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レディアント・ロード1st season   作者: hygirl
天醒乱舞編
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四五四話 足りぬとて


スローネとヒューリーの出現。

予期せぬ敵にヒロム、イクト、シオン、真助、ノアルは構えるとネクロを守るように彼の前に立つ。


五人が前に立つとネクロは少し意外そうな顔をしてヒロムに言った。


「意外だな。

てっきりオレにも戦えと催促するのかと思ったよ」


「オマエが呼んだからここに来た。

オマエはただ情報を渡そうとしていたのにオレはオマエをイクトと部隊を編成して力になるように取引し、そしてオレを狙う敵に巻き込んだ。

だから当然のことだ」


「……なるほど。

倒す算段は?」


ある、とヒロムは自信ありげにネクロに答えるが真助はある事を心配してヒロムに質問した。


「ヒロム、今ゼロと別行動してるオマエの中ってどうなってる?」


「中?」


「精霊だよ、精霊。

クロムを撃退し、四十二人の精霊を宿しゼロと共存してるオマエらが別行動してるってなったら精霊は今どうなってる?」


「たしかに気になるな。

まさかゼロに渡してて使えないとかは無いよな?」


「……そんなことか」


真助の疑問に同調するようにシオンもヒロムに問い、二人の疑問を聞くとヒロムは小さくため息をつくと彼らに説明した。


「オレの左手の金色のブレスレットとゼロの黒色のブレスレットは如何なる距離だとしても繋がっている状態を維持する力がある。

精霊は今全員オレの中だし、ゼロはブレスレットを介して精霊を召喚して「クロス・リンク」も出来る」


「何その便利機能!?

大将とゼロって無敵なの!?」


「ただ欠点は精霊と力の繋がりがあるだけでゼロとは意思疎通も出来ないし、ゼロが使っている精霊をオレは使用できないってことだ」


「……なるほど。

けど、それなら問題ないな」


ヒロムの話を聞いた真助は二本の小太刀の霊刀「號嵐」を抜刀し、イクトも影から大鎌を取り出すと構える。


さらにイクトは影から一本の槍を打ち出すとシオンに渡し、シオンは槍を受け取ると構えた。


「……礼は言わん」


「安物だから気休め程度だよ。

壊れたら……新しいの出してやるよ」


「……助かる」


「あれ?

礼は言わんって言わなかった?」


黙れ、とシオンはイクトに冷たく言うと雷を纏い、二人のやり取りを面白そうに見ていたノアルは両手を「魔人」の力で黒く染めると爪を鋭くさせる。


四人がいつでも戦える状態になるとヒロムは深呼吸して拳を構え、そしてイクトたちに指示を出した。


「いいか、ネクロには手を出させるな。

ネクロは巻き込まれただけの人間、ネクロはこの件に関与させないようにする。

だから……敵はオレたちで仕留めるぞ!!」


「「応!!」」


「いくぞスローネ……。

オマエらの全てをぶつけろ……その身に宿す魂燃やして、オレを……オレたちを滾らせろ!!」


「久しぶりに……ショータイムだ!!」


ヒロムとイクトが決めゼリフを言うと五人は走り出し、スローネとヒューリーも動き出す。


「ヒューリー、分かってるな?」


「言われなくても……な!!」


ヒューリーが両拳を拳同士で強く打ち付けると彼の両肩の鎧が展開されて砲門が出現する。


ヒューリーは肩に出現した砲門の狙いをヒロムに定めると魔力の球を撃ち放ってヒロムを仕留めようとする。


「ファイア!!」


「……させない!!」


ノアルはヒロムの移動すると右腕を黒く染めて肥大化させると巨大な盾に変化させて魔力の球を防ぎ、ノアルが攻撃を防ぐとヒロムはノアルの肩を踏み台代わりにして高く飛ぶと金色のブレスレットから弓を出現させて装備すると魔力の弓を放っていく。


放たれた矢はヒューリーに向かって飛んでいくが、ヒューリーの左腕の鎧が展開されると魔力のシールドが出現してヒロムの放った矢を全て防いでしまう。


「アイツ……」

(ソラから聞いてた話じゃ防御力高いくらいだったけど……ソラとの戦いとオレと戦ったスローネやヘヴンのアップグレードを元に鎧そのものを改良しやがったか)


「どうした?

その程度か!!」


攻撃を防いだヒューリーはヒロムに向けて次々に魔力の球を撃ち放つが、ヒロムは弓を消して銃剣を構えると炎弾を放って相殺して防ぐと着地し、武器を構え直すとヒューリーに接近して斬撃を放とうとした。


……が、ヒロムが斬撃を放とうとすると邪魔するようにスローネが現れてヒロムを突き飛ばし、スローネは突き飛ばしたヒロムの方に向かって歩きながらヒューリーに伝えた。


「手筈通りに頼む」


「何度も言われなくても分かっている!!」


ヒューリーはスローネの言葉に苛立ちながらも返事をするとシオンや真助、ノアルに向けて魔力の球を次々に放っていき、三人は魔力の球を避けながらヒューリーに迫っていく。


三人が接近する中、ヒューリーは何かに気づいたのか慌ててスローネに向けて叫んだ。


「スローネ!!

「死神」がそつちに向かってるぞ!!」


「何……?」


「ネタバレ早いな!!」


ヒロムに向かって歩くスローネの影の中から勢いよくイクトが現れ、現れたイクトは大鎌を振ってスローネを仕留めようとするが、スローネはイクトを見ることなくマントを翻すと剣をどこからか出して構え、彼の大鎌の攻撃を防いでしまう。


「この……!!」


「背後からの奇襲は無意味だ。

デバイスシステムは視認出来る範囲でのあらゆる攻撃に対しての予測演算を行って私に最適解を与えるからな」


「そうかよ」


スローネの話を聞くとヒロムは両手に二本の大剣を装備してスローネに向かっていき、ヒロムはスローネに接近して二本の大剣から強力な一撃を放とうとするが、スローネはマントを翻し魔力を纏わせるとマントを硬化させて盾のようにしてヒロムの攻撃を止めてしまう。


「この……!!」


「生憎だがキミの攻撃パターンと性格による攻撃頻度、精霊から借りて使用する武器の頻度からの得手不得手は前回の戦闘で算出されている。

その程度の攻撃なら……私には通じないぞ?」


「そうか……ならやり方を変える!!」


ヒロムは地面を強く蹴ってスローネから離れるように後ろに飛ぶとブレスレットを光らせ、ブレスレットの光の中から精霊・フレイとステラを出現させる。


出現したフレイは大剣、ステラは赤い剣を構えるとスローネを倒すべく走り出し、ヒロムも大剣を消して一本の剣を装備すると走り出す。


「大将がそうするならオレも!!」


ヒロムの動きを見たイクトもやり方を変えるべく瞳を金色に光らせると更なる影の力「影死神」を発動させ、影の衣を身に纏うとそれをマントと胴、肩、脚のアーマーにして纏い直し、大鎌を影の中に戻すと影の一部を変化させると剣にして走り出す。


「影死神……影剣死!!」


「ほぅ……精霊との連携、そして私の見たことの無い「影死神」の形態か。

少しは楽しめそうだな……!!」


スローネは硬化させたマントを元に戻すと剣を構え直し、全身に魔力を纏わせると迫り来るヒロムたちに攻撃を放っていく。


スローネの放った攻撃は斬撃となってフレイとステラに迫っていき、二人はそれを避けると反撃の一撃を放つもスローネは簡単に避けてしまう。


だがフレイとステラの攻撃を避けたスローネに追撃するかのようにイクトは影の剣で斬りかかり、スローネはそれを剣で止めると彼を弾き飛ばそうと考えた。


が、スローネの剣が止めた影の剣の刀身が突然膨らむと無数の刃となってスローネを襲い、影の刃に襲われたスローネは仰け反って後ろに飛ばされてしまう。


「なっ……」


「はぁっ!!」


飛ばされたスローネにヒロム、フレイ、ステラは接近すると三人同時に攻撃を放ち、三人の攻撃は見事にスローネに命中して彼を吹き飛ばしてしまう。


「ぐぁっ!!」


三人の攻撃を受けて吹き飛ばされたスローネは倒れるが、立ち上がると何故か嬉しそうに笑っていた。


「ハハハ……ハハハハハ」


「何だアイツ……?」


「薄気味悪い男ですね」


「マスター、早々に倒しましょう」


笑うスローネを不気味がるイクトとステラ、そのスローネを倒そうと提案するフレイだったが、ヒロムは何故かスローネの動きを見るようにじっとしていた。


「マスター?」


「大将、フレイの言う通り早くアイツを……」


「……おかしい」


「え?」


スローネを早く倒すべくイクトはヒロムに伝えるが、そのヒロムはスローネに対して何か違和感を感じていた。


「何故ヤツはこんなに簡単に追い詰められた?

前回の戦いの時はオレが未完成だった不完全なエボリューションでようやく倒せたヤツだ。

なのにヤツは……今オレたちの連携だけに追い詰められている」


「そんだけオレたちが強くなったってことじゃないの?」


「……以前のヤツならイクトの「影剣死」の影の刃の不意打ちも避けていたはずだ。

そして今のオレたちの同時攻撃も……。

ヤツは何か企んでやがる」


「まさか、そんな……」


「ヤツらの真骨頂はデバイスシステムを介したアップグレードだ。

そのアップグレードの機能を利用してヒューリーが強化されてるのにヤツは弱化してるようにしか見えない。

ヤツは狙っている、オレたちがトドメの一撃を放つことをな」


「アップグレードに必要なもの……まさか大将の成長した力を上書きに利用するつもりなのか!?」


「……オレの未来視ではそれに近い結果が見えてるからな」

(けど……この未来視の結果は何だ?

何かが干渉してるのか分からないがスローネが何をするのかハッキリ見えないな……)


スローネを警戒するヒロムは蓮夜たち「月翔団」を圧倒した未来視で相手の動きを探ろうとするが、そんな中スローネは嬉しそうにヒロムに話しかけた。


「さすがだ……さすがだよ姫神ヒロム!!

革命の戦士として覚醒したキミは能力が無くとも能力者を超越できる!!

素晴らしい力を得たじゃないか!!」


「……その力をアップグレードに利用するつもりなんだろ?

悪いがその手には乗らねぇよ」


「安心したまえ。

私の目的はたしかにそれも含まれてはいるがそれはついでだ」


「ついで?」


「今回の私の目的は実地テストだ。

我々の発展と前進のためには積み重ねが大事だ。

その積み重ねのためにも……まずは試していかないとな」


「何をする気だ?」


スローネの話から敵の動きを警戒し探り当てようとするヒロム。


ヒロムが探ろうとするその時、頭上から何かが勢いよく飛んで来てヒロムの前に勢いよく着地し、その姿を現すとヒロムをじっと睨んでいた。


鬼を思わせる仮面を付けた全身鎧の深紅の戦士。

両手は拳撃を強化させるためなのか武装が施されており、ヒロムを睨むその視線は冷たさしか感じられなかった。


「コイツは……」


「今回の実地テストはヒューリーの新型武装と最新作を身に纏った戦士……オウガの運用テストだ」


「オウガだと?」


「さぁ、オウガ。

好きに暴れるといい!!」


「……了解」


「フレイ、ステラ!!

大将を守るぞ!!」


新たに現れた敵・オウガが動き出すとイクトはフレイ、ステラとともにヒロムを守ろうとする。


が……


「……」

(ヤツの目的が実地テスト?

これまで何度も襲ってきてデータをある程度集めてるヤツらが今更その程度のことを優先してアップグレードすることを後回しにするのか?)


「……何を企んでる、スローネ」


ヒロムはスローネの行動を不審に感じ、そして不審に感じながらもオウガを迎え撃とうと拳を構えるとイクトたちとともに走り出す。

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