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レディアント・ロード1st season   作者: hygirl
天醒乱舞編
482/672

四八二話 集いし信念


関西と東北、二手に分かれて行動していた「天獄」の面々はやるべき事を果たして屋敷に戻り合流していた。


そしてそれぞれの成果と何が起きたかを報告し合うべく集まっていた。


「……なるほど。

あの鎧のヤツらはバッツの力を利用して何か企ててるってことか」


スローネとヒューリーの介入、そしてスローネがバッツの「精神に干渉する力」の一部を取り込んだことをイクトが別行動していたゼロたちに話し、話を聞いたゼロはさらに詳しく事情を説明してもらうべく質問した。


「イクト、オマエの「死獄」の力は奪われなかったのか?」


「嫌な予感がしたからバッツと二人で何とかしてそれだけは防いだ。

ヤツらの狙いに「死獄」の力も含まれてたみたいだけど、奪えなくて悔しそうにしてたよ」


「あの反応から察するにあの鎧の敵は本気で欲していたんだろうな」


イクトの説明に入るように彼に同行して屋敷に来たネクロが言い、ネクロの話を聞いたソラは彼に訊ねた。


「アンタの情報網でヤツらを突き止められないのか?

居場所とか正体とか……あとはあの鎧とデバイスシステムの出処。

アンタが牛耳ってる情報網なら簡単じゃないのか?」


「残念だが簡単には行かないな。

ただでさえ素性が分からぬ敵に偽名、どれを取っても調べられる要素は少ない」


「……なるほど。

結局はヤツらを倒して生け捕りにして尋問するのが手っ取り早いってことか」


「そういうことになるな、相馬ソラ。

もっとも、聞いた話では数日前に敵の女を捕まえたんだろ?

ならオレが尋問して少しは調べてみるよ」


「助かる」


「……で、ヒロムはそこから真助とノアルを連れてさらに別行動を取ったのか?」


ネクロとの話をソラが進める中シンクはヒロムに訊ねるが、訊ねられたヒロムは何故か話そうとしなかった。


話そうとしないヒロムに何かあったのか気になるシンクはもう一度訊ねようとするが、そんなシンクの考えを読んだのか真助が話していく。


「オレたちはヒロムに同行してセイナ・フローレスを仲間にする為に京都に向かった。

そこに至る道、セイナが仲間になるまではよかった……けど、戻る途中で鬼桜葉王が現れた」


「あの男が?」


「まぁ戦いになってヒロムがアイツを倒す寸前までいって事なきを得たけど……戦う前にアイツが話した内容が今になって気になってるようだな」


「鬼桜葉王は何か話したのか?」


「ああ、一つはシンギュラリティの能力者についてだ」


シンギュラリティの能力者、真助の口から出たこの言葉に対して知識がないソラたちは何を言ってるんだと言いたげな顔をし、そんな彼らにヒロムは今になって口を開いて説明していく。


「能力者が人知を超えた領域に達して覚醒、成長することで到達する特異点となった者のことを指すらしい。

シンギュラリティってのはそれに対する呼び方、そしてシンギュラリティに達した能力者はシンギュラリティの能力者と呼ばれる」


「シンギュラリティの能力者……つまり特異点に到達した能力者ってことか」


「そしてシンギュラリティの能力者は周りの能力者をその領域に到達させるために無意識で導こうとする。

さらに言うならシンギュラリティの能力者となった能力者は今持つ能力が強化されるか新たな力に目覚めるらしい」


「オレとノアルがヒロムと一緒に聞いた話だとシオンの「晶眼」もイクトの「死獄」の力もシンギュラリティに到達したから得た力らしい。

そんでガイとソラもいずれシンギュラリティに達するらしいぞ」


「オレの「晶眼」はただ「月閃一族」の力ってわけじゃなかったのか」


「けどその話だと納得いくけどな。

単なる実力じゃなくて「晶眼」を宿して一族を束ねる証を持つって言えるのならそれは特異点にいるって証明だろうし、シンギュラリティってのが当てはまるってわけだ」


「そしてオレと真助もシンギュラリティの能力者になろうとしてるらしい」


「そのシンギュラリティってのに到達したからヒロムは鬼桜葉王を追い詰められたのか?」


「……シンギュラリティに到達したオレの成長速度がヤツの予想を超えていた。

だからヤツと戦えた」


「……そうか。

あの時のクロムはそれを狙ってたのか」


ヒロムがソラの質問に答える中でガイさ何かに気づいたのかヒロムに自身の気づいたことを話した。


「ヘヴンが屋敷に攻めてきたあの時初めてクロムが現れた。

あの時オレやシオンを本気にさせるような言葉を並べてオレは飛天の力を借りなくても霊刀「飛天」を使えるようになり、シオンは精霊であるライバを宿した。

シンギュラリティって言葉を知ってたかは定かじゃねぇけどクロムは本能的に特異点に到達することによる進化の可能性を感じてたんじゃないか?」


「オレたちの力を吸収してヒロムを越えようとしてたのならありえるかもな」


「けどよ、シンギュラリティの能力者って何人いるんだ?」


話が進む中でゼロは素朴な疑問を全員に投げかけた。


「シンギュラリティの能力者となったヒロムが鬼桜葉王を追い詰めた程度で話が膨らんでるようだが、鬼桜葉王自身もシンギュラリティの能力者になってる強者ってことはヤツが仕えてる一条カズキですらシンギュラリティに到達した能力者である可能性があるんだぞ?

ましてヤツらの他の仲間の能力者もシンギュラリティに到達したってなればオレたちはどう抵抗すればいい?」


「それは……」


「今把握してるだけのシンギュラリティの到達者はヒロムとシオンとイクトだけ。

ヒロムの心の闇として新たに宿ってるオレはシンギュラリティに到達してるのかどうかは定かじゃない」


「いやゼロ、オマエも到達した一人だ。

葉王はシンギュラリティの話をした時、オレの金色のブレスレットの話をしたんだ。

このブレスレットがシンギュラリティに到達した証だ。

ならこのブレスレットとリンクして精霊を行き来させられるオマエの黒いブレスレットも同じ証ってことになる」


「……つまりクロム消滅のためにオレとオマエが手を組み真理の精霊という答えを導き出した時点でシンギュラリティに達したってことか」


「ならこれで四人か。

で、シンギュラリティの見分け方は?」


「ゼロ、悪いがそれは分からない。

ただ分かってるのはシンギュラリティに到達した能力者は今ゼロが確認してくれた四人ってことだ」


「シンギュラリティについては後から書庫を漁りながら整理するとして……真助、一つはって導入の仕方をしたならまだ何かあるんだろ?」


シンギュラリティの能力者の話で少し盛り上がりつつある中、シンクは空気など読まずに話題を変えようとする。


シンクが話題を変えようとすると真助は空気を読まぬ彼に呆れながらその話をしようとするが、ヒロムは真助を止めるとシンクに質問をした。


「真助、オレから話す」


「お、おう……」


「シンク、まず教えて欲しい。

先代当主を覚えてるか?」


「先代当主?

たしか飾音が殺したはずだろ?」


ヒロムの質問に対してシンクは聞き返すように答え、それを聞いたヒロムはシンクに……いや、この場にいる全員に葉王から告げられた衝撃の事実を告げた。


「先代当主は二人いた。

オレとシンクが知る先代当主は飾音が殺し、もう一人は誰にも悟られることなく病で死んでる。

そして……二人いた先代当主は「八神」に来たトウマに人体実験を行って精神を壊して別の精神に書き換えたらしい」


「何!?」


「それって……」


「ヒロムと同じことが起きたってのか!?」


ヒロムが明かした話に驚く一同。

真助とノアルは一緒にいたから知ってはいたが、シンクの反応から葉王の言うように知られていない事実があったことに改めて驚いていた。


一同が驚く中、ゼロはヒロムにある話をした。


「オレたちがアストに会いに行った時、トウマが襲ってきた。

そのトウマは普段自分のことを「オレ」と言うはずなのに時々「ボク」と言ったんだ」


「ボク?

アイツが?」


「……そういや言ってたな。

オレたちは聞き間違い程度に思ってたけどゼロだけは気にしてた。

けど……」


「もしヒロムが鬼桜葉王から聞いた話が事実だとすれば……今のアイツは偽りの精神の中から本来の精神が出ようとしてるってことだな」


「……トウマの襲撃が葉王の話の裏取りになるとはな。

オレの聞いた話が多少は真実味が出てきたってわけだ」


「ヒロム様、だからと言ってヤツの話を鵜呑みにするのはよくないと思います。

敵はそうやって私たちを惑わすつもりなんです」


ゼロたちの前に現れたトウマの話からヒロムは葉王の話をさらに信用しつつあったが、夕弦は葉王の話を完全に信じないように注意した。


が、そんな夕弦に対してネクロはある事を話した。


「情報がない中で八神トウマの相手をするよりは真偽が定かでない情報を頼りに動くことは賢明な事だ。

道無き道を往くよりは多少なりとも無謀な道を進む方が答えに到達する確率は上がる」


「お言葉ですがネクロ、八神トウマの話の行き着く先はあの男の抹殺のみです。

精神が破壊されて偽りの精神を植え付けられたかは関係ない話です」


「惑わす惑わさないはどうでもいいけど、アイツらを潰す理由は出来たことに変わりない。

葉王の話ではトウマが知る方の先代当主は他の「十家」から技術を盗んで力を増やそうとしていた。

その過程で「八神」の人間の魂を次々に生贄にしてラース・ギアやフェニックス・ギアと呼ばれる角王の武器に内包される力を増幅させる人造機関「ギア」と呼ばれる核を生み出した。

そしてその人体実験の発展によって「ハザード・チルドレン」や「ネガ・ハザード」が生み出された」


「ふざけんなよ。

その話が事実ならリュウガやサイガ、ライガ……オレの仲間は実験台の身内が無くなった「八神」に利用されたってことじゃねぇか」


ヒロムの話を聞いたカズマは明かされた内容に怒りを抑えられなくなっていた。


彼だけではない。

この場でこの話を聞いている面々は全員「八神」に対して怒りを感じていた。


そしてシンクは「八神」の実態を踏まえた上である可能性を挙げた。


「トウマが人体実験を繰り返して罪を重ねてる事しか知られてないが仮にそれを知ってるであろう他の「十家」はそれを黙認してることになる。

協力関係にある「七瀬」は知らなかったとしても「一条」はそれを知った上でオレたちに教えた。

「八神」より力のある「一条」が自ら手を下さずにヒロムにその話をしたってことは……今の「八神」何が何でも裁かなければならないってことかもな」


「その裁きを下す側にヒロムやオレたちが選ばれたってのか?」


「裁きを下すんじゃない。

オレたちがやるべきは……「八神」を潰すことだ」


シンクの言葉にガイが意見を述べるとソラが横から言い直し、それを聞いたヒロムは頷くとこの場にいる全員に告げた。


「トウマの身に何があったかはこの際気にしなくていい。

次現れたら……確実に倒して全てを終わらせよう。

葉王の話がどうであれ全ての因縁は終わらせるべきだ」


「なら……」


「ああ、次にヤツらと戦う時は……決戦だ」

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