその瞬間、貴虎の拳の攻撃軌道上に光の粒子が壁となるように現れて拳を止め、ヒロムへの一撃を阻止してしまった。


「何……!?」

 

 拳の一撃を止められた貴虎が驚いているとヒロムは光の粒子へと姿を変えて消え、光の粒子となって消えたヒロムはいつの間にか光の粒子で四人のヒロムとなって現れると貴虎に連撃を食らわせ、そして四人のヒロムが重なり合って一人になると光の粒子が烈風となって貴虎を吹き飛ばす。

 

 突然現れた四人のヒロムによる連撃と、四人のヒロムが一人となって放たれた烈風を受けた貴虎は勢いよく吹き飛ばされてしまい、負傷した体を何とかして立ち上がらせると全身に魔力を強く纏った。

 

「その力、ラーニングさせてもらうぞ」

 

 ヒロムの一撃を受けた貴虎は瞳を光らせると全身の傷を消してヒロムの力に対抗できるように自身の強化を試みた。

ヒロムと真助が苦戦した貴虎の力、貴虎はその力でヒロムの力に対抗しようとしていた。

しかし……

 

 ヒロムの右の瞳が光ると青い粒子が貴虎に押し寄せていき、押し寄せた粒子が輝きを発すると貴虎の瞳の光が消え、彼の体から傷は消えることなく終わってしまう。

 

「何……ラーニングが出来ないだと!?」

 

「下がっていろ」

 

 貴虎が自身の行おうとしていたことが実行されなかったことに動揺を隠せないでいるとキリスがサーベルを構えながら走り出し、バローネも弓を構えるとヒロムに狙いを定めて魔力の矢を射ち放つ。

取引により手出しを止められていた貴虎とは異なりグラムの命令で待機していたキリスとバローネ、二人はグラムが危険に晒されると判断して己の意思で命令に背いてヒロムを倒そうとしている。


 だが、そんなことはヒロムには関係ない。

ヒロムは光の粒子を周囲に舞わせるとバローネの放った魔力の矢を防ぎ止め、防ぎ止めた魔力の矢を光の粒子の輝きで破壊すると光の粒子の一部を弓へと変化させて装備すると光の矢を射ってバローネに命中させる。

 

 光の矢を受けたバローネは負傷して膝をつき、バローネが膝をつくとヒロムは弓へと変化した光の粒子を元に戻すと今度は刀に変化させ、変化させた刀に紫色の稲妻を纏わせると一閃を放つ。

 

 放たれた一閃、それは一つの斬撃になるかと思われたが、紫色の稲妻が強く光ると無数の斬撃となって飛ばされてキリスを襲っていく。


「ぐぁぁぁあ!!」

 

 無数の斬撃を受けて負傷してしまったキリスは倒れてしまい、貴虎、バローネ、キリスがヒロムに倒されるとグラムは剣に光を強く纏わせていく。

 

「その力……想定外だ。

ひとまず退くしかなさそうだ」

 

「逃がすと思うのか?」

 

 撤退を考えるグラムを阻止すべく葉王は刀を構えて斬撃を放とうとするが、グラムが剣を天に掲げると彼の剣が纏う光が眩く発光して葉王たちに向けて強い衝撃を放って全てを阻止する。

 

「!?」

 

「まだ決着をつけるときではない。

我々の計画の最終段階、そこに到達した時にキミたちが未だ抗うというのなら相手になろう」

 

 グラムはヒロムや葉王たちに言葉を残すように言うと光をさらに強く放ち、貴虎、キリス、バローネ、ヘヴンを光に変えて消し、そして自身の全身も光に変えると消えてしまう。

 

 敵が消えた、それによって戦闘は終わりを迎えようとしていた。

そして……敵がいなくなるとヒロムの瞳は元に戻り、光の粒子が消えると彼は意識を失って倒れてしまう……

 

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