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レディアント・ロード1st season   作者: hygirl
天醒乱舞編
425/672

四二五話 崩却への序章


「フレイ!!ラミア!!ティアーユ!!ステラ!!

天の字名を持つ四精霊よ、偽りの覇王を殺しに行け!!」


最終手段、それを決行する意思を見せたクロムが精霊に下した新たな命令。


それはガイたちも想像していないものだった。


「なっ……!?」


「大将を……!?」


「殺させるってのか!!」


「クロム!!

オマエ、何のどういうつもりだ!!」


ソラたちが驚く中、ガイは一人クロムに対する怒りを抑えられずに叫び、ガイの叫びに対してクロムは不敵な笑みを浮かべて答えた。


「オマエらが無意味に抗うのはヤツが生きてるからだ。

ヤツがいなければオマエらも愚かな考えをやめるだろ?」


「愚かなのはオマエだろ!!

ヒロムの存在を自分の都合で消そうなんてふざけるな!!」


「ふざけてなどいない。

オレは全てを取り戻すために本気でやってんだよ」


「全て?」


クロムの言う「全て」という部分が気になったソラはそれをハッキリさせるべくクロムに問う。


「オマエの言うその全てってのは何を指してる?

何に対しての言葉だ?」


「何に対して?

決まってるだろ……ヤツがオレから奪った全てだ!!」


「……身勝手な野郎だな、オマエ!!」


ソラは紅い拳銃「ヒートマグナム」を構えるとクロムに向けて次々に炎弾を放ちながら走り出し、炎弾を避けるクロムに接近すると炎を纏わせた蹴りを放ちながらクロムに言った。


「ヒロムの全てはアイツのものだ!!

オマエがアイツとどう関わろうとアイツがこれまで培って来た全てはアイツのものであってオマエのじゃねぇ!!

フレイたちとヒロムがこれまで築き上げてきた絆もオマエのものじゃない!!

ヒロムは何も奪ってない……オマエが全部奪ったんだ!!」


「黙れ!!」


クロムはソラを黙らせようと黒い稲妻を激しく放出するが、ソラは紅い炎を全身に纏って受け止めると全て凌ぎ、黒い稲妻に体が負傷しながらもソラは炎を纏って立っていた。


「この……っ!!」

(バッツめ……っ!!

ヤツがアイツから力を吸収した時と同じやり方でオレから力を奪ったせいで出力が低下してやがる!!)


「どうしたクロム……この程度か!!」


「……オマエが耐えようが動いたものは止まらない!!」


クロムがソラに向けて言うとクロムの支持を受けたフレイ、ラミア、ティアーユ、ステラが屋敷の方に向かって走っていく。


「このっ……!!」


ソラはフレイたち四人を止めようと考えるが、それを阻むかのようにクロムが邪魔をし、思うように動けないソラはガイたちに向けて叫んだ。


「誰でもいい!!

バッツがヒロムのところに向かうのを援護しろ!!」


バッツはあと少しで屋敷に到達する。


だがそれを阻むかのようにフレイたちが迫っている。


ソラの叫びにガイたちはバッツを助けようとするが、ガイたちも他の精霊によって足止めされてしまう。


「くそっ!!

バッツのところに行けねぇ!!」


「どうにかしてバッツを行かせなきゃならねぇのに!!」


ガイと真助の言葉に反応してバッツの行く手を阻もうとするのか屋敷の前に精霊・マキアとロゼ、ユリア、リリアが現れる。


「……どけ!!」


クロムから奪い返したヒロムの力の一部を持つバッツはマキアたちに向けて魔力を放つが、マキアたちは魔力による攻撃を防ぐとバッツを倒そうと襲いかかろうとする。


「くっ……」


バッツはマキアたちが迫る中で後方も気にし、後方からはフレイたち四精霊が迫っていた。


「バッツ!!」


「バッツ、どうにかしてヒロムのところに……」


「言われなくてもやってやるよ!!」


イクトの言葉を最後まで聞くことなくバッツは叫ぶと全身から魔力を放出し、放出した魔力を複数体の自分の分身へと変化させて分身にマキアたちの足止めをさせようとした。


バッツの分身たちは次々にマキアたちに向かっていき攻撃しようとするが、マキアたちはクロムと同じように黒い稲妻を纏うと一撃を放って分身を一掃してしまう。


「まだ手はある!!」


バッツは闇を放出してそれを翼として背中に待とうと飛翔し、飛翔して加速しながらマキアたちを突破しようとする。


……が、ユリアは手に持つ杖で地面を叩くとバッツを重力の力で叩き落とし、マキアとロゼ、リリアは叩き落とされたバッツに向けて猛攻を放つ。


「ぐぁぁぁあ!!」


「バッツ!!」


攻撃を受けたバッツは吹き飛ばされてしまうが、その手には先程クロムから奪い返したヒロムの力である輝きを放つ魔力を持っており、立ち上がるとそれを守るように構えようとした。


「……ヒロムを助ける。

その邪魔をするなら容赦しねぇぞ……」


マキアたちに向けて強気な発言をするバッツ。

だが背後からはフレイたち四精霊が迫っていた。


「こうなったら……」


何かしようと考えたバッツは覚悟を決めて構える……のだが、バッツも、ガイたちも驚く事態が発生した。


フレイ、ラミア、ティアーユ、ステラは何故かバッツに接近すると彼をスルーするように走っていき、そして四人はマキア、ロゼ、ユリア、リリアに攻撃を仕掛ける。


「「はぁっ!!」」


「!?」


フレイたち四人の攻撃が予想外だったのかマキアたちは避ける間もなく直撃を受けてしまい、その場に倒れてしまう。


「……」


「何が……!?」


何が起きている?

誰もがそう思った時、クロムはフレイたちに問うように叫んだ。


「オマエら!!

オレの指示を無視する気か!!」


「……何のことです?」


「惚けるなよフレイ!!

さっきと言いオマエは何故命令を……」


クロムが何か話してるにも関わらずフレイたち四人はクロムに向けて攻撃を放ち、四人の攻撃を前にしてクロムは黒い稲妻を盾にして防ぐ。


が、四人の行動を前にしてクロムは怒りを隠せなくなっていた。


「……主たるオレに攻撃するとはどういうつもりだ!!

答えろ!!」


「主?

お間違いのないようにお願いしたいですね」


「何?」


「私たちのマスターは……オマエじゃない!!」


ステラの言葉に首を傾げるクロムに向けてフレイは強く言い放ち、そして四人は武器を構えると全身に魔力を纏いながらクロムを睨む。


驚きを隠せないガイたちは動きが止まり、同様に他の精霊も動きを止めてしまう。


そんな中でソラはフレイたちに質問をした。


「何がどうなってるんだ?」


「私たちは全員クロムの力によって主従関係と記憶を書き換えられ、それによってあの男のことをマスターだと認識してしまっていたんです」


「それがどうして?」


「飛天のおかげよ」


「飛天の……?」


「フレイからマスターを守ろうとした飛天の勇敢な行動が私やティアーユ、ステラ……それにフレイの中の記憶を元に戻してくれたわ」


「じゃあ……」


「でも記憶だけが戻っても私たちの体はまだあの男を主として認識してしまっていました」


「ですがバッツの行動によってクロムの力が弱まり、私たちは自分たちの持つ霊装を介して本来のマスターの精霊として戻れたのです」


ラミアに続くようにティアーユ、ステラが説明し、その説明を聞いたガイはフレイたちにある事を頼んだ。


「ヒロムの命が危ない!!

頼む……力を貸してくれ!!」


「ガイ、大丈夫です。

こうなったのは元々私たちの責任……必ずマスターを助けてみせます!!」


「それが奪い返したマスターの力なの?」


ガイの頼みにフレイが応えるとラミアはバッツからクロムから奪い返した力を預かり受け、それをステラに渡してある作戦を提案した。


「私とティアーユであの男と皆を足止めするわ。

ステラの力でマスターにそれを返して、フレイの力で少しでもいいから増幅させて」


「増幅させて「復元」の力を戻すのね?」


「そうよ、フレイ。

どうにかしてマスターの体を戻して連れてきて。

霊装のない皆を戻すにはマスターがあの男から取り返すしかないわ」


「分かったわ。

じゃあ……」


待て、とバッツはフレイたちに対してあることを伝えた。


「今のヒロムは瀕死に近い重傷で意識もない。

一度繋がりの切れたフレイたちだけではヒロムの精神には干渉出来ない」


「ならどうすれば?」


「オレが一緒に行く。

飾音な宿ってた時にアイツの能力である「他人の精神に干渉する力」を少しだが宿してるオレならヒロムの精神にオマエらを繋げるかもしれない」


「なら決まりね」


「では……やりましょう!!」


フレイが言うとラミアとティアーユはガイたちに加勢するように動き、フレイとステラはバッツとともに屋敷の中へと入っていく。


ラミアとフレイはガイやシオン、イクトのもとへ駆け寄るとともにクロムと戦うソラを援護するように一撃を放ち、二人の放った一撃によってクロムは距離を取るように後ろに跳び、ソラも体勢を立て直そうと数歩下がるとラミアとティアーユに礼を言った。


「助かった」


「お気になさらず」


「元々私らの不甲斐なさが招いたこと。

落とし前はつけさせてもらうわよ」


「落とし前、ね。

けど……クロムは譲らねぇぞ?」


ソラはやる気を見せるかのようにラミアに言い、それを聞いたラミアは鼻で笑うと大きな鞘に納めて腰に携行する刀を抜刀してソラに言った。


「生憎だけど私も譲る気はないの。

だから……私たちで倒すわよ」


「それが一番手っ取り早いな」


ソラとラミアが構えているとティアーユとガイ、シオン、イクトもクロムを倒そうと構える。


夕弦、真助、シンク、ノアル、イグニスはクロムを倒そうとするガイたちの邪魔をされぬように他の精霊を足止めしているが、クロムが首を鳴らすと仮面をつけてローブで全身を隠す八人の女がクロムの前に並び立つ。


「それがアンタに忠実な本来の精霊なのかしら?」


「ラミア、考え直すなら今だぞ?

もう一度戻ってこい」


「生憎だけど……私の記憶書き換えてまで利用してマスターを貶めたこと、許す気は無いのよ。

都合よく真実を隠された私からしたらアンタなんて敵でしかないのよ!!」


「アナタがマスターのために何かされるのなら私も協力しました。

ですが……ラミアと同じように利用していたと言うのなら、私はこの身に宿す力でアナタを葬ります!!」


ラミアとティアーユは自分の中の抑えられぬ怒りを露わにしてクロムを敵として始末する覚悟を示し、それを聞いたソラはガイ、イクト、シオンに指示を出した。


「オレとガイはラミアとティアーユの援護をしつつアイツを倒す!!

イクトとシオンはあの目障りな八人を何とかしろ!!」


「了解だ!!」


「援護は任せろって!!」


「何人来ようが関係ない……ぶっ潰す!!」


「……覚悟決めろよオマエら!!

ここからは……戦争だ!!」


いくぞ、とソラが叫ぶと一同は一斉に走り出し、クロムと八人の女はそれを迎え撃とうと動き出す……!!

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