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レディアント・ロード1st season   作者: hygirl
天醒乱舞編・覇乱
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五〇二話 伸ばすべき手


「コイツのことはオレに任せとけ」


ソラを殴り飛ばしたヒロムはゼロとノアルに向けて言うと拳を構えて殴り飛ばしたソラを見ていた……が、ソラを殴ったヒロムが身に纏っていたクロス・リンクのガントレットはソラを殴った際に彼が全身から放出させている炎の熱を受けたのか焼け焦げていた。


「……マジかよ」

(ただ一発殴っただけでガントレットがやられたのか?

だとしたらソラの身体は今放出する炎の熱を直で受けて焼かれていてもおかしくないはず……)


「……話に聞いてたより厄介だな」


「ヒロム、大丈夫か?」


ソラを殴ったただの一撃だけでガントレットが焼け焦げたこと、そしてそこから考えられるソラの体への負担を瞬時に頭の中で理解したヒロムはガイとシオンから報告を受けた以上に今の置かれている状況が危険だということを厄介に感じているとゼロがヒロムの身を案じて声をかける。


「大丈夫だ。

ガントレットが焦げただけで肌は焼けてない」


「その程度で済んでラッキーだったかもな。

アイリスとイシスのクロス・リンクじゃ対処出来ねぇし無理矢理あの熱を吸収しようとしたらアイリスが無謀だって止めるんだ」


「……人間の体の大半は水分だ。

その人間と魔力の体の精霊との間にあるオマエの体が再生能力を持ってようと耐えられる保証はない。

アイリスが無謀だって言うのも分かるし、オレがやったらやったで電子レンジで卵を爆発させるかのように終わるだろうな」


「アイリスも真理の精霊になったんだぞ。

多少ならあの熱を……」


「普通の炎なら無理をしても問題は無いだろうな。

けど……アイツの炎は魔人の炎、全てを焼く魔人の炎が熱吸収されてその効力を失ってくれる保証もないからこそアイリスは止めてるんだよ」


「……なるほど。

ならセラを軸にして試すか?」


無理だな、とヒロムはゼロの提案を即答で拒み、低案を拒否されたゼロは少しイラッとしながらヒロムに言った。


「おいヒロム……。

アイリスが無理ならよぉ、魔力や能力の攻撃を無効に出来るセラの「天霊」に頼るのが得策なんじゃねぇのか?

それなのに無理って……どういうことだ?」


「今ここでゼロが言う方法でやったとしてもセラの「天霊」の力を及ぶのは外側の炎だけ。

放出し続ける炎を一度塞き止めるようなことをしてもまた溢れてくるから無駄になる。

根本の解決を望むなら……ソラの精神を安定させてあの炎を完全に止めるしかない」


「ヒロムの言う通りかもしれないぞゼロ。

あの炎がその無効にする力を上回っていたら効果はないまま終わる」


「……それにセラを軸にしてやるにしても「天霊」の力を発揮させるにはソラに接近することになる。

さっきオレが近づけたのが奇跡だってなら……オマエの方法はその奇跡に縋ることになるぞ?」


「……わかったわかった、今のは無しだ。

その代わり……オマエの考えてる方法を聞かせろ。

任せとけって言ったからには何かあるんだよな?」


「……ゼロ、アルマリアとメルヴィーのアンリミテッド・クロス・リンクを発動していいぜ」


「は?

あれはオマエの奥の手として……」


「まずはあの炎をどうにかしたい。

どうにかしてあの炎をどかしてくれればオレが何とかする。

そのためにもゼロ、オマエがあの強力なアンリミテッド・クロス・リンクを使ってくれた方が助かる」


「……オマエが言うならそうしてやるよ」


ヒロムの説明にどこか不満があるかのような態度を見せながらも承諾するとゼロは今身に纏っている「クロス・リンク」を解除して元の姿に戻るとともに右手首の黒いブレスレットから光を発すると精霊・アルマリアとメルヴィーへと変化させる。


そして……


「クロス・リンク……「天元」アルマリア、「天思」メルヴィー!!」


ゼロが叫ぶとアルマリアとメルヴィーは魔力となって彼の周囲を舞うとブラックホールとなってゼロを飲み込み、ブラックホールが消えると同時に消えたはずのゼロが音もなく装いを変えて現れる。


全身に白の装束に身を包ませ、手首や足首には黒いリングを装備したゼロは黒いマントを翻すとどこからともなく剣を出現させて手に持って構えた。


「……これでいいか?」


「ああ、上出来だ。

これでこっちの用意は出来た」


「待ってくれヒロム。

オレはどうすればいい?」


ゼロが「アンリミテッド・クロス・リンク」を発動して準備した一方、指示を待つノアルはその指示を聞き出そうとヒロムに訊ねた。


ノアルが訊ねるとヒロムはイクトたちが見張るイグニスの方を見るとノアルに説明した。


「ノアルはイクトたちの方に向かってくれ。

イグニスは何とか暴走を抑え込んでる状態、オマエの魔人の力で干渉して抑えられるならその力で抑えてイグニスをもとの状態にしてくれ」


「そこからは?」


「ゼロがあの炎をどうにかして、イグニスが元に戻れば……ソラの精神に干渉できる」


「だがバッツは……」


「心配するなよゼロ。

今回の場合はバッツはいらない。

オレとソラにしか出来ない方法で干渉してやるから任せとけ」


「?」


「オレとゼロの役目は分かったが……。

ヒロム、オマエはどうやってソラに?」


「……こうするさ」


ヒロムは今纏う力を消すと精霊・テミスの武器である銃剣と精霊・フランの武器である黒剣を出現させ、出現した二つの武器を手に持つと武器に炎を纏わせる。


「クロス・リンク」


ヒロムが呟くと炎を纏った武器が赤と黒の炎となってヒロムを包み込み、ヒロムは赤と黒に左右色分けされたような装束に美を包むと同じ配色のコートを纏い、そしてガントレットとブーツを装備すると銃剣を装備して構えた。


そのヒロムの姿の変化にゼロは驚きを隠せなかった。


「オマエ……今どうやって……!?」


「イラつく話だけどヘヴンが独自の方法でクロス・リンクを会得しやがってな。

そのやり方をオレたちのやり方で再現した。

結果はテミスたちの補助がない分ピーキーだけどその分高出力だ」


「今テミスとフランはどこに……?」


ここよ、とゼロの疑問に対してヒロムの金色のブレスレットから光が出ると同時に声がし、ブレスレットから出た光は精霊・テミスとフランへと変化する。


現れた二人の精霊を見たゼロは今のヒロムの「クロス・リンク」について理解し、そしてその「クロス・リンク」について笑ってしまう。


「すげぇし……笑えるわ……。

オマエは何でもやっちまうんだからな」


「土壇場の即席品だ。

改善の必要があるけどな」


「どっちにせよ絶対的な火力を誇る無色の炎を操るそのクロス・リンクなら熱に耐えれるし、熱に強いテミスとフランがこうして援護に回れるのなら何とかなりそうだな」


「ああ、だから今はアイツを止めるために全力でフォロー頼む。

ノアルはイグニスの救出、ゼロはオレの援護のついでに炎をどかしてくれ」


「「了解!!」」


ヒロムの指示を受けるとノアルはイグニスがいる方へと走っていき、ゼロは剣を強く握るとソラの放出する炎を消すべく走り出す。


「テミス、フランも援護を頼む。

このクロス・リンクの高火力をサポート無しで使うから加減が効かないから……その辺頼むぞ」


「「おまかせを!!」」


いくぞ、とヒロムは叫ぶとテミスとフランとともに走り出してゼロに続くようにソラに向かっていく。


ヒロムたちが迫る中、さきほど殴り飛ばされたソラはゆっくりと起き上がると瞳を赤く光らせるなり全身から勢いよく紅い炎を放出し、そして雄叫びのような叫び声を上げるとヒロムを強く睨みながら動き出す。


「ああああああ!!

邪魔すんじゃねぇ!!」


「ソラ、オレだ!!

オレが分からないのか!!」


「黙れ!!」


ソラを止めるべくヒロムは彼に語りかけるが、ソラはヒロムの言葉が届かないのか紅い炎を右手に集めるなりヒロムに向け、ヒロムに向けられた右手からビーム状にして紅い炎が放たれる。


放たれた炎はヒロムの方へと向かっていくが、ゼロはヒロムを守るようにマントを大きく広げると魔力を纏わせて硬化させ、硬化したマントは炎を受け止めると防ぎ消して見せた。


「……よしっ!!

アルマリアとメルヴィーのこの姿なら耐えられる!!」

『ですがゼロ。

今のような攻撃を何度も受けるのは得策ではありません。

あの一撃をあと二、三回同じ方法で止めれば……このクロス・リンクの維持が難しくなります』


「わかってる!!

さっきよりはマシだって話だ!!」


ソラの炎を防いだことにゼロが喜ぶ中で武装となったアルマリアは彼の頭の中に声を響かせるようにして注意喚起するが、ゼロはそれを承知の上で言ったと言わんばかりに言い返すと剣に力を纏わせて斬撃を放ってソラの炎を消そうとした。


しかし……


ゼロが放った斬撃はソラの紅い炎を消そうとするも炎にぶつかると激しく燃える焔に消されてしまう。


「なっ……!?」


「ゼロ!!

生半可な攻撃は消されるだけだ!!」


「だからって加減せず攻撃しろってのか!!」


「今のソラを止めるためだ!!

あの炎を消すためだけに加減はするな!!」


「めちゃくちゃなこと言いやがるな、クソが!!」


ヒロムの指示に文句を言いながらもゼロは剣を構え直すとソラの方に向かって動き出し、左手に魔力が集めるとそれをソラの頭上に向けて打ち上げる。


打ち上げられた魔力はソラの頭上で球体となると即座に壊れてその場で渦巻くと小型のブラックホールのようになり、渦巻く魔力の動きに引き寄せられるかのようにソラの全身の紅い炎が吸い上げられていく。


「!?」


「メルヴィー、あの炎を消すつもりでやるぞ!!」

『任せてください』


「さぁ、オマエの炎を……」


「ウザいんだよ!!」


頭上の渦巻く魔力が紅い炎を吸い上げているとソラは全身から勢いよく紅い炎を放出させて渦巻く魔力の方へと向けて大量の炎を敢えて放っていく。


「コイツ……!!

オレたちの魔力を自壊させるつもりか!!」

(本能で理解してるのか?

オレたちがやろうとしてることを理解してやってるなら厄介だぞ!!)


「メルヴィー!!」

『出力は上げてます!!

ですが……炎がこちらの魔力に合わせてくるかのように出力を上げてるんです!!』


「マジかよ……!!」

(だとしたらどうやってソラのあの炎を……)


「ゼロ、そのまま続けてくれ」


ゼロがソラを止めるべく思考を働かせる中でヒロムは彼に続行するように告げると紅い炎を纏うソラに接近し、そしてヒロムはソラの顔面を殴った。


殴られたソラは仰け反ってしまい、ソラが仰け反るとヒロム至近距離から銃剣で斬撃を放って炎を消そうとした。


しかし、炎は銃剣を止めるように一点に集まり、そしとソラはヒロムを睨みながら構えようとする。


「邪魔をするな……!!」


「邪魔するさソラ。

オレは仲間を……ダチを見捨てるつもりはない!!」

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