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レディアント・ロード1st season   作者: hygirl
天醒乱舞編
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四六五話 禁忌に染る天使


「まさか……三体目!?」


「交わることなき憤怒よ、大地を穿て!!」


機械の体の天使のような精霊・オーディン、巨大な道化のような姿の精霊・ロキを呼び出したトウマは飛翔すると両手を広げながら叫び、そして天より雷鳴轟くとともに無数の雷が大地に降り注ぐ。


ゼロやガイたちは雷に巻き込まれぬように急いでその場を離れるが、雷が降り注ぐ大地は激しく揺れるとともにそこに巨大な結晶のようなものを生み出していく。


そしてトウマは光の槍を手に持つとその結晶のようなものに向けて投げ飛ばして叫んだ。


「目覚めろ、天災解放……ラグナレク!!」


トウマの投げ飛ばした槍は結晶のようなものに突き刺さり、光の槍が突き刺さると結晶のようなものは砕け散り、中より白銀と黄金の鎧に身を包んだような巨人の風貌の全長五、六メートルはあるであろう巨大な機械兵が姿を現す。


現れた巨大な機械兵……ラグナレクがオーディン、ロキに並ぶと三体のトウマの精霊は並々ならぬ威圧感を放ち、放たれるその威圧感を前にしてゼロたちは戦う前から追い詰められそうになっていた。


「そんな……!?

オーディン一体ならともかく……それと同格が他に二体もいるのかよ……」


並び立つ三体に岩城ギンジは弱気になってしまうが、その一方でゼロはこの状況を前にしてトウマに向けて言った。


「また得意の生体実験で生み出したのか?

ヒロムの精霊が羨ましくて家の力使って……そこまで命を弄ぶのが面白いか?」


「何とでも言えばいいさゼロ。

ここに今あるこの力はもうオレのものだからな!!」


「……そりゃ親も見捨てるわな」


ゼロに対して余裕の発言をするトウマだが、そのトウマの言葉を聞いたカズマはため息混じりに呟く。


そのカズマの呟きが聞こえたのかトウマは彼を冷たくにらみ、睨まれたカズマはトウマに向けて恐れることも無く言った。


「親が育んだ命であるオマエが命を冒涜し、果ては命を弄ぶんだろ?

そんな子どもの面倒見る気にもならねぇだろうし、そんなヤツの面倒見るくらいなら精霊でも一つの命として大切にするヒロムを選ぶのは必然なことだよな」


「栗栖カズマ、オマエは何が言いたい?

守ることすら出来ずに殺そうとした敵と仲良しごっこしてるオマエが何を偉そうに……」


「オマエみたいなクズに仕えるよりはヒロムみたいな綺麗事言いながらも実現するような男に仕える方が男としては誇りに思えるってわけだ」


「……そうか。

黙れ」


トウマが指を鳴らすとオーディンが先陣を切るように動き出し、オーディンが動き出すとカズマは自身の武器であるトンファーを構えて走り出した。


「カズマ!!」


「血迷ったのか栗栖カズマ!!

オマエ如きではコイツは倒せない!!

あの「無能」にも勝てなかったオマエがオーディンを相手に戦えるわけ……」


「オラァッ!!」


走り出したカズマの名を叫ぶギンジ、そしてオーディンを迎え撃とうとするように走り出したカズマを嘲笑うように言葉を発していくトウマ。


そんなトウマの言葉に耳を貸すことも無くカズマは高く飛ぶようにしてオーディンに接近するとトンファーを強く握って勢いよく敵を殴る。


トンファーによって頭部を殴られたオーディンは怯み、怯むオーディンに追撃を加えるべくカズマは赤い雷を纏うとトンファーに雷を収束させて鋭い切っ先を持つ槍のように雷を造形する。


「ホーン・オブ・スピアー!!」


カズマは鋭く尖らせるように造形した赤い雷をオーディンに向けて撃ち放ち、オーディンは放たれた赤い雷を慌てて翼を盾のように可変させて防ぐが、カズマの一撃が強かったのかオーディンは少し押し返されてしまう。


「何……?」


オーディンを一方的に攻撃したカズマに目を疑うトウマはカズマを強く睨み、睨まれるカズマは着地するとトンファーを構え直すと自身を睨むトウマを見ながら彼に言った。


「……誰の実力が誰に劣るって?」


「何?」


「オマエは知らねぇよなぁ……。

オレがアイツに負けて、アイツの生温い考えに付き合う内に守る意味を知れたけどよ……アイツに負けて味わった屈辱は全然晴れねぇってことをよ」


「何を言って……」


「オレの能力「憤撃」は己の怒りを赤い雷に変化させて自分を強化する力だ。

今のオレはなぁ……アイツに負けた屈辱と今も強くなり続けるアイツへの嫉妬と自分の不甲斐なさへの怒りで爆発しかけてんだよ!!」


カズマはトウマに向けて強く言うと赤い雷を強く纏いながら走り出し、それに続くようにゼロも走り出した。


「やるなオマエ」


「ゼロ!!

オマエのことはこの際どうでもいい!!

とにかくオレを暴れさせろ!!」


「ああ、好きに暴れろ!!」


「させないけどな!!」


やる気を見せるカズマに自由にしていいとゼロが伝える中、トウマはオーディンに指示を出して迎え撃たせようとする。


が、突然紅い炎がオーディンに向かって飛ばされ、飛ばされた紅い炎は形を変えると紅い鬼のような姿の魔人・イグニスへ変化し、イグニスは「炎魔」の紅い炎を身に纏うとオーディンを殴り飛ばす。


「!!」


「……よぉ、紛い物の精霊。

下等な精霊がオレらの邪魔しようとするなよ?」


「魔人……!!」


「あん?

んだよ……無能無能叫ぶような傲慢な野郎だからどんなのかと思えば……大した事ねぇ毛が生えたばっかのガキかよ」


「オマエ……オレを侮辱するな!!

ロキ!!」


「オマエの好きにはさせねぇ!!

ゼロノート!!」


トウマが叫ぶとロキが動き出し、動き出したロキは怪しい光を両手に纏わせるとイグニスに向けて放とうとするが、トウマの邪魔をしようとシンクが叫ぶと周囲に冷気が放出され、冷気は一つに集まると氷の竜の精霊・ゼロノートとなる。


ゼロノートは雄叫びをあげながら郡の翼を羽ばたかせると吹雪を発生させてロキの攻撃を阻止し、イグニスはゼロノートの助けを受ける形で攻撃を免れるとロキを倒そうと紅い炎を放つ。


しかし……


イグニスが炎を放つと同時にロキの前に巨兵・ラグナレクが瞬間移動するかのようにして立ちはだかると炎を片手で握り潰してしまう。


「下等な精霊が……!!」


「魔人よ、援護します」


頼むぞ、とイグニスは援護を申し出るゼロノートに言うとともに動き出し、ラグナレクはイグニスとゼロノートを迎え撃とうとする。


ラグナレクの介入によりロキは自由になり、ロキはカズマを狙い定めると怪しい光を放とうとする。


だが……


「させないわよ!!」


「どりゃぁ!!」


ロキがカズマに攻撃しようとするのを阻止するように夕弦は烈風を発生させ、さらにギンジは自身の武器であるハンマーで地面を叩くと大地を隆起させてロキの動きを封じようとした。


が、夕弦とギンジの攻撃を前にロキは不気味な笑い声のような声を出すと音も立てずに消える。


「え!?」


「消え……」


消えたと夕弦とギンジが感じているとロキは気配を感じさせずに二人の背後に現れ、そして二人を巻き込むようにカズマに攻撃を放とうとする。


ロキが攻撃を放とうとするのに気づいた夕弦たちは慌てて回避しようとするが間に合いそうもなく直撃するかのように思われたが、夕弦たちの前に瞬時にシンクが移動して巨大な氷の壁を作って攻撃を防いでみせる。


「シンク!!」


「油断するな!!

この人造精霊、オレたちのことを研究して造られてるぞ!!」


「けどコイツら倒さなきゃアイツに辿り着けないって!!」


方法ならある、とカズマは再び動こうとするオーディンを倒そうと走り出す中で夕弦やシンク、ギンジにある事を伝えた。


「コイツらの足止めをオレたちで引き受けてアイツを誰かが倒せば終わる!!

アイツが倒れたらコイツらも消えるはずだ!!」


「簡単に言うけどそんなの……無理だろ!?」


カズマの言葉にギンジが頭を悩ます一方で夕弦は何かを決断したのかシンクに向けて伝えた。


「……シンク!!

アナタはトウマを倒しに行って!!」


「オマエはどうする気だ?」


「カズマがオーディン、イグニスとゼロノートがラグナレクの足止めを引き受けるなら私とギンジでロキを引き受ける!!

ゼロとガイとソラに加勢して早く倒して!!」


「……任せるぞ」


シンクは氷の壁を消すとトウマを倒すべく走っていき、夕弦とギンジは不気味な笑い声のような声を出すロキを見ながら構える。


「やるわよギンジ。

強くなったのならその力見せなさい」


「……こんなはずじゃなかったのに!!」


「文句は後、勝って生きてたら好きなだけ言いなさい!!」






***



三体の精霊が動く様子を眺めるトウマ。

そしてそのトウマを倒すべく前に現れたゼロ。


さらに……


ゼロと同じようにトウマを倒そうとするガイとソラはゼロの横に並びたち、そしてシンクは氷の翼を纏って飛翔して向かってくると彼らのそばで滞空するようにしながらトウマを睨む。


「……たしかに強くなってるようだな。

これが今のオマエらか」


「余裕なのも今のうちだトウマ。

オレたち四人が相手ならオマエに勝ち目はない」


「勝ち目?

そんなもの無いさ」


「何?」


「今のオレには勝ち負けなんて些細なこと……。

オマエら前座……ゼロをこの手の中に収めてあの「無能」の殺害こそがオレの勝利。

……そうすれば死んだ父さんもボクを褒めてくれる……」


「ボク……?」


「……オマエら如きがオレの前に立つな。

オレの目的の邪魔をするのなら……殺す」


やってみろよ、とガイとソラは武器を構えて殺気を放つが、ゼロはトウマの言葉の中で感じた不可解な点を気にしていた。


「……」

(コイツはヒロムの中の記憶で見た限りでも自分のことを「オレ」と言う。

なのに今コイツは一瞬とはいえ自分のことを「ボク」って……)


「ゼロ、どうかしたのか?」


ゼロがトウマの言動のある部分を気にしているとガイが彼に声をかけ、声をかけられたゼロは気を取り直すように右手首の黒いブレスレットに光を灯すと構え直し、そして……


「いくぞ!!」


ゼロがトウマに向けて走り出すとガイ、ソラ、シンクも敵を倒すべく動き出し、四人が動き出すとトウマは不敵な笑みを浮かべながら翼を羽ばたかせると強い衝撃波を放って四人を止めようとする。


が、ゼロはブレスレットの光を刀に変えると衝撃波を切り裂き、さらに彼のもとに精霊・ラミアが現れるとゼロは彼女とともにトウマに攻撃を仕掛ける。


トウマはゼロとラミアの攻撃を簡単に避けると反撃しようとするが、ガイは霊刀「折神」を構えて接近すると翼を破壊しようと斬撃を放ち、さらにソラも赤い拳銃「ヒートマグナム」から無数の炎弾を放ってトウマの翼を破壊しようとする。


しかし……


「……甘いんだよ」


トウマの紫色に染まった右の瞳が怪しく光るとガイとソラの一撃は塵のように消えてしまい、彼の黒く染まった右翼が光を発すると光線となってゼロたちに襲いかかる。


「「ぐぁっ!!」」


光線が襲いかかり、その力の余波により吹き飛ばされるゼロたち。


光線を避けたシンクは氷の翼を翻しながら加速してトウマに接近すると氷の剣で首を斬り落とそうとするが、トウマは左手に光を纏わせて前にかざすとシンクの氷の剣を消し去ってしまう。


「!!」


「……こんなもんか」

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