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レディアント・ロード1st season   作者: hygirl
天醒乱舞編
413/672

四一三話 ヘテロジニアス


「はぁ!?」


翌朝、一日の始まりはソラたちの驚きと疑いよる声だった。


「本気で言ってんのか!?」


「オレは危険だと思うぞ……」


リビングに集まる一同だが、トーストを口にするヒロムに聞き返すようにソラは言い、真助は止めるかのようにヒロムに言うが、口に含んだトーストを飲み込むとヒロムは二人……いや、疑う全員に告げた。


「本気も何も事実だ。

オレは今日朝飯を食ったらすぐにここを出る」


「いやいや大将。

も少し人数いた方が安心じゃないか?

ヘヴンやバローネとかもだけど「月翔団」が動き出すかもしれないのに……」


「バカを言うなよイクト。

大人数なら敵の目につきやすいだろうが」


ヒロムに対してイクトが提案しようとすると横からシンクが口を挟み、そこからイクトに冷たい言葉をぶつけるとぶつけられたイクトは若干イラッとした顔でシンクを睨む。


「言い方他にないの?」


「オマエには妥当な言い方だ。

それにヒロムがオマエといるくらいならオレがいた方がマシだ」


「はぁ!?

オマエ喧嘩……」


やるか、とシンクは豹のような動物を模した氷の湖面をつけながらイクトを挑発し、挑発されたイクトはシンクのつけた仮面を見て突然叫んだ。


「ああ、その仮面!!

まさかオマエがあの時のウィンターか!!」


「二年前のままならオレが勝つ。

ウィンターとしてあの頃の力まで加減してやる」


「何を〜!!

上等だ、やって……」


やめろ、とヒロムはイクトに向けて一言言って止め、ヒロムがイクトを止めるとシンクは氷の仮面を消してしまう。


「……二年前にオマエが見事オレの依頼を果たした時点でオマエの強さは理解してる。

が、今のオマエには別の役目がある」


「別の役目?」


「アナタには私と真助と行動してもらうからよ」


シンクの言葉にイクトが首を傾げていると夕弦がやって来て彼と真助に資料を手渡した。


手渡された資料を見てイクトは不思議そうな顔をするが、真助は資料に目を通しながら夕弦に質問をした。


「オレたちは何をするんだ?」


「昨日敵の出現でイクトは情報を集められなかった。

その情報を集めるためにネクロに接触するわ」


「……何?

今回は二年前の件を探り直す気なの?」


「違うわよイクト。

アナタがもたらした結果によってほとんどの情報をネクロという一人の情報屋が把握してる。

ちょうどその資料に載せた地点に目撃情報があるから探すのが仕事よ」


「なるほろ……」


「退屈しなさそうだな」


そうね、と夕弦は席につくと朝食を食し始め、ソラはガイに視線を向けると彼に質問した。


「オレたちは何する気だ?」


「簡単なことだ。

「七瀬」主催の夏の観光に向けてユリナたちが支度するだろうからその手伝いと敵に襲われないように護衛だ」


「おい、オレは戦いたいんだぞ?

女どものことなんて……」


「残念だがシオン、異論は聞かない。

今回外に出向くメンバーはヒロム以外は昨日の戦闘でアップグレードの標的になってない人選だ。

オレとソラ、そしてオマエはアップグレードの対象にされてたとしたら今回は戦えない」


「……ちっ。

厄介だな」


舌打ちするとシオンは不満そうな態度を見せ、話を聞いていたソラも何か不満があるような顔をするもシオンのように何か言うということはしなかった。


が、代わりにソラはヒロムに対して何をするのかを質問した。


「ヒロム、オマエはシンクとノアルと行動して何をする気なんだ?」


「調査だよ、調査。

シンクがバローネと戦った場所をな」


「今更か?」


「昨日の一件があったからな。

ヤツらが能力者であの鎧とは別に能力が使えたのなら……その痕跡があるかもしれない」


「だからってオマエが動かなくても……」


「それにオレが調べようとしてるってことはデバイスシステムに関与してるヤツも現れるかもだろ?」


まさか、と何かに気づいたソラはヒロムに聞き返すように言い、ヒロムは頷くとソラたちに向けて言った。


「シンクがバローネと戦った場所は人里離れてたらしいから証拠が残ってる可能性がある。

その証拠を回収しに「四条」か「世界王府」が動いていてもおかしくないだろうからな」


「……現れたらどうする気だ?」


「決まってんだろ。

オレとシンク、ノアルで倒す」


「けど相手の数も分からないのに大丈夫なのか?」


ヒロムの言葉に対してイクトは不安を拭えないのか確実性を求めようと意見するが、それを聞いたシンクはある可能性をイクトに話した。


「こういう時の証拠集めには非戦闘者の科学者を連れ歩いてる可能性がある。

万が一となればそいつら盾にして逃げれば済む話だ」


「……なんか悪党っぽいやり方だな」


「当然だろ。

オレたちはヒーローじゃないからな」


当然のごとく平然と話すシンクにイクトはため息をついてしまう。


そんな中、ユリナはヒロムのもとにコーヒーを運ぶと不安そうに彼に訊ねた。


「……ちゃんと帰ってきてくれる?」


「ああ、もちろん」


ユリナに対して一言答えるとヒロムは彼女の運んできたコーヒーを飲もうとするが、彼女はなぜかコーヒーの入ったカップを離そうとしない。


何かあると思ったヒロムは一息つくと彼女の手を取って優しく伝えた。


「必ず戻ってきた真っ先にユリナのところに駆けつける。

だから待っててくれ」


「怪我しないでね?」


「まぁ、うん……「復元」の力を使わないように気をつけるよ」


「絶対だよ?」


「ああ、もちろん」


ユリナを安心させようと話すヒロム。

そのヒロムとユリナのやり取りにソラはため息をつくとすこし冷たい言い方でヒロムに言った。


「イチャつくなら帰ってきてからにしろ。

今されたら集中力が切れる」


「ご、ごめんなさい……」


「いいじゃねぇか。

やる時にやって、今は今で気持ちを切り替えてもさ」


「……」


「心配するなよソラ。

シンクとノアルがついてる、何も問題はねぇよ」


「……そうかもな」


自信満々に言うヒロムの言葉にソラはまだ何かあるかのような口振りで返し、その場の空気はいつもに比べて少し重たかった……




***


朝食を終え、それぞれが準備を終えて目的の場に向かったことによりリビングに残ったソラ、ガイ、シオンはユリナたち女性陣の支度のために呼び出されてもいいように待機していた。


が、そんな中ソラは不満をぶつけるようにガイに向けて次から次に話していく。


「ここに来てヒロムの危機感が薄れてる。

最初のヘヴンが現れるまでは自分の置かれた状況を受け止めて行動してたはずなのに今じゃ危機感がないに等しい」


「こうして仲間がもう一度集まってるんだから多少は気が緩むんじゃないか?」


「そんなことで気が緩むようなヤツじゃないだろ。

何考えてるか知らねぇけど今のままじゃ万が一の時に困る」


どうかな、とシオンはソラの言葉に対して何か思ったのか自分の意見を述べ始めた。


「むしろ強い危機感の中でやるべき事を見つけたからこそ今ああして行動しようとしてるんじゃないのか?」


「だからって自ら狙われるような真似……」


だからだろ、とシオンはソラの不満を何とかしようとするかのように話した。


「全敵の標的にされてる自分が女と一緒にいたら危険に晒すからこそ敵の狙いを自分に向くように仕向けてるんだろ」


「……仕向ける、か。

ある意味迷惑な話だな」


「たしかにな。

アイツに仕えてる身としては危険に自ら足を突っ込もうとする真似されれば安心もクソもねぇからな」


「全くだ。

……というかガイ、今後の方針を決める際にオマエは反対しなかったのか?」


シオンの言葉に続くようにため息をつくとガイに質問し、質問されたガイは少し困った顔でソラとシオンに向けて説明した。


「手掛かりになるであろう場所で残ってるのはシンクとバローネの戦闘した場所しかない。

だからこそ調べる価値はあるだろうし、敵もその可能性に賭けてオレたちが動くと考えた。

それ故の判断だよ」


「ヒロムが同行する理由は?」


「何か誘き出したい敵がいるんだとよ。

だからヒロムが同行することになったんだ」


「誘き出したい……?」


「デバイスシステムに関係したヤツらを、な」



***



目的地へと到着したヒロム、シンク、ノアル。


目的地……シンクがバローネと戦闘した場所である山林を歩く三人は周囲の静けさに警戒していた。


騒がしいよりは静かな方がいい。

だがこの状況では静けさが逆に彼らの警戒心を強くさせてしまう。


「……シンク、何かあるか?」


周囲を捜索するシンクに手掛かりがあるか訊ねるヒロムだったが、そんなヒロムに対してノアルが素朴な疑問をぶつけた。


「シンクと敵が戦ったのは一昨日のことだろ?

今調べても手掛かりがあるとは思えないんだが……」


「まぁ、手掛かりってのは二の次だ」


「?」


「オレたちが戦おうとしてる相手は素性が分からない相手だ。

その相手がこのタイミングで現れるかが重要だ」


「どうする気なんだ?」


どうもしないさ、とシンクは捜索を終えるとヒロムとノアルのもとに歩み寄り、調べた状況について詳しく話した。


「ここで戦闘した時の状態のままだ。

矢で射抜かれた獅角のものと思われる血が地面に落ちてたし、バローネが放った矢が命中した痕跡もあった。

あの戦闘の後からここに踏み込んだのはオレたちが最初で間違いない」


「収穫は?」


あった、とシンクはポケットから何やら銀色のケースを取り出すとヒロムに説明した。


「微かだが魔力の微粒子があった。

これを調べれて出た成分と配列を昨日の屋敷の戦闘時のものと比較すれば……」


「何かわかるってことだな?」


「少なくとも敵の攻撃が能力によるものかデバイスシステムによる機械的なものかがハッキリする。

それが分かれば……」


ヒロムにシンクが解説していると、どこからかパキッと木の枝を踏んだような音がした。


その音を聞くとシンクは取り出したケースをポケットに戻し、ヒロムとシンク、ノアルは音のした方を見て何かいるのかを確かめようとする。


その先には……


眼帯をした青年がいた。

ガントレットを装備した眼帯の青年、それを見たヒロムとシンクは彼が何者なのかすぐ理解した。


「拳角……!!」


「まさか角王の一人が現れるとはな」


どうかな、とヒロムたちの背後にオールバックにした茶髪に左眼に傷の男が現われ、さらにヒロムたちの左右から逃げ道を塞ぐように二人の能力者が現れる。


「……狼角、オマエもか?」


「あいにくだったなシンク。

獅角に殺されてたらこんなことにはならなかった」


「……その二人は射角と斬角の埋め合わせか?」


「彼らは新たな角王である鎚角と流角だ。

オマエと「無能」を殺すために用意したんだ。

……光栄に思え」

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