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レディアント・ロード1st season   作者: hygirl
天醒乱舞編
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四六三話 危険すぎる取引


民家の中へと入ったゼロたち。


中に入るとそこには昔懐かしのテーブルなどがあり、居間に上がった一同はそこに集まるように座っており、アストはガイからこれまで自分たちの身に起きたこと、自身の仕える姫神ヒロムの周囲に起きていること、そしてそのヒロムを守り彼の目的を成すために自分たちの属する彼をリーダーとした組織「天獄」の拡大を試みようとしていること……ガイはアストに話せるだけの事を全て話したのだ。


「……なるほど。

オレの聞いていた話より深刻らしいな」


「ああ、簡単に言うと今みたいな感じだ」


「オレの持つ情報網から「竜鬼会」の件は軽く聞いてはいたが、まさか「覇王」の母親の余計なお節介が招いた事だとはな……」


「あの人も最初はこうなると思ってなかったみたいだけど、あの人のやった事でヒロムは今や世間から冷たい目で見られてる」


「テレビなどでよく耳にするな。

街を破壊した覇王、人々を恐怖に染める悪の王、人の姿をした悪魔……メディアは何が何でも「覇王」を悪に仕立てて叩きたいらしいな」


「……ヒロムは何も悪くない。

ただヒロムは敵を倒そうと誰よりも戦っていただけなんだ」


「ガイ、そんなことはその場にいなかったオレでもよくわかる。

メディアは世間の注目されているを集めるために「覇王」を利用し、正しい判断をしようとしない世間はメディアの言葉に惑わされて偽りの真実を信じて自分を正しいと思い込んでいるだけだ」


「……アスト、ヒロムの今の状況を何とか出来ないか?

アストなら……」


「残念だが不可能だ。

「覇王」……姫神ヒロムに向けられる現状の世間の目を変える方法はない。

オマエらがどうにかして数人を説得し続けてもその周りには何百万という間違った認識をする人間が蔓延ってる。

その規模は何もオマエらの住む地域にかぎった話じゃない、下手をすりゃ国内全域……もしかしたら国外にも出てしまってるかもしれない。

そうなったらさすがのオレも何もしてやれない」


「そうか……」


ヒロムの現状……「竜鬼会」の一件でヒロムが悪として認識されている現状を打破したいと思っていたガイに現実を突きつけるように説明したアストの言葉にガイは残念そうな表情を浮かべる。


が、そんなガイに対してソラは言った。


「ガイ、ここに来たのはそんな話のためじゃないだろ。

オレたちが来た目的を忘れるな」


「……そうだな。

アスト、話が逸れて申し訳ないんだけど……本題に入っていいか?」


「本題と言うのは戦力拡大の件か?」


「ああ、そうだ。

ヒロムを守ると思ってた「月翔団」はヒロムが敵に狙われるのなら捕らえるか抵抗するなら始末する方針を固めてる。

「月翔団」の組織としての戦力は今のオレたちの比じゃない。

総力戦を仕掛けられた時、確実にオレたちはヒロムを守れずに終わる。

そうならないためにもオレたちはアストたちの力を借りたいんだ」


「……オレたちの力を、ね。

守る力を求めて来たのにオレみたいな悪逆非道な能力者とそれに雇われてる賞金稼ぎと傭兵の力を借りたいのか?」


「オレの知る中で頼れる能力者はアストたちだけだ。

かつての一件でともに力を合わせて戦ったからこそ互いの実力を知っている。

だからこそオレはアスト、オマエの力を借りたいんだ」


「……」


これまでガイの言葉に対して何らかの言葉を返していたアストだが、そのアストはガイの頼れる存在はアストだけだという言葉に対しては言葉を返さないまま黙っていた。


何か意図があるのか、それとも都合が悪いのか……

よくは分からないがアストはガイの言葉に対して黙ってしまう。


「……」


「アスト?

何か変な事言ったか?」


「……いや。

オレが力を貸す分には別に問題ないが……ガイ、オマエは自分の知る中で頼れる能力者がオレたちだと言ったよな?」


「あ、ああ……」


「……まさかだが、戦力拡大のために「死神」はネクロのところに向かったりしてねぇよな?」


「うっ……」


アストの質問、それを聞いたガイは言葉を詰まらせてしまい、表情にも焦りが出始める。


「あ、アスト。

あのな……」


「オマエがここに来てこうして頼るってことは今ここにいない「死神」も誰かしらに頼みに行ってるってわけだし、そうなったらあの「死神」が頼るとしたらネクロに限られる。

けどな……まさかだがオレにネクロと仲良くしろって言うわけじゃねぇよな?」


「そ、そんなつもりは無いって!!」


「ガイ、何慌ててんだよ?」


アストが不満があるような態度で言葉を発する中ガイは慌てて訂正しようとし、ガイの慌てぶりが気になったゼロは彼に訊ね、訊ねられたガイはゼロに対して彼にだけ聴こえるようにアストについて話した。


「道中説明出来てなかったんだけどアストは今ヒロムたちが交渉に向かってるネクロと仲が悪いんだよ」


「何故だ?」


「方向性の違いってやつだよ。

ネクロのやり方が気に入らないアストとアストのやり方に不満を持つネクロ……水と油みたいなもんだよ」


「……水と油、ね。

それが分かってるなら最初から止めろよ」


「いやいやいや!!

「天獄」の戦力拡大で力になってくれるのはネクロかアストしかいないって話になったから言い出せなくなったんだよ!!」


「バカか?

ここまで来てオマエが言わなかったその問題のせいで協力しないって返されたら無駄足じゃねぇか」


「だけど……」


「コソコソ話すくらいなら堂々と話せ」


ゼロと話すガイに対してアストは冷たく言い、そしてアストはガイにある提案をした。


「ガイ、オマエの頼みを受ける代わりに条件がある」


「条件?」


「簡単な条件だ。

ネクロとは手を組まない、それだけだ」


「待ってくれアスト。

それだとオレたちは……」


勘違いするな、とガイの言葉を遮るようにアストは言うと続けて自身の出した条件について補足していく。


「オレが力を貸すのはオマエのためだけだ。

ネクロが姫神ヒロムと行動するのならオレは別行動を取ってオマエの力になるだけだ」


「じゃあ……」


「オマエの頼みは今の条件付きで引き受けよう。

それでいいのなら構わない」


「全然大丈夫だよアスト。

アストが力になってくれるのなら心強い」


「あら、アストがアナタに力を貸すなら私たちも一緒ってことよ?」


アストの言葉に嬉しそうに言うガイにミスティーは横から言い、さらに天晴もガイに向けて伝えた。


「アストは条件付きだけどオレは喜んで力になるぜガイ。

また一緒に戦おうぜ」


「ありがとう天晴」


「おい天晴、契約を忘れるなよ?」


「契約って言ってもネクロに干渉するなってやつだろ?

大丈夫、大丈夫!!」


「……不安しかないな」


天晴に念押しするようにアストは自分と交した契約を忘れないように言うと天晴は満面の笑みで問題ないことを伝えようとするが、その天晴の笑みと言葉に対してアストは不安を感じられずにはいられなかった。


そんな中、シンクは話題を変えるようにアストに質問した。


「アスト、オレが依頼してた二人の特訓はどうなってる?」


「問題ない、氷堂シンク。

依頼通りに岩城ギンジと栗栖カズマは鍛えておいた」


「その成果に期待していいのか?」


「数日だけという期限付きではあるがオマエの望む範囲では鍛えておいた。

不満があるようなら金は返す」


「……必要ない。

オレとしてはアンタが依頼通りに二人を鍛えてくれたのなら文句はない。

今アイツらは?」


「そろそろ帰ってくる頃だ。

噂をすれば……」


シンクの質問にアストが民家の入口を指さすと扉が開き、三人の男が入ってくる。


一人は逆立った銀髪の少年、岩城ギンジ。

ソラがシンクとともに「八神」の施設を襲撃した時に出会い、そこから二人に同行した末に「天獄」の一員となった元「ハザード・チルドレン」の少年だ。


一人は赤い髪を後ろで一つに束ねた少年、栗栖カズマ。

かつてはヒロムを始末すべく「ネガ・ハザード」となった三人の弟分と敵として立ちはだかった彼は「八神」との一戦で大切な仲間を失った一方でヒロムに拾われ、紆余曲折を経て「天獄」に強引に参加させられるも戦う中で戦う理由を見つけて正式に仲間になった「月閃一族」の少年だ。


二人とも動きやすいようにジャージのような服装を着用し、そして激しい運動でもしたのか泥だらけになっていた。


そして……


ギンジとカズマとともに入ってきた赤い髪に金色の瞳の作業着の青年はガイの姿を見るなり彼に話しかける。


「よぉ、ガイ。

久しぶりだな!!」


「音弥、オマエもいたのか」


まぁな、と青年……岩鉄音弥はガイと話をしようと居間に上がると再会を喜ぼうとするがアストは音弥を見るなり彼に報告するように言った。


「音弥、報告しろ」


「ああ、悪い悪い。

ギンジもカズマもアンタが指示した事はちゃんとこなせるようになったよ。

あとはまぁ二人のやる気次第でこれから変わるってところだな」


「そうか。

他は?」


「……少し街の方に出た。

アストから聞いてた「八神」に内通してる街の人間が何やら慌ただしく動いてたぞ」


「……そうか」


音弥の報告を聞いたアストは一言返すと静かにガイに視線を向け、そして彼に告げた。


「悪いが「八神」との戦いにはオレは加勢できない。

天晴とミスティー、そして音弥を雇う身としては無謀な賭けは出来ない」


「……アストが力を貸してくれれば心強いけど「八神」に関しては頼めないのは確かだから大丈夫だよ。

アイツらはオレが……」


音弥の報告から「八神」が動いていると聞いたアストはガイに念押しするように言い、ガイはそんなアストに無理強いはせず別のことを伝えようとした。


が、そのガイの言葉を遮るようにどこからか大きな爆発音が響く。


「「!!」」


「……落ち着け」


爆発音に反応してガイたちは立ち上がるが、アストは冷静な態度のままタブレット端末を取り出すと何かを確認していた。


「……どうやらオマエらに客が来たらしい」


「客?」


「どういうことだ?」


アストの言葉を聞いても理解出来ないガイとソラは不思議そうに聞き返そうとするが、横でアストの言葉を聞いていたゼロはシンクと夕弦に言った。


「思ったよりも早かったな」


「そうね。

まさかだけど手当り次第に探してるのかしら?」


「腐ってもヤツらは権力を持っている。

その気になれば衛星でも何でも使えば見つけられるさ」


「ゼロ、シンク。

一体……」


用意しろ、とゼロは民家を出るように歩きながらガイとソラ、そして夕弦たちに言うとさらに言葉を伝えた。


「敵襲だ。

それも「八神」のな」

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