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レディアント・ロード1st season   作者: hygirl
天醒乱舞編・覇乱
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五三八話 舞い降りる光臨


 戦場となっているクルージング船とその周囲の凍結された海面付近には破壊された軍艦や戦闘機が散らばっていた 。


 そして、凍結された海面の上では残党兵を白崎夕弦が岩城ギンジと栗栖カズマとともに倒していた。


 三人が相手にする残党兵の戦闘力は大したことがないのか三人は次から次に倒していたその様子を……天高くから赤い魔力の翼を広げた鎧の騎士が眺めていた。


「……シンギュラリティへの到達者は増加している。

計画通り順調にその数を増やしている。

我々カリギュラの至高の目的は果たされる」


 だが、と夕弦たちの戦いを眺める騎士はクルージング船の方へと視線を向けると一人語る。


「鬼桜葉王……彼の介入は予想外だったな。

それも……移動手段に船や飛行機を使うことも無く自力で到達するとはな。

シンギュラリティの能力者は到達したものの特有の気を発するとリュクスが言っていたが、鬼桜葉王もそれを頼りにここまで到達したか」

(そもそも何故彼はここに現れた?

デモ機のハッキングの件からしたら彼がハッキングした犯人だというのはたしかだが、何故現れたんだ?

彼にはここに来てまでやるべきことがあるのか……?)


「リュクスが言うには「一条」の計画にはシンギュラリティの能力者が必要らしいが、ただ必要なだけなら今現れる必要はないはずだ」

(ならば何があの男をそうさせた?

あの船にあの男が介入してでも我々を阻みたい理由があるのか?

あるとすればそれは一体…)


 鬼桜葉王の出現とその理由について考える騎士。

その騎士の思考は時間をかけることもなく答えを見つけ出し、その答えに騎士は笑ってしまう。


 顔は仮面で覆われていて表情は分からないが、声だけから判断するなら彼はいま笑っている。


「……なるほど、鬼桜葉王。

キミがここに来た理由、実に面白いよ。

そうまでして我々に「一条」の計画を邪魔されたくないとはな」

(これまでの彼の行動から考えても不自然ではないし、何よりこの場にこのタイミングで現れたのが何よりの証拠だ)


「これは予想以上に面白くなりそうだ。

鬼桜葉王、キミがここに来て守ろうとしたその行動がどうなるのか……それをその身を持って知り、そしてその目で見届けるといい。

刻まれ始めた破滅へのカウントダウンは止まらないのだからな」








***


「はぁぁぁあ!!」


 雷を強く纏うシオンはキリスを倒すべく目にも止まらぬ速さで駆けると接近して拳の連撃を放つが、キリスは青い光を発しながらシオンの攻撃を避けると即座に彼の背後へ回って一撃を放とうとした。



 しかし……それを邪魔するかのように冷気を纏ったシンクが天から氷柱を次々に降らせてキリスの攻撃を妨げ、迫り来る氷柱をキリスが避けると今度はソラが炎を放ってキリスに直撃させる。


「がっ……!!」


「「はぁ!!」」


 ソラの炎を直撃で受けたキリスは怯み、怯んだキリスに精霊・フレイとラミアは接近すると一撃を食らわせ、シオンは拳に雷を集約すると渾身の一撃を叩き込んでキリスを殴り飛ばす。


「ぐぁっ!!」


 シオンの一撃を受けたキリスは大きく吹き飛び、吹き飛んだ先で倒れそうになるも何とかして立ち上がるとサーベルを構えるが、キリスが構えるよりも先にシオンは敵に接近すると連撃を放ってキリスに構える隙を与えぬように襲いかかる。


 シオンの連撃が迫る中でキリスは避けることを強いられてしまい、避けることを強いられているキリスはサーベルを構えたくとも構えられずにいた。


「くっ……!!」

(コイツ、急に動きが良くなったな……!!

何がきっかけなのかは分からないが、とにかく今のコイツはさっきまでと違う!!)


「オラァ!!」


 シオンの動きの急激な変化に対して驚きを隠せないキリスの動きが一瞬悪くなるとその一瞬の隙を逃すことなくシオンは強力な一撃を放とうとし、シオンが放とうとする一撃が迫る中キリスは慌ててサーベルを盾にするようにしてシオンの一撃を止めた。


「くっ……!!」


「どうした?

さっきまでと比べて動きが悪くなってるぞ?」


「そう言うオマエは……何があったか知らないが動きが変わったな」


 シオンの言葉に対して言い返すとキリスはサーベルでシオンの拳を押し返し、シオンを押し返すとサーベルに魔力を纏わせて一撃を放とうとする……が、キリスが攻撃しようとすると氷柱と炎が両サイドからキリスに襲いかかってそれを邪魔する。


 氷柱と炎、二つの攻撃によって放とうとした一撃を阻まれたキリスは迫り来る二つの攻撃を避けるべく飛び上がり、攻撃を避けるとキリスは再度シオンに攻撃しようと構え直そうとした。


 しかし、キリスが構え直そうとした時にはシオンの姿は彼の視界にはなく、先ほどまでいたはずの場所にも姿はなかった。


「何!?」


「隙だらけだ!!」


 シオンを見失ったキリスの動きが止まるとシオンは雷を強く纏いながらキリスの頭上に現れ、現れるなりシオンはキリスの頭を強く蹴り、さらに両手に雷を纏わせると勢いよく撃ち放つ。


 撃ち放たれた雷はキリスに直撃し、雷の直撃を受けたキリスは空から地上へと落下してしまい、落下した先でキリスが倒れるとシオンは着地して雷を纏いながらキリスの方へと向かって歩く。


 シオンだけではない。

ソラとシンク、そしてフレイとラミア、彼ら彼女たちもキリスを倒すべく迫ろうとしていた。


「くっ……!!」

(紅月シオン、あの男のあの目のせいか?

あの男のあの目の力がオレの動きを……?

だとしたらオレの発動してる例の力は……)


 自身を倒すべくシオンたちが迫る中キリスは倒れた体を起き上がらせるとサーベルを構えようとするが、構えようとするキリスに対してシオンは彼の動きの変化とそれについての見解を述べていく。


「オマエのその動きの変化、オレの「晶眼」が一瞬でも読めなかった謎……冷静に考えれば答えは身近にあった」


「何?」


「フレイとラミアが答えを教えたのさ。

この「晶眼」が見据えるべきものは先の道、そしてオレが何故オマエの動きを未来予知出来なかったのか……それはオマエがヒロムの流動術と同じかそれ以上のシステムをその鎧に仕込んでるんだろ?」


「……なるほど。

アイツの動きが急激に変化したのはヒロムの「ソウル・ドライヴ」の高速移動に先読みの力が合わさったからか」


「それなら納得だな。

オレたちの攻撃を散々受けてたアイツが別人のように動きが変わったのもな」


「ヤツらカリギュラの鎧とアップグレードを内包したデバイスシステム。

バッツの他人の精神に干渉する力をコピーしたり、ゼロが発動させた「ソウル・ドライヴ」をコピーしたのと同じように流動術をもその全てをデータ化して取り込んでおけばオレの「晶眼」を上回る先読みに変換させることは可能なはずだ」


 シオンの導き出した答え、その答えにシンクとソラも納得しており、答えを導き出したシオンは雷を右手に集めて雷の槍をつくるとキリスに突きつけるように構えながら告げた。


「タネが明かされた以上、ここから先はやり方を間違えなければオマエに苦戦はしない。

覚悟を決めろ……オマエはここで倒す」


「……少し手の内を明かせたからと調子に乗るなよ」


 雷の槍を突きつけるように構えるシオンの言葉を受けるとキリスはどこか殺意に満ちたような口調で言い返し、シオンの言葉に言い返したキリスは自身の力についてわざわざ丁寧に話していく。


「たしかにこのデバイスにはあの男の流動術のデータも組み込まれている。

だがそれで済む話ではない」


「まだ何か隠してるってのか?」


「この力……擬似的本納解放式システム「ワイルド・ソウル」は人間の普段は理性によって抑え込まれている限界のリミッターを強引に外して従来の力の数倍に引き上げる機能がある。

流動術がごく僅かな脳領域によって行われているのだとすれば……この力を発動すれば活動する脳領域は増加、さらに身体機能もリミッター解除によって向上される」


「つまり、人為的に限界を引き上げてヒロムの流動術を無理矢理使ってるってか」


「その程度でヒロムの流動術を越えられると思ってるとはな」


 キリスが話すとソラとシンクはヒロムが考案した流動術に対するキリスの認識についてどこか非難するような言葉を発する。

が、ソラとシンクの言葉を受けてもキリスは動じない。

それどころか彼には余裕があるように見えた。


「オマエたちがどれだけ足掻いてもオレはまだリミッターを一割程度しか解除していない。

対してオマエたちはここに至るまでほぼ全力、オレがさらにリミッターを外したら……オマエたちに勝ち目はない」


「まだ余裕ってか?」


「おもしれぇ、ならその余裕ごとオマエを倒すだけだ」


 キリスの挑発にも似た言葉にシオンたちはやる気を見せ、力を強く纏うとキリスを倒すべく走り出そうと動き始めた。


 動き始めたのだが……突然、四条貴虎が現れる際に爆破して開けられた天井の大きな穴から眩い光が射し込んでくる。


 射し込んでくる光に気づいたシオンたちの動きは止まり、別場に戦いを続けるイクトやガイ、ゼロの動きも止まって全員の視線が光の方へと集まっていく。


「まさか……」


 全員の視線が光に集まる中、射し込んでくる光を見たキリスは何かを信じられないような反応を見せ、キリスがその反応を見せていると光が射し込む中天井の大きな穴から何かがゆっくりと降りてくる。


 赤い魔力の翼を羽ばたかせ、全身真紅の細身の鎧に包み青い瞳のようなものが施された仮面をつけ腰に金色の剣を二本携えた騎士。


 光が射し込む中魔力の翼を羽ばたかせるその騎士はゆっくりと舞い降りて地に足をつけると魔力の翼を消し、魔力の翼が消えると天井の大きな穴から射し込む光は消える。


 派手な演出とも取れる光と現れた真紅の騎士、その騎士の出現にヒロムたちはその騎士が間違いなく敵であると即座に判断し、キリスは真紅の騎士が現れると驚きを隠せぬ様子でその騎士に向けて言った。


「グラム!!

何故アンタがここに現れた!!」


「キリス、その問いには簡単に答えよう。

計画は当初の見込みよりも遥かに速い段階で次の段階へと達しつつある。

キミたちが計画のため尽力してくれたおかげでな」


「では……」


「ここで次の段階へと進める準備をする。

そのためにオレが来た」


 真紅の騎士……グラムはキリスに向けてここに現れた理由を話すとヒロムの方を向き、グラムがヒロムの方を向くと彼の視界から妨げるように葉王がヒロムの前に立つ。


 その葉王の行動にグラムは何故か嬉しそうに言った。


「やはりこのタイミングでキミが現れたのはそういう理由か。

おかげでオレの中での疑問が解決したよ」


「オマエの疑問なんざどうでもいいが、オレもオマエの狙いくらいなら何となく分かってんだよ」


「そうか。

ではオレの目的を果たさせてもらうぞ」


「させるかよ。

オマエに……計画の鍵は奪わせねぇ」

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